「上司から動画広告の導入を検討するように言われたけど、動画広告のイメージがつかめない⋯」
「競合は動画広告を取り入れ始めてるから、自分たちも乗り遅れたくない⋯」
動画広告業界の未来がどうなるのかは、動画広告に明るくないマーケティング担当者にとって悩ましい問題です。
動画広告に関する適切な知識を理解すれば、不安を感じることなく動画広告の運用ができます。
この記事では、動画広告の運用担当者が押さえている「ビジネスで成果を上げる動画広告の基礎知識」を紹介します。
上司から動画広告の導入を急かされている担当者はぜひ参考にしてください。この記事を読み終わる頃には、動画広告導入に向けてすぐに動き出せます。
また弊社では、Web広告の出稿をご検討の方に「通販に最適なWeb広告媒体」を紹介しています。
詳しく知りたい方はぜひバナーをクリックして、資料をダウンロードしてください。
目次
動画広告業界の推移
情報収集やコンテンツの視聴スタイルが、インターネットへと大きく移行していることが背景にあり、動画広告の市場は著しい成長を遂げています。実際にインターネット広告市場全体は拡大を続けており、2023年には3兆3,330億円に達しました。
なかでも、2024年の動画広告の市場規模は、前年対比115.9%となる7,249億円に達し、2028年には1兆1,471億円に達すると予測されています。
年 | 市場規模(億円) | デバイス別の内訳(億円) |
2023年 | 6,253 | ・スマートフォン:5,048 ・コネクテッドテレビ:740 ・PC:465 |
2024年 | 7,249 | ・スマートフォン:5,750 ・コネクテッドテレビ:1,020 ・PC:479 |
2028年 | 11,471(予測) | ・スマートフォン:8,679 ・コネクテッドテレビ:2,270 ・PC:522 |
出典:株式会社サイバーエージェント「サイバーエージェント、2024年国内動画広告の市場調査を実施」※コネクテッドテレビ:インターネット回線に接続されたテレビ端末
企業の広告戦略において、より幅広い顧客にリーチするためにも動画広告の導入は急務です。
なお、EC業界の今後について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
動画広告業界が急成長している要因

動画広告がこれほどまでに成長している要因には、通信技術やライフスタイルの変化が大きく関わっています。大きな要因と考えられる点は以下の2つです。
- 5Gによる通信速度の向上
- SNS利用率の向上
それぞれ解説します。
5Gによる通信速度の向上
動画広告市場の成長を支える要因の一つは「5G」の普及です。5Gとは、高速かつ大容量の通信を実現する「第5世代移動通信システム」の略称です。
スマートフォンで動画を見るとき、「読み込みが遅い」「途中で止まってしまう」といった経験が以前より格段に減ったと感じる方は多いでしょう。これは、5Gのようなデータ通信技術が飛躍的に進化してきたからです。
スマートフォンの普及が始まった頃の「3G」回線では、動画をスムーズに見るのは大変でした。しかし、その後「4G」が登場し、通信速度は大幅に向上しました。2020年から商用サービスの提供が開始された5Gは、4Gの20倍とも言われる超高速通信を実現しています。
通信規格 | 最大通信速度 | 特徴 |
3G | 3.6Mbps〜14Mbps | 低画質で短時間の視聴に限る |
4G | 100Mbps~1Gbps | ある程度の速度で動画視聴が可能 |
5G | 10Gbps〜20Gbps | 高画質動画もストレスなく視聴可能 |
総務省によると、2022年3月末時点で日本の5G人口カバー率は93.2%に達しており、通信環境は着実に進化しています。動画を快適に視聴できる環境が、動画広告市場の成長を後押ししています。
SNS利用率の向上
現在はYouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokといったSNSが私たちの生活に浸透しています。多くの人が日常的にSNSをチェックし、動画コンテンツを楽しんでいます。
ICT総研の調査(2024年度)によると、日本のSNS利用者は8,452万人(普及率79%)、2026年には8,550万人に拡大するといわれています。
下記は主要なSNSの国内月間アクティブユーザー数(2025年3月時点)です。影響力の大きさは一目瞭然です。
SNS | 国内月間アクティブユーザー |
YouTube | 7,120万以上 |
