AR広告の基礎知識

AR広告とは現実世界の風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する広告手法であり、「Augmented Reality(拡張現実)」の略です。
スマートフォンやタブレットのカメラを通して、目の前の世界が豊かになるような体験を提供します。
ここからは、AR広告の仕組みやVR広告との違いを詳しく解説します。
AR広告の仕組み
AR広告が機能する仕組みには、大きく分けて以下の2種類があります。
- マーカー型:特定の画像をきっかけにコンテンツを呼び出す
- マーカーレス型:空間そのものを認識して表示する
それぞれの特徴を理解することで、自社の目的に合ったAR施策を企画しやすくなります。
種類 | 仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
マーカー型 | カメラでQRコードや特定の商品パッケーなどを認識すると、関連する3Dモデルや動画が出現する |
| マーカーがないと体験できず、印刷物などが必要 |
マーカーレス型 | カメラが床や壁などの空間を認識し、何もない場所に仮想のオブジェクトを配置する |
| マーカー型に比べて開発コストが高くなる傾向がある。 |
VR広告との違い
AR広告とよく比較されるのが「VR広告」です。両者は似ているようで、体験の性質が大きく異なります。
ARは基盤となる現実世界の上にデジタル情報を重ねることで体験を拡張するため、スマートフォンやタブレットを使えば誰でも手軽に体験可能です。
一方、VRでは専用ゴーグルを装着して現実から切り離された仮想空間に没入します。
そのためARは、商品のバーチャル試着やスタンプラリーなど日常に近いシーンで有効です。またVRは、仮想展示会や仮想店舗など非日常的な購買体験に向いています。
広告の目的や体験の深さに応じて使い分けることで、それぞれの広告効果を最大化できます。
AR広告のメリット4選

AR広告を導入することには、ビジネスに直結するメリットがあります。
ここでは、AR広告の具体的なメリットを4つ紹介するため、社内での企画提案の際にぜひご活用ください。
圧倒的な没入感でユーザーの心を掴める
AR広告は従来の「見るだけ」の広告を超え、ユーザーを体験の中心に引き込みます。
スマートフォンをかざすだけで目の前の世界が変化する体験は、圧倒的な没入感でユーザーの心を掴みます。
ある調査によると、AR広告の平均インタラクション時間は75秒と、バナー広告の数十倍です。
ユーザーが能動的に関与することで、強い印象と感情的なつながりを生み出し、広告効果を高められるのがAR広告の大きなメリットです。
SNSで拡散されやすくなる
AR広告のメリットの一つは、体験自体がSNSで拡散されやすいことです。ユーザーがSNSで拡散するまでの流れは以下のとおりです。
- 目の前の世界が変化するユニークな体験に驚きや楽しさを感じる
- その瞬間を思わず写真や動画に残したくなる
- 残した写真や動画を「誰かに見せたい」と思う
- SNS(Instagram、TikTokなど)でシェアする
特にInstagramのARフィルターでは、ユーザーが自然にコンテンツを作り出すUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれやすいです。
企業側が広告費を大きく投じなくても、低コストで効果的なブランディングや話題づくりにつなげられるのがAR広告です。
バーチャルなお試し体験が購入のきっかけになる
AR広告は通販において顧客の「購入前の不安」を解消する有効な手段です。
例えば、ARで家具を自宅にバーチャルで配置してサイズ感や部屋との相性を確認したり、化粧品を顔にシミュレーションしたりすれば、仕上がりを具体的にイメージできます。
ユーザーは安心感を得られることで購入に踏み切りやすくなり、売り上げアップにつながるでしょう。
先進的なブランドイメージが構築できる
AR広告を取り入れることは、企業が最新技術に積極的であることを示すため、先進的なブランドイメージの構築につながります。
「新しいことに挑戦している面白い企業」と認識されれば、顧客からの信頼や好感度は高まります。
他社がまだ取り入れていない段階でAR広告を活用すれば、「革新的な企業」として差別化も可能です。
最新技術を積極的に活用する姿勢は、単なる広告効果を超え、長期的なブランド価値向上につながります。
AR広告の始め方3ステップ

