欧米ではポピュラーな手法であるアンブッシュマーケティングは、一歩間違えると違法となりかねないことをご存じでしょうか。
「有名企業がアンブッシュマーケティングを実施しているのは知っているが、違法と合流の境界線がわからない」という方も多いと思います。
そこで今回の記事では、アンブッシュマーケティングについての説明と、アンブッシュマーケティングを実施する際に知っておきたい法律や規制について解説します。
あくまで法律で認められる範囲内で行うのが、アンブッシュマーケティングです。
事前に法律や規制について知っておくだけで、不必要なトラブルを避けられます。
ぜひ本記事を読んで知識を得て、参考にしてください。
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目次
アンブッシュマーケティングとは?

アンブッシュマーケティングとは、「イベントの公式スポンサーではない企業が、イベントを連想させるようなプロモーションを実行すること」を指します。
連想させるといっても、ロゴなどイベントが所有する権利を侵害しないで行うことが前提です。
権利を侵害しない前提で、工夫を凝らしながらイベントを連想させ、人々の関心を集める手法です。
特にオリンピックやワールドカップなど、世界的なイベントの際によく活用されています。
アンブッシュマーケティングのメリット・デメリット

アンブッシュマーケティングは効果的なマーケティング手法として注目される一方、その活用にはリスクも伴います。
ここでは、メリットとデメリットを整理して解説します。
アンブッシュマーケティングのメリット
アンブッシュマーケティングのメリットは、次の4つです。
- 低コストで大きな宣伝効果を得られる
- ブランドの認知度を高めることができる
- クリエイティブな発想で話題を作れる
- ターゲット層に効率よくアプローチできる
アンブッシュマーケティングは、公式スポンサーとして莫大な費用を支払うことなく、大規模イベントの話題性を活用できる点が大きなメリットです。
公式スポンサーにはなれなくても、イベントに関連するテーマを活用し、ターゲット層の関心を引くことで効果的なプロモーションを展開できます。
また、公式の広告と差別化し、ユニークなアイデアや斬新なアプローチを採り入れることで、SNSやメディアで拡散されやすくなります。
この効果によって、短期間で大きな注目を集めることが可能です。
さらに、イベントに興味を持つ人々に対してターゲットを絞ったプロモーションができるため、より効果的なマーケティングを実現できます。
アンブッシュマーケティングのデメリット
アンブッシュマーケティングのデメリットは、下記の4つです。
- 法的リスクが伴う
- 企業イメージの低下につながる可能性がある
- 炎上のリスクがある
- イベント主催者や他企業との関係悪化のリスク
アンブッシュマーケティングは公式スポンサーでない企業がイベントと関連付けた宣伝を行うため、法律やガイドラインに違反するリスクがあります。
例えば、イベントのロゴや名称を無断で使用すると、商標権の侵害や不正競争防止法に抵触する可能性があり、訴訟リスクを考えておかなければなりません。
また、消費者が企業の手法を不誠実と感じたり、公式スポンサーと誤解されるような広告が問題視されたりすると、ブランドの信頼性が低下する恐れがあります。
特にSNSの普及により、企業のマーケティング活動が批判の対象となり、炎上するケースも少なくありません。
さらに、イベント主催者や公式スポンサーの企業との関係が悪化すると、将来的に協賛やパートナーシップの機会を失うリスクもあります。
違法なアンブッシュマーケティングをしないために確認すべき法律4つ

アンブッシュマーケティングを実施するにあたり、コンテンツホルダーの権利を侵害してはいけません。
アンブッシュマーケティングにおいて、逆に何が権利侵害に当たらないかを知ることも大切です。
知的財産権として法律で守られている、代表的なものは以下の通りです。
- 著作物
- 登録商標
- パブリシティ権が及ぶ肖像や、氏名
- 不正競争防止法や、アンブッシュマーケティング規制法で規制されている行為
上記を許可なく引用すると、イベント側の権利を侵害してしまうことになります。
アンブッシュマーケティングに関わりのある各法律について詳しくみていきましょう。
法律1:著作権法
著作権法は、小説やアニメ、美術などの著作者の利益を守るために作られた法律です。
著作権法の保護にあたる著作物とは、思想や感情を創作的に表現したもので、美術や文学、文芸・建築などが該当します。
著作権のある著作物を許可なく無断で利用した場合、著作権侵害となります。
著作権を害さない範囲での利用は認められていますが、引用の場合は必ず事前に確認をしましょう。
法律2:商標法
商標法は、商標を使用する人に独占的な使用権を与える法律です。
商標とは、サービスや商品の目印のことをいいます。
引用:Toreru商標検索
もし権利を持っていない人が、商標登録されている商標を使い勝手に商品・サービスを販売すると、商標権の侵害となってしまいます。
類似した商標も勝手に利用することはNGであり、法的な制裁も発生するため注意が必要です。
法律3:不正競争防止法
事業間の公正な競争と、健全な経済の発展を目的に作られた法律が、不正競争防止法です。
不正競争防止法で禁止とされるのは、以下のようなケースです。
- 他社のヒット商品と同じ商品名を使い、自社で販売。
- カルフォルニア産の牛肉を、宮城牛と表記し販売。
- 特定の品質基準を満たしているかのように、偽装し販売。
以下のように不正競争防止法では、禁止行為が定められています。
禁止行為に対し、損害賠償や差止請求、刑事罰が定められており、アンブッシュマーケティングを実行する際には、入念に該当がないか確認してください。
法律4:アンブッシュマーケティング規制法
アンブッシュマーケティング規制法は、大規模イベントの際に各国で制定されているものです。
アンブッシュマーケティング規制法が制定された場合は、従う必要があります。
オリンピック広告におけるアンブッシュマーケティングの規制

