官報といえば、決算公告や合併公告などの「公告」を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし官報には、法定手続きとは別に企業が自由に掲載できる「枠付広告」という広告枠が用意されており、企業PRやサービス案内などにも活用できます。
そこで本記事では、官報の枠付広告の特徴や費用、申し込み方法までを解説します。
官報広告の活用を検討している経営者や広報担当者、他媒体との差別化を図りたい企業の方はぜひ参考にしてください。
また弊社では、新聞広告の効果や成功事例、出稿方法などを解説しています。
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官報広告とは

官報広告は、企業が法的な義務を果たすため、あるいは社会的な信用を得るために利用する重要な手段です。
まずは、官報広告の基本的な役割と法的な位置づけについて理解を深めましょう。
そもそも「官報」とは
官報とは国が発行する機関紙であり、いわば「国の新聞」のようなものです。
内閣府が編集・発行しており、その役割は法律、政令、条約といった国の決定事項を国民に広く知らせることです。そのため、官報に掲載された情報は、極めて高い公示性と信頼性を持ちます。
官報は、その掲載内容によっていくつかの種類に分かれています。それぞれの役割を理解することで、官報の全体像を把握しやすくなります。
| 官報の種類 | 主な掲載内容 | 発行日 |
| 本紙 | 法律、政令、条約、省令、告示、国会事項など | 行政機関の休日を除く毎日 |
| 号外 | 本紙に掲載しきれない緊急の記事、衆議院・参議院の議事など | 随時発行 |
| 政府調達公告版 | 国や地方公共団体などの物品購入や工事に関する入札公告 | 週3回程度 |
| 目録 | 1カ月分の官報記事の見出しをまとめたもの | 毎月発行 |
官報広告の種類
官報に掲載される情報は、大きく分けて決定公告と枠付広告の2種類です。決定公告と枠付広告は目的も性質も異なるため、違いを正確に理解しておくことが大切です。
| 項目 | 決定公告 | 枠付広告 |
| 目的 | 法律上の義務を履行するため(債権者保護など) | 企業の PR、商品・サービスの宣伝、ブランディングのため |
| 法的根拠 | 会社法、民法など | なし(任意) |
| 掲載内容 | 法律で定められた記載事項(会社の商号、資本金の額など) | 企業が自由に設定可能(ただし審査あり) |
| 性質 | 法的な通知 | 一般的な広告・宣伝 |
| 掲載料金 | 行数に基づく従量課金制が基本 | 枠の大きさに応じた料金体系 |
| 担当部署(例) | 法務部、総務部、経理部 | 広報部、マーケティング部、営業企画部 |
| 具体例 | 決算公告、合併公告、解散公告 | 新製品の案内、会社の周年記念広告、謝罪広告 |
決定公告は、法律で定められた義務を果たすための通知です。一方、枠付広告は企業が任意で出稿する宣伝であり、一般的な新聞広告や雑誌広告に近いものです。
企業によっては決定公告と同日に枠付広告を掲載し、法的手続きと企業PRを同時に行うケースもあります。
これにより形式的な通知に加え企業姿勢やメッセージを補足できるため、ステークホルダーに好印象を与えることができます。
なお、本記事では、主に広報・マーケティング担当者が関わる枠付広告を中心に解説を進めていきます。
官報の枠付広告の基礎知識

次に、官報の枠付広告について解説します。官報という媒体の特性を活かした広告戦略の一つとして、枠付広告の活用を検討してみてください。
枠付広告の特徴と掲載できる内容
官報の枠付広告の最大の特徴は、官報が持つ高い信頼性と公共性を背景に、企業や製品のメッセージを伝えられる点です。
読者層は限定的ですが、その分、信頼性を重視するターゲットに効果的にアプローチできます。
掲載できる内容は多岐にわたりますが、官報の品位を損なわないよう一定の審査基準が設けられています。官報の枠付広告で掲載されることが多い内容は以下の通りです。
| 掲載内容 | 詳細 |
| 企業PR・ブランディング |
|
| 製品・サービス紹介 |
|
| 意見広告・謝罪広告 |
|
| その他 |
|
特に、上場準備企業やM&Aを控えた企業では、企業姿勢の明確化やガバナンス意識の表明として掲載されることがあります。
一般広告では伝わりにくい誠実性や透明性を表現できる点が評価されています。
掲載基準・審査の考え方
官報は国の機関紙であるため、掲載される枠付広告には厳格な審査が行われます。
審査は、官報全体の信頼性を維持するために不可欠なプロセスです。広告の内容が公序良俗に反したり、読者に誤解を与えたりする可能性がないか、慎重に判断されます。
審査で特に重視されるポイントは以下の通りです。
| 審査で重視されるポイント | 詳細 |
| 法令遵守 |
|
| 公共性・品位 |
|
| 正確性・客観性 |
|
広告原稿を提出した後、以上の基準に基づいて審査が行われ、場合によっては内容の修正を求められることもあります。
審査では表現の適法性だけでなく、官報の社会的役割との整合性も判断対象となります。
そのため、極端な煽り表現や過度な販促訴求は避け、事実ベースの落ち着いた表現にすることが通過のポイントです。
官報広告の費用

