保険広告の規制とは?ポイントをおさえて健全なアプローチを

保険の広告には規制が設けてあるのをご存じでしょうか。

保険商品は一般消費者からすると、ふだん聞きなれない用語も多く、内容をきちんと理解しづらい部分があります。

とはいえ、保険商品は高額かつ契約期間が長期になるケースも少なくないため、消費者にとっては大きな買い物です。

契約が成立したあとで「広告に書いていなかった」、「広告の内容と違う」といったトラブルにならないためにも、規制の内容をきちんと把握しておきたいですね。

この記事では、保険の広告規制に関して紹介。
保険広告の規制に関するポイントをおさえて、消費者へ健全なアプローチをしましょう。

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保険の広告が規制されている理由

保険の広告が規制されている理由は、消費者へ公平かつ正しい情報を提供するためです。

保険商品は近年、種類が多様化しており内容も複雑なものが多くあります。
内容が難しいので、専門の知識を持っていない消費者が、商品をきちんと理解せずに契約するケースも。

保険の広告によって、自社の商品が実際よりも著しく優良である、他社より優れているといった消費者に誤解を与えるようなことがあってはなりません。

保険を販売する側と購入する側とのあいだで後々トラブルにならないよう、保険広告では消費者に商品の内容を分かりやすく伝える必要があります。

保険の広告における景品表示法と保険業法

保険広告の規制に関わる法律は2つあります。

ひとつは景品表示法。こちらは消費者庁の管轄です。

もうひとつは保険業法。こちらは金融庁が管轄しています。

どちらの法律も、目的は消費者である保険契約者や被保険者を守り、より良いサービスを合理的に選べるようにすること。

保険の広告を出す会社は、内容を熟知しておくべき2つの法律です。

景品表示法と保険業法それぞれ、広告の規制内容について確認していきましょう。

保険の広告を規制する景品表示法

商品やサービスの内容や価格表示の偽りを規制するための法律として、景品表示法という法律があります。

正式な名称は、不当景品類及び不当表示防止法ですが、景品表示法として使われるのが一般的。

景品表示法には保険の広告を含む広告全般において守らなければならないルールがあります。

不当な表示の禁止

不当な表示とは提供する商品やサービスについて実際よりも著しく優れている、有利と見せかけるような表示のこと。

消費者が商品やサービスを選択するための情報は、偽りなく正しく伝えなければなりません。

不当な表示の禁止事項については、大きく2つに分かれています。

禁止事項内容表示例
優良誤認表示の禁止商品の品質や内容について実際より優れていると示すこと「入院保障は1日から」と表示しておきながら日帰り入院は保障されていない。
有利誤認表示の禁止商品の価格や条件について実際より有利だと思わせるような表示「〇〇円で全て保障」と表示しているが実際には諸経費分は保障されなかった。

提供側は故意的でなかったとしても、景品表示法に違反する不当な表示に該当する場合、措置命令がおこなわれ、対応によっては罰則が与えられることもあります。

保険広告は、消費者が適切な商品やサービスを選べるようなものが求められます。

広告を出す前に、上記の禁止事項に当てはまるものはないか確認しておきましょう。

不当な表示の詳しい内容については、消費者庁の景品表示法「表示規制の概要」を参照してください。

2つの機関による規制

景品表示法に違反する広告表示が疑われる場合、消費者庁は関連する資料を確認したり、広告を出している事業者へ事情聴取をおこなったりします。

調査の結果、広告表示が違反と認められた場合は改善するよう「措置命令」をおこないます。

措置命令を受けた保険事業者は、証拠となる資料を提出する、広告の内容を改善するなど何らかの対応をおこなわなくてはなりません。

措置命令を受けたにも関わらず改善が認められない、もしくは違反が認められた場合、事業者の代表には2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

