私たちの生活の中で、街のいたるところでサイネージ広告を見るようになりました。
近年サイネージ広告の市場は拡大しており、今後も市場が広がっていくことが予想されます。
このようにサイネージ広告が当たり前になっていく中で、広告として効果をあげるためにサイネージ広告にはどのようなデザインが求められているのでしょうか。
この記事では、サイネージ広告を出す場合のデザイン作成のポイントや、注意すべき点を解説するので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
サイネージ広告とは
電車の車内や駅のコンコースの壁面、店舗の入り口などに大型のディスプレイを設置し、動画を使った広告を表示しているのがサイネージ広告です。
これまでのポスターや看板に代わる新しい広告メディアとして、掲載場所を年々増やしています。
市場規模は、2022年には前年比119%の成長となり、2026年には2022年と比較して194%増となるのが調査機関の予想です。(参照:CARTA)
市場の広がりとともに、これまでにないデザインや動画演出を使った、新しい広告も現れるようになっています。
サイネージ広告の種類
街を歩けばいたるところでサイネージ広告を目にするようになりましたが、サイネージ広告は大きく分けて下記の3つに分類されます。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
- 交通広告
- 屋内広告
- 屋外広告
交通広告
サイネージ広告の約半分を占めているのが交通広告です。
電車の車内や駅の壁面、コンコースなどに表示される広告の他、近年ではタクシーの車内やバス停留所、飛行機のモニターなどにも広告が掲載されるようになりました。
通勤・通学に利用される交通機関は、決まったエリアの人が毎日目にすることから、高い広告効果が期待できます。
利用駅によってセグメントが可能であることなどから、掲載料を払って交通広告を出稿しようとする企業が増えています。
屋内広告
店舗内や施設の入り口などのスペース、イベント会場などにディスプレイを設置し、情報発信に活用されているのが屋内広告です。
コンテンツの入れ替えが容易であることから、セール情報や新商品の情報などをタイムリーに発信できるメリットがあります。
大型チェーン店では、店舗内で販売される商品の広告を、国内各店の店内ディスプレイで発信するサービスを提供し売上に貢献しています。
屋外広告
駅前ビルの屋外大型パネルや地下コンコース壁面など、多くの人が通行する場所に掲示されているのが屋外広告です。
各店舗の入口の案内看板として屋外用ディスプレイを設置し、お客さんを誘導しようとするデジタルサイネージ広告も多く見られるようになりました。
ディスプレイの価格が低下し、維持費もそれほどかからなくなったことから、屋外広告を設置する店舗も増え続けています。
東京メトロのデジタルサイネージについては「東京メトロのデジタルサイネージとは?特徴やメリット・広告プラン例を解説」で詳しく解説しているので、あわせて参照してください。
サイネージ広告のメリット
サイネージ広告には、ポスターや看板にはない様々なメリットがあります。
また、導入コストや維持コストが下がったことで、さらに利用が広がっています。
ここでは、サイネージ広告を利用するメリットについて、具体的に紹介していきましょう。
動画などを使って目を引きやすい
サイネージ広告では動画を使えるため、静止画よりも目を引く広告の発信ができるようになります。
デザインや動きにインパクトがある動画であれば、より注目させられるでしょう。
設置場所によっては音声の使用も可能になり、さらに目立たせられます。
動画は静止画の数十倍の情報量があるので、注意をひきつけて見てもらえれば、限られた時間の中でも多くの情報を伝えられます。
動画広告は、コンテンツの作り方で反響に大きな違いが現れるものです。
内容の更新に手間がかからない
サイネージ広告の内容の更新は、データを差し替えるだけなので、物理的な作業が少なく手間がかかりません。
オンラインで発信しているタイプであれば、離れた場所から1クリックでコンテンツを差し替えられます。
また、差し替えのタイミングをあらかじめセットしておけるものであれば、時間によって自動的に更新できます。