X(旧Twitter) | 6,700万以上 |
6,600万以上 | |
TikTok | 3,300万以上 |
2,600万以上 |
出典:株式会社コムニコ「【2025年4月版】人気SNSのユーザー数まとめ|X(Twitter)、Instagram、LINE、TikTokなど」
SNSは企業にとって魅力的な広告掲載の場であり、自社サービスに関心をもちそうなターゲット層へアプローチできます。
ソーシャルメディア広告について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
動画広告3つの種類

動画広告にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や強みが異なります。目的やターゲットに最適な動画広告を出稿するために、動画広告への理解が欠かせません。代表的な動画広告の種類や特徴などは下記のとおりです。
広告の種類 | 表示場所 | 特徴 | メリット | デメリット | おすすめの目的 |
インストリーム広告 | 動画コンテンツの再生前、再生中、再生後 | スキップ可または不可、5秒表示 | ターゲットへ効率的にリーチ、短時間での印象付け | スキップされるやすい、視聴を妨げる | 認知向上、潜在顧客リーチ |
アウトストリーム広告 | Webサイト、アプリなどの広告枠 | 動画コンテンツ外の表示、音声なしが多い | 幅広い層へのリーチ、視聴の妨げが少ない | 音声なし前提の工夫、視覚的な魅力が必要 | 幅広い顧客へのリーチ |
インフィード広告 | SNSなどのフィード内 | 通常投稿に似た表示 | 広告感が少ない、自然な接触 | 期待との乖離リスク、コンテンツとの関連性が必要 | 自然な興味喚起 |
順番に解説します。
インストリーム広告
インストリーム広告は、動画コンテンツの再生前や再生中、再生後に流れる動画広告です。このインストリーム広告には、5秒経過するとユーザーがスキップできる「スキッパブル広告」と、スキップできない「ノンスキッパブル広告」があります。
ターゲットとする年齢や性別、興味関心などを設定して配信することで潜在顧客にアプローチできます。スキップ可能な広告でも最低5秒間は表示されるため、短時間でもブランド名や商品名を印象付けることが可能です。
ただ、動画の再生を中断するインストリーム広告は、ユーザーにとって「邪魔だ」と感じさせてしまう可能性もあります。株式会社ネオマーケティングの調査によると、ユーザーの約96%は広告をスキップしています。
ターゲット層を明確に設定したうえで、最初の5秒で最も伝えたいメッセージを発信することが重要です。
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告は、動画コンテンツ外に表示される広告です。Webサイトやニュースサイトの記事内、アプリのバナーやフィードが主な表示箇所です。動画をあまり見ないユーザー層にもアプローチできます。
Webサイトの閲覧中に表示されるため、「視聴を邪魔された」という感覚をユーザーに与えにくい点がメリットです。一方で、アウトストリーム広告は、音声なしでもユーザーに伝える工夫が必要です。
音声なしで見られることが多いため、映像だけで内容が伝わるように字幕を入れるなどの工夫が欠かせません。ユーザーが「音を出して聞いてみたい」と思えるような引きつけも大切な要素です。
インフィード広告
インフィード広告は、WebサイトやSNS、アプリのフィード(投稿が一覧で表示される流れの中)に、通常の投稿と同じような形式で表示される広告です。「プロモーション」「広告」といった表示はありますが、デザインや形式が周囲のコンテンツに溶け込んでいるのが特徴です。
通常の投稿と同じように広告が表示されるため、ユーザーは広告だと認識しづらく自然な流れで目にします。しかし、ユーザーが広告ページを見た際に、内容が期待と大きく異なる場合、「騙された」というネガティブな感情を与える可能性があります。
出稿するプラットフォームの特性やユーザー層を理解し、その場に合った広告を作成することが重要です。広告をクリックしたユーザーをがっかりさせないよう、広告内容と広告ページに一貫性をもたせることも意識しましょう。
動画広告のメリット5選

動画広告の市場拡大に伴い、多くの企業で動画広告の導入が進んでいます。動画広告の主なメリットは以下の5つです。
- 拡散されやすい
- 比較的少額から始められる
- 効果測定がしやすい
- 狙ったターゲット層に明確にアプローチできる