加えて法人には3億円以下の罰金が科せられます。

また各都道府県知事も景品表示法に基づいて事業者へ措置命令をおこなう権限を持っており、消費者庁と連携しながら、より迅速な対応に努めています。

違反広告で罰せられると、金銭的な負担だけでなく、消費者の信頼も失いかねません。

保険広告を出す場合、景品表示法には気をつけましょう。

保険業法による比較広告の規制

保険業法では、保険契約者を守るために保険業務を健全におこない、保険募集に公平性を保つための規制を設けています。

保険業法のうち、広告に大きく関係しているのは比較表示に関する部分です。

保険業法では、消費者に対して他の保険契約の契約内容と比較する場合に、誤解させる行為を禁止しています。

金融庁が作成した「保険会社向けの総合的な監督指針」のうち下記6つの項目では、誤認させる行為について詳しく書かれています。

ひとつずつ確認していきましょう。

①客観的に実証されていない数値を使う

広告に載せる金額や評価などの数字は、何の根拠もない数値を表示してはいけません。

数値を表す場合は消費者が正確な情報を読み取れるよう、調査機関や調査方法、調査の日時などを広告に明記する必要があります。

好ましくない表示の例をあげてみます。

  • 架空の計算式を使って会社の実績を地域No.1と表示する
  • 実際には数名しかいない顧客の評価をあたかも大多数の意見であるかのようにうたう

広告に使う数値は、きちんと計算式によってはじき出されたものを使いましょう。

②事実を判断するのに必要な情報をわざと隠す

消費者には、商品を選ぶ判断材料として必要な情報を、きちんと提示しましょう。

事業者側が販売したい保険商品を選ばせるために、故意に一部の情報を隠すようなことはしてはいけません。

また広告の比較表示について、広告スペースの問題などで全ての情報を載せられない場合もあると思います。

比較表示について、必要な情報が載せきれない場合は「情報は参考程度に」、「詳細は契約の概要を確認」といった注意書きを入れておきましょう。

③保険商品の良い部分しか示さない

保険商品を販売したい気持ちから、良い部分だけをアピールしたくなるかもしれません。
しかし、長所だけをやたらと強調して、逆に短所を示さないような表示方法も規制されます。

消費者としては、保険商品のメリットもデメリットも理解したうえで、どの商品を選ぶのか決めたいのです。

商品の紹介は、長所も短所もどちらも隠さず表記して、事実を伝える広告を心がけましょう。

④期間や条件など同等でない商品と比較する

比較表示をする広告で条件が同等でない商品を比較すると、消費者に誤解を与える可能性があります。

例えば、契約期間が違う保険商品を比較する場合は注意が必要です。

広告の保険料だけを見た消費者は「金額が安い方が優れている」と思うかもしれません。

契約期間が異なる保険商品を比較表にする場合、1日あたりの保険料を表示したり、契約期間が違うことを注意書きしたりして、消費者の誤解を招かないよう気をつけましょう。

⑤現在提供されていない商品と比較する

比較に使用する商品は、現在提供されているものを使います。

アピールしたい商品を良く見せるためにあえて古い商品と比較するのも、販売が終了していることに気づかず無意識に古い商品を使うのも、どちらも規制の対象です。

該当の商品がすでに販売終了していたり、リニューアルしていたりする場合もあるので、広告に比較表を載せる場合は、最新の情報を確認するようにしましょう。

⑥他の保険商品の短所を不当に強調して誹謗中傷する

保険商品を比較する場合、他の商品の短所を強調して誹謗中傷するような書き方にならないよう、気をつけたいところ。

比較表示に載せる情報はあくまで、消費者が比べて判断するための材料です。

不当に他の商品のデメリットばかりアピールするのは辞めましょう。

生命保険の広告は適正表示ガイドラインを確認

生命保険の広告を出す場合は、生命保険協会のガイドラインも参考にしましょう。

一般社団法人生命保険協会では、生命保険事業の社会的な信頼を得るための行動規範を定めています。

そのうち広告に関しては「生命保険商品に関する適正表示ガイドライン」に募集用資料の表示ルールや注意点が記載。

とくに広告を出す場合に気をつけたいポイントはこちらです。

  • 保障内容のメリットを書くときは、保険金が払われない期間や年齢制限など条件がある場合はきちんと表示する
  • 個別のモデルケースを例にあげる場合、保険の名前や保険料を払う期間など、消費者が内容を正しく理解するために必要な情報を表示する
  • 客観的な事実を表示する場合は、一部分だけを強調して消費者に誤解を与えないよう注意する
  • 「No.1」「当社のみ」などと書く場合、内容が客観的に証明されているものを使う
  • なるべく保険の知識が少ない消費者でも分かりやすい言葉を使って説明する

命保険商品に関する適正表示ガイドラインは、消費者に分かりやすい広告を届け、誤解や誤認を与えないために存在しています。

生命保険の広告出稿をお考えの方は、ガイドラインに沿って作成するようにしましょう。

規制内容をおさえて健全な保険の広告を出そう

景品表示法と保険業法による広告の規制内容、生命保険協会の自主ガイドラインの内容をご紹介しました。

保険商品はその特性上、専門用語が多く理解が難しいケースが多くあります。

保険広告に規制があるのは、保険の専門的な知識が少ない一般的な消費者に正しい情報を伝えるためです。

契約された方と後々トラブルにならないためにも、規制内容をきちんと理解したうえで広告を出したいですね。

消費者に誤解や誤認を与えず分かりやすい広告を届けるために、ご紹介した規制内容や注意点をおさえて、健全なアプローチをおこなっていきましょう。

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