更新の手間やコストがかからないことから、タイムリーな内容の広告に差し替えて効果をねらえるようになり、見る人の興味を引き反響が得やすい広告になるのです。
場所を問わず設置できる
サイネージ広告は、場所を問わず設置可能です。
ディスプレイの開発が進み、ビルの壁面などに設置する大型のものから棚における小さなもの、変わった形状の場所にもフィットするようなものも現れています。
屋外用のディスプレイは雨や埃の侵入を防ぎ、太陽光の下でも見やすい仕様になっています。
場所を問わずに設置できるようになったことから、今まで考えなかったような場所にも広告を掲示できるようになりました。
費用を抑えて掲載できる
サイネージ広告は、ディスプレイの量産が進んだことで価格が低下しており、リース契約で提供する業者も増えてきたため、導入コストを抑えてスタートできる環境にあります。
また、コンテンツ作成にかかるソフトウェアや機材も、低価格でクオリティの高いものが作れるようになってきています。
ディスプレイなどの機材一式の導入とメンテナンス代、定期的なコンテンツ更新をパッケージにして低価格で運用できるプランを打ち出す業者もあり、大きな費用をかけずに取り組めるでしょう。
サイネージ広告の料金については「サイネージ広告の料金について種類別に内訳を解説」で詳しく解説しているので、あわせてご参照ください。
サイネージ広告のデザイン制作のポイント
サイネージ広告はデザインによって効果が大きく変わってきます。
サイネージ広告のデザイン制作でポイントになるのはどこか、どのようにデザインを考えればよいのかを解説します。
コンセプトをしっかりと定める
実際の制作にとりかかる前に、デザインのコンセプトをしっかりと定める必要があります。
広告する商品やサービス自体のコンセプトを踏まえ、どこをどのようにアピールすればよいのかじっくり考えなければなりません。
デザイン制作担当者だけでなく、この商品の広告に関わるスタッフで意見を出し合いコンセプトをまとめましょう。
デザインだけでなく、キャッチコピーや色調、テイストなどもここで決まったコンセプトに沿って作成します。
インパクトを重視する
サイネージ広告では、広告を目にした人の注意を引き付け、見てもらわなければなりません。
そこで重視されるのがインパクトです。
インパクトのあるデザインにするためには、構図や色調、写真の使い方や文字のフォントなど細かい調整が必要になります。
また、デザインだけでなく、動画の演出効果や写真の美しさ、キャッチコピーの面白さやキャラクターの楽しさなど、様々な要素を絡めてインパクトを出す方法を考えるのが重要です。
わかりやすさを追求する
サイネージ広告を見た人に、一瞬でメッセージが伝わるわかりやすさが、非常に重要なポイントです。
何を伝えたいのかわからない広告では、高い効果は望めません。
デザインにおいては、メインとなるものをしっかりと打ち出し、目立たせることを第一に考えます。
パッと見て「この商品のここをアピールしたい」という意図が伝わるよう、徹底的にわかりやすさを追求して表現方法を考えましょう。
ターゲットを明確にする
コンセプトを定める際には、ターゲットが誰なのかも明確にしておく必要があります。
商品やサービスが設定しているターゲットをさらにはっきりさせるため、ペルソナ設定をしっかりやっておくとよいでしょう。
ペルソナが設定されていれば、ライフスタイルや好み、考え方などに合わせてデザインの方向性を考えられます。
ペルソナをメンバー間でも共有し、それに沿ってクリエイティブ作業を進めるのが重要です。
サイネージ広告のデザイン制作の注意点
サイネージ広告のデザインは、単にきれいでかっこよければよいわけではありません。
デザイン制作の際には、どのようなことに注意すればよいのか確認しておきましょう。
目的に合わせたデザインにする
サイネージ広告のデザインは、目的に合ったものでなければなりません。
価格の安さをアピールするのか、性能の良さをアピールするのか、見た目の可愛さをアピールするのかでデザインは変わります。
また、広告を見た人にどのような行動をしてほしいかでもデザインは変わるでしょう。
店舗に誘導したいのか、イベントを告知して参加者を増やしたいのか、など広告の目的に合わせたデザインや表現を考えるのが重要です。