官報の枠付広告の料金は、新聞広告などと同様に、広告の大きさ(面積)によって決まります。
官報の紙面は「枠」という単位で構成されており、広告の種別によって料金が設定されています。
2026年2月時点、官報の枠付広告の1枠あたりの掲載料金は以下の通りです。
| 種別 | 普通・ページ指定 | 料金(税込) |
| 枠付広告 特殊法人・地方公共団体 | 普通 |
|
| ページ指定 |
| |
| 枠付広告 会社など | 普通 | 40,882円 |
| ページ指定 | 54,979円 |
新聞広告と比較すると単価は高く見えますが、掲載後に公式記録として残る点を考慮すると、ブランディング施策としての費用対効果は異なります。
特に、企業信用の裏付けとして長期的に活用できるため、短期集客型広告とは別予算で検討されるケースが一般的です。
なお、官報の枠付広告の掲載料金は申し込み先となる官報販売所や代理店によってサービス内容や料金が異なります。
見積もりを依頼する際は、基本料金に含まれるサービス範囲と、追加費用が発生するケースについて詳しく確認しておきましょう。
官報広告のやり方

官報の枠付広告の掲載手続きは、手順を一つひとつ確認しながら進めれば、決して難しいものではありません。
以下では、担当者が行うべき実務的な手順を具体的に解説します。
ステップ1.掲載可否の確認と問い合わせ
官報の枠付広告には掲載基準があり、すべての広告が自由に掲載できるわけではありません。
まずは取扱代理店へ連絡し、広告内容が掲載可能か確認しましょう。あわせて希望掲載日の空き状況やスケジュール感も確認します。
この段階で、実施の可否がおおよそ判断できます。
ステップ2.掲載枠サイズと料金の決定
官報広告は、掲載面積によって料金が変動します。目的に応じて適切なサイズを選定し、見積もりを取得しましょう。その後、社内稟議・決裁を通して予算を確定させます。
ここで掲載の正式決定を行います。
ステップ3.掲載内容の作成
次に、掲載する広告原稿を作成します。会社案内やサービス紹介など、一般広告として自由度の高い表現が可能です。
ただし、誇大表現や不適切表現は修正を求められる場合があるため、掲載基準を踏まえた内容設計が重要です。
また、代表者メッセージを掲載する場合、抽象的な理念だけでなく、具体的な取り組みを記載すると信頼性が高まります。官報では、簡潔かつ客観的な表現が好まれる傾向があります。
ステップ4.入稿データの提出
次に、完成した原稿を指定形式で提出します。
一般的にはPDFやWordデータでの入稿が可能で、メールまたは専用フォームなどの指定方法で送付します。不備があると掲載日が遅れるため、注意が必要です。
ステップ5.校正確認と掲載日の決定
入稿後、提出された原稿を基に、官報のフォーマットに合わせた組版が行われます。
そして、組版されたゲラ(校正刷り)が申し込み者へ送付され、内容に誤りがないかを確認する校正の作業に入ります。校正は枠付広告の内容の正確性を担保する最後の砦であり、非常に重要なプロセスです。
以下の点を入念にチェックしましょう。
- 誤字脱字の有無
- 会社名・代表者名・住所の正確性
- 日付・金額などの数字の正確性
- 句読点や記号の打ち間違い
- レイアウトの崩れ
- 元原稿からの転記ミスの有無
もし修正点が見つかった場合、ゲラに赤字で修正指示を書き込み、申し込み先に返送しましょう。修正が不要になるまで、このやり取りを繰り返します。
すべての内容に問題がないことを確認できたら校了となり、掲載日が確定します。
ステップ6.支払いと掲載後の確認
最後に、請求書に基づいて広告料金を支払います。そして、指定した掲載日になったら、実際に官報広告が掲載されているかを必ず確認しましょう。
確認方法は以下の2種類です。
| 確認方法 | 詳細 |
| インターネット版官報での確認 |
|
| 官報(紙媒体)での確認 |
|
掲載内容に万が一誤りがあった場合は、ただちに申し込み先に連絡し、訂正公告などの対応を協議しましょう。
掲載後は、営業資料や会社案内に掲載実績として記載する企業も多く見られます。対外説明資料に転用することで、広告の効果を長期的に活用できます。
官報広告の注意点

官報広告の手続きをスムーズに進め、トラブルを未然に防ぐためには、いくつかの注意点を押さえておくことが必要です。
以下では、担当者が特に気を付けるべきポイントを、具体的な事例を交えて解説します。
掲載できない内容がある
官報は公的な媒体であるため、掲載内容には一定の制約があります。
特に、任意で出稿する枠付広告では、審査の結果、内容の修正を求められたり、掲載を断られたりするケースがあります。
差し戻しや掲載不可となる主な理由と具体的な事例は以下の通りです。
| 差し戻し・掲載不可となる主な理由 | 具体的な事例 |
| 誇大・虚偽表現 |
|
| 公序良俗違反 |
|
| 法令違反 |
|
| 品位を損なう内容 |
|
上記のような内容が含まれていないか、事前に必ず確認しておきましょう。
比較広告や競合批判は、公的媒体としての中立性の観点から認められにくい傾向があります。客観的事実の提示に留めましょう。
余裕を持って進める
「期限までに公告を掲載できなかった」という事態は、絶対に避けなければなりません。
スケジュールの遅延は、さまざまな要因が重なって発生します。よくある原因をあらかじめ把握し、対策を講じておくことが重要です。
遅延の主な原因とその対策は以下の通りです。
| 遅延の主な原因 | 対策 |
| 社内での承認プロセスの遅れ |
|
| 原稿の不備・修正の多発 |
|
| 申し込み先(官報販売所)の繁忙期 |
|
| 休日・祝日による影響 |
|
官報の枠付広告出稿のスケジュールを立てる際は、余裕を持つようにしましょう。
まとめ:官報広告は目的と手順を理解して丁寧に進めよう

本記事では、官報に掲載できる枠付広告について、特徴・費用・申し込み方法・実務手順を解説しました。
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