AR広告のメリットを理解したところで、次に「どうすれば始められるのか」という具体的なステップを解説していきます。
これから紹介する3つのステップを確認し、全体像を掴みましょう。
ステップ1:広告の目的とターゲットを明確にする
まず最も重要なのは、「AR広告で何を達成したいのか」という広告の目的を明確にすることです。
目的によって、選ぶべきARの種類や測るべき指標(KPI)は変わります。目的とKPI、最適なARの種類を明確にしましょう。
以下の表は、目的に対するKPI例と最適なARの種類例です。
目的の例 | KPI(重要業績評価指標)の例 | 最適なARの種類の例 |
---|---|---|
新商品の認知度拡大 | ・ARの体験回数 ・SNSでのシェア数、言及数 | ・SNSで拡散しやすいARフィルター ・WebARを活用したミニゲーム |
ECサイトの売上向上 | ・ARからのサイト遷移率 ・コンバージョン率 ・購入単価 | ・家具の試し置き(マーカーレス型) ・化粧品のバーチャルメイク |
実店舗への来店促進 | ・ARスタンプラリーの達成率 ・AR経由で配布したクーポンの利用率 | ・特定の場所で楽しめるロケーションベースAR ・店内で楽しむマーカー型AR |
ブランドイメージ向上 | ・ARの体験時間 ・アンケートでのブランド好感度 | ・ブランドの世界観を表現したARコンテンツ ・企業の歴史を学べるAR |
ステップ2:制作方法と費用の目安を知る
AR広告の目的が定まったら、次に制作方法と予算を検討します。
制作方法は、「自社で制作する」か「専門の代理店に依頼する」かの2つです。
以下の表では、自社で制作した場合、代理店に依頼した場合それぞれの特徴をまとめています。
制作方法 | メリット | デメリット | 費用目安 |
---|---|---|---|
自社で制作 |
|
| 0円〜 無料ツールが多数ある |
代理店に依頼 |
|
| 30万円〜 大規模なものは数百万円以上になることも |
代理店に依頼する場合、過去の実績や得意な分野をしっかり確認することが重要です。複数の会社から話を聞き、信頼できるパートナーを見つけましょう。
ステップ3:効果を測定し改善につなげる
AR広告は、実施して終わりではありません。必ず効果を測定し、結果を次の施策に活かす「PDCAサイクル」を回すことが重要です。
AR広告を展開した後は、ステップ1で設定したKPIが実際にどの程度達成できたのかを分析しましょう。
例えば、SNSでのシェア数をKPIにしたなら、どのデザインのフィルターが最も多く使われたかを分析します。
分析した結果から、「次はこういうデザインが受けるかもしれない」という仮説を立て、改善を繰り返します。効果測定・改善を繰り返すことで、AR広告の費用対効果を最大化が可能です。
AR広告で失敗しないための2つの注意点

多くのメリットがあるAR広告ですが、ただ導入すれば成功するわけではありません。
企画段階で陥りがちな失敗を避けるため、ここからは2つの注意点について解説します。
AR広告以外の手法も検討する
AR広告は注目を集めやすい一方、ARを使うこと自体が目的化してる企業も少なくありません。
広告を扱う上で重要なのは、ユーザーにとって価値のある広告体験を提供できるかどうかです。「この施策は本当にARでなければ実現できないか?」を考えることで、企画の本質を思い出せるでしょう。
もしユーザーにとってのメリットが曖昧であれば、技術の新しさだけでは心を動かせません。
活用シーンによっては、動画広告やSNS施策など他の手法の方が優れているケースもあります。
ユーザーの手間をなるべく省く
AR広告を体験するまでに複雑な手順が必要だと、多くのユーザーは途中で離脱してしまいます。
例えば「専用アプリのダウンロード」は、心理的にも時間的にも大きなハードルです。
せっかく興味を持っていても、アプリストアに移動してダウンロード待つ間に熱が冷めてしまうことは珍しくありません。
そのためAR施策を実行する際は、なるべくURLやQRコードから直接ブラウザで体験できる「WebAR」を活用し、スムーズに体験できる設計を心がけることが重要です。
まとめ:AR広告で次世代の体験を提供しよう!

AR広告は、もはや先進企業だけの取り組みに留まらず、幅広い業界で導入できる実用的な手法です。
没入感のある体験によってユーザーの心を強く掴めば、SNSでの自発的な拡散を通じて大きな認知拡大につながる可能性も少なくありません。
まずは低コストで始められるARフィルターなどから導入し、次世代の顧客体験を提供する先進的な企業となりましょう。
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