ブランディングに合わせたデザインにする
サイネージ広告のデザインは、商品やサービスのブランディング、企業としてのブランディングに合わせなければなりません。
例えば、ブランディングとして、明るく楽しいことをうたっていれば、デザインもその方向で考えます。
落ち着いた大人向けをブランディングしているのであれば、広告デザインでもそれを表現すべきでしょう。
シーンに合わせたデザインにする
サイネージ広告は、掲示する場所や時間帯などシーンに合わせたデザインにするよう検討する必要があります。
例えば、忙しい朝夕の時間帯は直接的な表現にして瞬間的に伝わることを重視し、昼間はじっくり見る人がいることを意識してゆったりした感じを重視するなどです。
掲示する場所にはどのような人が多いのか、何をしている人が多いのかを事前にリサーチしたうえでデザインを考えるのが大切です。
サイネージ広告のデザイン制作プロセス
サイネージ広告の制作プロセスは、基本的には他の広告物と同じような流れになります。
デザインを含めてひとつずつ紹介します。
企画
制作にかかる前に、全体としての方向性やコンセプトを決定し、メンバー間で共有します。
広告を通して「誰に対して何をアピールしどうしてほしいのか」を確認しましょう。
この段階でしっかりと打ち合わせをしておき、後からメンバー間の認識にずれがないように固めておくことが重要です。
どのような形で進めていくかが決まったら、制作スケジュールを詰めていきます。
いつまでに何をするのかを設定し、必要なものの調達を進めましょう。
ラフ案作成
コンセプトに従って、簡単な脚本を作り、絵コンテなど広告のラフ案を作成します。
具体的な形にすることで、広告のイメージが伝わりやすくなるのです。
通常、複数の案を作成して比較検討し、採用された案を更にブラッシュアップして実際の制作物に近づけていきます。
レイアウトや色調を調整し確認するといった作業を繰り返しましょう。
撮影
脚本や絵コンテに合わせて、静止画や動画を撮影していきます。
撮影にかかる前に、キャストやスタッフの手配、スタジオや機材の調達、タイムスケジュールの確認など段取りをしっかり決めて、効率的に撮影できるように準備しておくことが大切です。
撮影時には、事前に決めたコンセプトに合っているかを確認しながら、複数のパターンを撮っておきます。
素材制作
サイネージ広告には、写真や動画以外にもイラストや文字画像、アニメーションなどを使用するケースがあり、それらの素材を制作していきます。
全体のイメージに合わせて、文字のフォントやイラストのトーンなどを調整しましょう。
編集
撮影した写真や動画、イラストや文字、アニメーションなどをイメージに合うように編集していくプロセスです。
まず使用する素材を選び出して必要な部分を抽出し、その素材を絵コンテに沿ってつなぎ合わせる作業をして、イメージに合うよう調節していきます。
音声が使える場合は、この上にBGMやナレーションを入れる作業をして仕上げます。
サイネージ広告のデザイン制作費用
サイネージ広告の制作にかかる費用について解説します。
どのような動画広告にするかによって大きく変動するので、動画のパターンに分けて費用の目安を見ていきましょう。
なお、いつものチラシがあれば、新たなTwitterやInstagramなど5つの媒体から希望に合ったメディア展開ができる注目の広告手法「チラシビジョン」の詳細はこちらからご覧ください。
静止画を使った動画広告
複数の写真とキャッチコピーを組み合わせて、スライドショーのように切り替えながら動きの効果を加えて動画広告とするケースです。
音声が使える場合には、この動画にナレーションやBGMをつけて仕上げます。
素材データとして過去に撮影した写真などがあれば撮影も不要なので、企画費と編集費として30万円~100万円程度の予算をみておけばよいでしょう。
静止画+アニメーションの動画広告
写真やイラストにキャッチコピーを加え、そこにアニメーションを組み合わせた動画の場合も、写真や動画の撮影がなければコストを抑えられます。
アニメーションの制作は、動きの複雑さなどの工数によって費用が変わります。
それほど複雑でないアニメーションであれば、企画費やアニメーション作成費、編集費で50万~120万円程度を考えておけばよいでしょう。