- 潜在層にアプローチできる
順番に解説します。
拡散されやすい
動画広告は、ユーザーによって拡散される可能性があります。特にSNSでは内容が面白かったり、共感を呼んだりする内容だと、ユーザーが自発的に「いいね」や「シェア」を行います。
シェアによる情報の拡散は、 広告費をかけず多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらえるチャンスです。いわゆる「バズる」現象により、自社の認知度が急上昇した企業の事例もあります。
静止画やテキストの広告に比べて、動画は印象に残りやすいため、ユーザーが「誰かに伝えたい」と感じる可能性が高いといえるでしょう。
比較的少額から始められる
Web上で配信される動画広告は、他の広告媒体と比較して少ない予算から始められます。主なメディアの広告費は、下記のとおりです。
- テレビCM:75万円〜(民法キー局で15秒のCMを1回流した場合)
- ラジオCM:2〜3万円前後(20秒のスポットCM)
- 新聞広告:数万円から数百万円まで
- 雑誌広告:約50万円から250万円まで
一方、動画広告は多くの場合、1回の視聴で数円から数十円といった費用に収まります質の高い動画を制作するための費用は別途必要ですが、広告の配信にかかる費用だけで見ればハードルが低い選択肢といえるでしょう。
効果測定がしやすい
動画広告は、視聴回数や再生時間、クリック率、コンバージョン率(広告経由で商品購入や問い合わせなどの成果につながった割合)など、さまざまなデータを詳細に分析できます。
テレビCMや雑誌広告などでは、「広告を見た人のうち、どれくらいの人が商品を購入したか」を正確に測るのは難しいでしょう。
しかし、動画広告ではデータの分析結果をもとに、広告内容や配信設定を改善できるため、より効果的な運用を目指せます。
狙ったターゲット層に明確にアプローチできる
動画広告は、視聴者の年齢や性別、居住エリアなどをもとに、細かなターゲティング設定が可能です。自社の商品やサービスに関心がありそうなユーザーに絞って広告を配信できます。例として、以下のような条件で絞り込めます。
- 年齢・性別例:30代女性
- 地域:関東在住
- 興味関心:旅行好き、美容に関心がある
- 検索キーワード:直近一ヶ月以内に「旅行グッズ」に関連するキーワードを検索した人
- Webサイト訪問履歴:直近3ヶ月以内に自社サイトを訪れたことがある人
条件を絞ってターゲット設定を行うことで、必要以上に広告費をかけることなく広告効果を高められます。
潜在層にアプローチできる
動画広告は、将来顧客になる可能性のある潜在層にもアプローチできます。動画広告は、SNSを眺めているときなど、ユーザーが情報を受け入れやすい状況で表示されることが多いです。
動きや音、ストーリーで感情に訴えかけられる動画広告は、たとえその場で商品購入に至らなくてもユーザーの記憶に残りやすいといえるでしょう。
なお、YouTube広告の効果が知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
動画広告を成功させる3つのポイント

ただ単に動画を作って配信すれば上手くいくわけではありません。動画広告を成功させるために意識したいポイントは以下の3つです。
- 動画の目的・ペルソナを明確にする
- 動画を見るメリットを伝える
- A/Bテストを行う
それぞれ解説します。
動画の目的・ペルソナを明確にする
まず「何のために動画広告を出すのか(目的)」「誰に見てほしいのか(ペルソナ)」を明確にする必要があります。目的とターゲットが曖昧なままでは、動画で伝えたいメッセージがぼやけてしまい、誰の心にも響かない広告になる可能性が高いです。
人によって興味をもつ内容や、普段利用しているメディアが異なるのは当然です。例えば、60代のシニア男性と30代サラリーマンでは、響くメッセージやデザインはまったく異なります。
誰に、何を伝えて、どうなってほしいのかを具体的に定めることで、初めて動画広告の戦略が練られます。
動画を見るメリットを伝える
動画広告では、ユーザーに動画を見るメリットを伝えるため、最初の数秒で興味を引きつけることが重要です。多くのユーザーは、広告を見るためにSNSやWebサイトを利用しているわけではありません。
株式会社ネオマーケティングの調査では、ユーザーの約96%は広告をスキップするとの結果を公開しています。冒頭5秒でいかにユーザーを引き付けられるかが勝負の分かれ目です。具体的には、以下のような工夫が考えられます。
- インパクトのある映像や音楽を使う