無事終幕を迎えた東京2020オリンピック競技大会には、アンブッシュマーケティングに向けた対策が行われてきました。
世界的な大会では通常、コンテンツホルダーの権利やスポンサーの利益を守るため、アンブッシュマーケティングへの対策が実施されます。
重要なことは知的財産権として法律上保護されるもの、保護されないものをしっかりと把握することです。
以下では、東京2020オリンピック競技大会をもとに、例をあげて解説します。
知的財産として法律上保護されるもの
東京2020オリンピック競技大会で知的財産として定められたものは、代表的なもので以下の通りです。
引用:東京2020オリンピック競技大会に関する知的財産保護·日本代表選手等の肖像使用について 更新版(2021年6月10日付)
日本代表選手団やJOCの知的財産についても、明記されています。
引用:東京2020オリンピック競技大会に関する知的財産保護·日本代表選手等の肖像使用について 更新版(2021年6月10日付)
オリンピックに関わる知的財産を流用した広告やPRは禁止されており、オリンピックのパートナーであるかのような誤解を招く広告・PRも禁止です。
個人スポンサーや非営利団体が使用する場合も、表記や商業活動において規制があります。
知的財産として法律上保護されないもの
次に、知的財産として保護されないものとは何かをみていきましょう。
以下は具体例です。
- 色(ユニフォームカラー)の利用
- 「東京」や「2020」など単体フレーズの利用
- 競技種目としてあるスポーツ(サッカーなど)の利用
その他にも、法律やアンブッシュマーケティング規制法にかからないものであれば、利用が可能です。
なお、スポーツイベントのチラシ作成については、下記の記事にまとめているので、あわせてご参照ください。
アンブッシュマーケティングの事例3選

ここでは、アンブッシュマーケティングに成功した事例を紹介します。
- NIKE(ナイキ)
- IKEA(イケア)
- Volkswagen(フォルクスワーゲン)
紹介する事例はいずれも世界的な有名企業であり、アンブッシュマーケティングに成功しています。
大企業だからこそできる戦略もあるかもしれませんが、アンブッシュマーケティングの攻略法のヒントを得られることは間違いありません。
まずは数々のアンブッシュマーケティングを成功させてきた、NIKEから解説していきます。
事例1:NIKE(ナイキ)
国際的なスポーツ大会のたびに、NIKE(ナイキ)はアンブッシュマーケティングをうまく活用しています。
代表的な例をいくつか記載します。
1984年 | ロサンゼルス オリンピック | 「I LOVE LA」キャンペーンを展開。 開催都市であるロサンゼルスとのつながりを強調。 |
1996年 | アトランタ オリンピック | マイケル・ジョンソンに金色のスパイクを提供。 本人が金メダルを獲得したこともあり、話題を集める。 |
2019年 | サッカー女子 ワールドカップ | 開催地域であるパリにちなんで、サプライヤーであるチームユニフォームのPRイベントを、ファッションショー形式で開催。 さらに女性の地位向上や、性別格差の是正についての姿勢を表し、評価を受ける。 |
上記の他にもNIKE(ナイキ)が仕掛けたアンブッシュマーケティングは数多くあり、大会のたびに大きな話題とブランドイメージアップを成功させました。
NIKE(ナイキ)の事例より、公式スポンサーであるかのような錯覚を起こさせたうえで、より自由度のある活動ができるのがアンブッシュマーケティングの強みであるとわかります。
事例2:IKEA(イケア)
スウェーデンの家具メーカーであるIKEA(イケア)は、2018年ロシアワールドカップの際にアンブッシュマーケティングを活用しています。
ロシアワールドカップの開催と合わせて、セパレートできるタイプのソファーを販売しました。
そして違うチームを応援する家族や友人と、一緒に閲覧できるコメントを同時に記載しています。
知的財産は侵害せずとも、ロシアワールドカップとうまく関連性づけ、アンブッシュマーケティングを成功させました。
事例3:Volkswagen(フォルクスワーゲン)
同じく2018年ロシアワールドカップにて、公式スポンサーでないのにもかかわらず、同大会の期間中に自社プロモーションを成功させたのがVolkswagen(フォルクスワーゲン)です。
ワールドカップの大会1ヶ月前には、対戦国の抽選が行われます。
そこでVolkswagen(フォルクスワーゲン)は抽選の結果に合わせて、随時バナーのデザインを変えていきました。
運転席にはロシアのサポーターと思わせる男性が乗っています。
そして対戦相手国のサポーターを思わせる相手が助手席に座り、対戦相手が変わるたび違うサポーターに変わっていったのです。
バナー広告は2日間で4万回のクリックを達成し、550万回のインプレッションを記録しました。
公式スポンサーではなくとも、ワールドカップのタイミングを利用し、ロシアの人々へのプロモーションを見事成功させたのです。
イベント広告の集客については、下記の記事もご参照ください。
事例を参考に正しくアンブッシュマーケティングを実施しよう

今回の記事では、アンブッシュマーケティングについて紹介し、アンブッシュマーケティングを実施する際に知っておきたい4つの法律についても解説しました。
- 著作権法
- 商標法
- 不正競争防止法
- アンブッシュマーケティング規制法
知的財産権として法律上保護されるコンテンツと、保護されないコンテンツの違いを理解しておきましょう。
欧米では成功事例も数多くあるアンブッシュマーケティングですが、著作権などの法律の知識が不足していると、思わぬトラブルや罰則を招く事態になりかねません。
トラブルを防ぐためにも、アンブッシュマーケティング実行有無によらず、アンブッシュマーケティングについて学びましょう。
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