スタジオ撮影の動画広告
専用のスタジオを借りて撮影する場合は、本格的な照明やカメラ・マイクなどの機材を使って動画や写真の撮影を行います。
必要に応じてモデルやキャストの出演もあるでしょう。
撮影した動画や写真を編集して動画効果を加え、アニメーションやナレーション、BGMをつけて動画に仕上げていきます。
この場合にかかる費用は、使用する機材やモデルのランクなどによって大きく変動します。
制作費として合計300万~600万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
サイネージ広告のデザインに必要なソフト
サイネージ広告を作成する際には、素材作成のためのソフトと動画編集のソフトを主に使用します。
それぞれ代表的なソフトウェアとあわせて紹介していきましょう。
画像編集ソフト
写真やイラストなどの静止画を編集・加工するソフトウェアです。
写真の明るさや色調、ピントやコントラスト等の調整や、画像に影をつけたり余計な部分を取り除いたり、反転させたりなどの加工をする際に使用します。
Adobe社の「Photoshop」が代表的なソフトです。
画像作成ソフト
イラストやロゴの作成など絵を描くのに用いるのが画像作成ソフトウェアで、ドローイングソフトともいわれます。
Adobe社の「illustrator」が有名で、ほとんどのデザイナーが使用しているといっても過言ではありません。
非常に高機能で様々な制作の場面で使われているソフトです。
アニメーション作成ソフト
アニメーション作成ソフトは、illustrator等で作成した画像等に動きをつけて動画にするソフトウェアです。
Adobe社の「AfterEffects」が代表的なソフトです。
テレビで目にする動きのあるロゴなどの多くは「AfterEffects」で作られています。
動画編集ソフト
動画編集ソフトは、素材になる動画を取り込んで使う部分を切り出し、つないで作品に仕上げていくソフトウェアです。
画面の切り替えやスローモーション、動画画面の調整など様々な加工や編集作業が可能です。
またAfterEffectsで作成したアニメーションを取り込んで組み合わせたり、字幕をつけたりBGMやナレーション等の音声データを動画につけたりする作業も動画編集ソフトで行います。
Adobe社の「Premiere Pro」がプロ向けの動画編集ソフトとして多く使われています。
サイネージ広告をデザイン会社に依頼する場合の注意点
サイネージ広告を出そうとする際に、多くの企業ではデザイン制作会社への依頼を考えるでしょう。
外注に制作を発注する場合に、どのようなことに注意すればよいのか紹介します。
数社を比較して検討する
発注先を決める場合は、1社に絞る前に複数の制作会社から見積りや実績を出してもらい、得意分野などを見極めて比較検討することが必要です。
その場合も、値段だけで決めず総合的に判断するようにしましょう。
ディレクターが重要
制作会社で現場の作業指示をするのがディレクターです。
依頼する際には、ディレクターとしっかり打ち合わせを行い、お互いに理解し合うのが重要なポイントです。
依頼者側の意向を十分に理解し、表現に落とし込んで提案できるディレクターであれば、効果的な広告制作が期待できます。
コンセプト・ターゲット・商品特性などをしっかり伝える
発注者は制作会社に丸投げせず、しっかりと意向を伝えましょう。
ディレクターと十分打ち合わせを行い、コンセプトやターゲット、商品特性などが制作スタッフにも共有されている状態で広告を作成してもらいます。
出来上がりはきびしくチェックし、伝えたことが反映されているかを確認します。
サイネージ広告のデザインはポイントを押さえて制作しよう
ここまでサイネージ広告のデザイン制作について解説してきました。
サイネージ広告もチラシやポスターと同じように、しっかりとコンセプトを固め、ターゲットを理解したうえで、作成することが重要です。
動画を見てもらうためには、インパクトやわかりやすさを重視し、シーンに合った広告を作ることを心がけるとよいでしょう。
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