- ターゲットを明らかにする(例:「〇〇でお困りのあなたへ」)
- ストーリーの核心や、最も魅力的な部分をチラ見せする
- 視聴者のベネフィットを明示する(例:「たった5分で〇〇ができる!」)
- 期間限定のキャンペーン情報を伝える
商品やサービスの特徴で終始するのではなく、「自社商品やサービスによって、ユーザーの生活がどう良くなるのか」「どんな悩みが解決するのか」といった視点で伝えることが重要です。
視聴者の視点に立ち、見る価値があると感じられる工夫を凝らしましょう。
A/Bテストを行う
動画広告の効果を高めるために、A/Bテストを行い継続的に改善していくことが必要です。A/Bテストとは、2つの異なるパターンの広告を配信することで、広告の効果(クリック率が高い、購入に繋がりやすいなど)を比較する手法です。
出稿前に「これが一番効果があるだろう」と予測してても、いざ配信すると想定外のパターンの方が良い結果を出すことがあります。A/Bテストでは、以下のような要素を変えて比較すると良いでしょう。
- 構成、演出、冒頭の掴み、メッセージの伝え方などを変える
- 年齢、性別、興味関心などのターゲット設定を変える
- YouTube、Instagram、TikTokなど、配信するプラットフォームを変える
注意点として、要素を変更する際は一つに絞りましょう。一度に複数の要素を変えてしまうと、成果の違いを生んだ要因が判断しづらいです。
動画広告で成果を出すためには、改善のサイクルを回し続けることが欠かせません。
動画を見る機会が多いZ世代へのマーケティングポイントが知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
動画広告と相性が良い業界3選

動画広告は市場の成長とともに、様々な業界で活用され始めています。中でも動画広告と相性が良い業界が以下の3つです。
- 飲食業界
- 旅行業界
- エンタメ業界
相性が良い理由を順番に解説します。
飲食業界
飲食業界は、動画広告と相性が良い業界の一つです。「美味しそう!」「お店に行ってみたい!」という感情を、映像と音でユーザーを刺激できるからです。ユーザーへの広告の見せ方として下記の3つが挙げられます。
- 料理の魅力を最大限に伝える
- お店の雰囲気やストーリーを伝える
- 安心感や信頼感を獲得する
飲食業界特有の五感に訴える魅力は、多くの情報を短時間で伝えられる動画と相性が良いといえます。
旅行業界
旅行業界も、動画広告との相性が良い業界です。旅行の醍醐味である非日常の体験や現地の空気感を、ユーザーが疑似体験しやすいからです。魅力的な広告にする方法として下記の3つが挙げられます。
- 観光地の魅力を直感的に伝える
- 宿泊施設の情報を分かりやすく提供する
- 多くの情報を短時間で効率的に伝える
「その場に行ってみたい!」というユーザーの感情を喚起できる動画広告は、旅行業界にとって有効なプロモーション手段となります。
エンタメ業界
ゲームや映画、音楽、漫画、イベントなどのエンタメ業界も、動画広告と相性が良い分野です。映像や音楽、ストーリーは動画と組み合わせることで、感情や情報をよりわかりやすくユーザーに伝えられます。エンタメ業界の動画広告の活用例として、下記の3つが挙げられます。
- コンテンツの魅力をダイレクトに伝える
- ユーザーの興味関心を引きやすい
- SNSでの拡散も期待できる
エンタメ業界は、コンテンツの魅力を活かせる動画広告と相性が良く、新規ファンの獲得やファン化の促進につながりやすいと言えるでしょう。
動画広告業界の最新トレンド予測

動画広告の導入や運用で成果を上げていくためには、トレンドを把握することが重要です。
動画広告業界の最新トレンドについて、ショート動画広告、縦型動画広告、AIを活用した動画広告の3つを解説します。
ショート動画広告
現在はYouTubeショートやInstagramリール、TikTokといった60秒程度の短い動画コンテンツが人気です。スキマ時間にスマートフォンで楽しめる手軽さが、多くのユーザーに受け入れられています。
動画は短い時間で完結するため視聴のハードルが低く、ユーザーの目に触れる機会が増えます。ただし、多くの企業が参入しており、他社との差別化や独自性を出すことがより一層求められるでしょう。
縦型動画広告
縦型動画広告は、スマートフォンの普及とともに急速に拡大してきました。私たちがスマートフォンを使うときは、基本的に縦向きのまま操作します。一方、縦型動画ではスマートフォンの向きを変える必要なく、画面全体を使った没入感のある視聴を提供できる点がメリットです。
サイバーエージェントの調査によると、縦型動画広告の市場規模(2024年)は、前年対比で171.1%の900億円に到達しました。需要の増加は留まることなく、2028年には2088億円もの市場規模に達すると予測されています。
AIを活用した動画広告
AIの技術は日々進化しており、動画広告の制作から効果測定まであらゆるプロセスを変えようとしています。AIを活用することで、これまで時間や手間がかかっていた作業を効率化したり、人間だけでは難しかった高度な分析が可能になったりします。具体的には、以下のような活用が進んでいます。
- 広告運用の効率化
- 動画制作の効率化
- グローバル展開のサポート
AIを活用することで、より多くの人に適切なメッセージを届けられる可能性が高まります。
なお、動画広告の最新トレンドを活用したプロモーション戦略を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
動画広告業界における今後の課題3つ

動画広告市場は著しい成長を遂げる一方で、いくつかの課題も存在します。
健全な市場としてさらに発展していくためには、課題への理解と対策が欠かせません。動画広告業界における課題は以下の3つです。
- 効果測定の適切な指標の選定
- 不正広告対策
- プライバシー問題への取り組み
上記の課題を把握し、動画広告でより良い成果を出していきましょう。
効果測定の適切な指標の選定
動画広告の効果を正しく測るために、KPI(重要業績評価指標)を決めることが重要です。KPIとは、目標達成に向けたプロセスの進捗状況を定量的に評価する指標です。
KPIを決めない場合、誤った効果測定の判断につながり、改善の方向性を見失う可能性があります。動画広告では、以下3つの視点から定量的な目標を定めることができます。
- 認知拡大: 表示回数やリーチ数など
- 比較検討: 視聴完了率やクリック率など
- 行動促進:コンバージョン数など
認知拡大が目的であるにも関わらず、コンバージョン数ばかりを気にしていては本来の効果を見逃してしまうでしょう。まず動画広告を配信する目的を明確に定めることが不可欠です。
不正広告対策
動画広告業界が抱える深刻な課題の一つに、アドフラウド(広告詐欺)があります。アドフラウドはボットなどを使い、広告のクリック数などを不正に水増しして広告主から広告費を騙し取る行為です。
アドフラウドを使用されると、不正な表示やクリックに対して広告費が支払われ貴重な予算が無駄になります。株式会社Spider Labsの調査によると、2023年の国内のアドフラウド被害額は1,667億円を超えると予測されました。不正なデータが混じることで適切な効果測定ができなくなり、運用改善が困難になります。
意図せず不適切なサイトに広告が表示され、企業のブランドイメージや信頼が損なわれるリスクがあります。アドフラウド対策ツールの導入や信頼できる媒体に限定した配信、測定結果を注意深く分析するといった取り組みを行いましょう。
プライバシー問題への取り組み
世界的なプライバシー保護意識の高まりは、動画広告業界にとって重要な課題です。企業による個人データの扱い方について、消費者の目は年々厳しくなっています。
信頼できる企業でなければ、ユーザーからデータを提供してもらえない時代に変化しているといえるでしょう。一方、ユーザーは企業の広告施策に透明性があれば、データ提供に前向きといった声もあります。プライバシーに関しては、次のような取り組みが不可欠です。
- データ収集や利用目的の透明性を高め、ユーザーの明確な同意を得ること
- ユーザー自身がデータをコントロールできる権利を保障すること
- 収集したデータは社内で適切に管理し、セキュリティ対策を徹底すること
徹底したプライバシー保護でユーザーとの信頼関係を築きましょう。
まとめ:動画広告業界は今後も需要が増える!

動画広告市場は今後も目覚ましい成長を続け、企業にとってますます重要なマーケティング手法となるでしょう。2028年には1兆円を超える市場規模が予測されており、この大きな流れに乗り遅れないためにも早期参入が重要となります。
動画広告の種類やトレンド、そしてメリットを理解したうえで、成果を出すためには目的・ペルソナ設定やA/Bテストによる改善が欠かせません。
一方で、不正広告やプライバシー問題といった課題への対応も求められます。まずは「自社の目的は何か」「誰に届けたいのか」を明確にすることから始めましょう。
少額の予算から始められるため、テスト配信からでも効果を実感してみてください。