近年、若い世代を中心にテレビ離れが進んでいるといわれています。
2020年度の総務省の調査では、全年代において、平日のインターネット利用の平均時間が、テレビのリアルタイム視聴の平均時間を超えました。
しかし、2021年3月末の内閣府の調査によると、2人以上世帯のテレビの普及率は96.2% で、テレビは未だに影響力の強い媒体であることがわかります。
テレビに広告を出すメリットは、その「圧倒的なリーチ力」と「ターゲット層に左右されない認知の拡大」です。
本記事では、テレビ広告による効果とそのメリット、効果を最大化するためのポイントを解説します。
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テレビ広告とは?
テレビ広告とは、テレビを通じた広告のことです。
いわゆるテレビCMと呼ばれるものが大半ですが、ミニ番組やインフォマーシャルと形式のものもあります。
テレビ広告の仕組み
テレビ広告は、映像や音声を使って商品やサービス、企業そのものを宣伝する目的で発信されます。
広告の効果で売上アップや企業のイメージアップにつなげ、業績を向上させるのが狙いです。
テレビ広告を出したい企業は、広告代理店に依頼するのが一般的です。
企業と広告代理店で打合せをし、広告の種類、予算、広告放映の時期などを検討します。
その後、広告代理店が広告用の動画を制作し、テレビ局の放送枠を購入します。
テレビ広告が実際に放送されるまで、企画の段階から数カ月かかるケースが多いです。
テレビ広告の概要は「テレビ広告とは?特徴や種類・仕組みなどを詳しく解説」でも詳しく解説しています。
テレビ広告の主な種類
テレビ広告にはいくつか種類があり、場面に合わせて使い分けられます。
- タイムCM
- スポットCM
- ミニ番組
- インフォマーシャル
なお、テレビ広告の費用については「テレビ広告の費用はどれくらい?制作費と放送料金の目安を解説」で詳しく解説しています。
タイムCM
タイムCMとは、企業が特定の番組のスポンサーとなって放送するCMのことです。
番組の最初と最後に「この番組は〇〇の提供でお送りします」という提供の表示を見たことがありませんか?
タイムCMは、CMを放送したい番組と秒数を決めてその枠を購入する形式で、秒数は30秒・60秒・90秒です。
特定の番組を見ている層へのブランディング効果が主な狙いです。
自社商品の顧客層に合う番組を選べば、視聴者に向けて強く訴求できるでしょう。
また、最低放送期間が半年と長いので、企業のブランディングや大型の新商品発売などに使うと効果的です。
スポットCM
スポットCMとは、番組に関係なくテレビ局が定める時間に挿入されるCM枠のことです。
番組の指定はできませんが、金額、期間、放送したい時間帯のパターンなどに合わせて流せます。
放送秒数は15秒からで、契約期間の縛りがなく短期間でも問題ありません。
タイムCMのように番組で提供の表示などをしてもらうことはできませんが、幅広い層にアピールする場合や、地域・時間帯を絞った内容を放送する場合に使われます。
スポットCMについて詳しくは「TVのスポットCMとは?タイムCMとの違いやメリット・デメリットを解説」を参考にしてください。
ミニ番組
ミニ番組とは、30分や60分番組の間で放送される2~3分程の番組のことです。
毎時55分前後から約4~5分間、天気予報やスポットニュース、暮らしの情報などが流れるのを見たことがありませんか?
ミニ番組は前後の番組と同質の視聴質を得られ、ゴールデンタイムでの放送は高視聴率を獲得するケースもあります。
一般的な共同提供の番組とは違い、基本的には1社での提供となる為、他社のCMを排除しその時間帯を占有できます。
そのため、ミニ番組を中・長期的に展開することで、企業のブランディングにつながるでしょう。
インフォマーシャル
インフォマーシャルとは、商品やサービスに関する情報をテレビで紹介する通販CMの一種です。
よく目にする例は、ジャパネットたかたの通販CMでしょう。
食品や健康食品などから車や家電まで、さまざまなジャンルの宣伝で活用されています。
一般的なテレビCMは15秒や30秒ですが、インフォマーシャルは短いもの(短尺)で60秒から、長いもの(長尺)は29分まであります。
短尺ほど沢山オンエアできるので、視聴者に見られる可能性が高まり認知されやすいのが特徴です。
逆に長尺はじっくり商品について説明できるため、訴求力が高まり商品について理解した上での購入に結び付きやすいでしょう。
インフォマーシャルについて詳しくは「インフォマーシャルとは?事例やメリット・費用を解説!」を参考にしてください。
テレビ広告の3つの目的
企業はなぜ、多額の費用をかけてテレビ広告を出稿するのでしょうか。
テレビ広告の3つの目的について解説します。
- 認知度を高める
- ブランドイメージを定着させる
- 商品やサービスの売上をアップさせる
認知度を高める
テレビ広告の大きな目的は、認知度を高めることでしょう。
テレビ広告の特徴として、不特定多数の人に早く、広く知ってもらえるという面があります。
昨今は若者のテレビ離れが加速していると言われていますが、それでも依然としてテレビ広告には高い影響力があります。
テレビ以外、例えばSNSやWebなどにも広告は掲載できますが、これらのメディアを利用している限られた人にしか訴求効果は望めません。
これに対して、年齢や性別問わず不特定多数の人が目にするのがテレビ広告です。
しかも、テレビの普及率は96%を超えており、企業や商品の認知度を上げるためにとても有効な広告手法なのです。
ブランドイメージを定着させる
テレビ広告には、自社のブランドイメージを定着させる効果も期待できます。
ブランドイメージとは、自社の商品やサービス、または企業そのものに対する「顧客からの共通したイメージ」のことです。
テレビ番組中に何度もテレビ広告が流されることで、視聴者にブランドイメージを印象付けられます。
商品やサービスに対して特定のイメージを訴求することで、ブランドイメージを確立したり強化したりできるのです。
例えば、富裕層をターゲットにしているなら高級感を、女性をターゲットにしているなら清潔感を、といった具合に、企業や商品のイメージを誘導します。
また、テレビは信頼できるメディアであるというイメージが確立しています。
テレビ広告を出稿すること自体が、企業や商品の「安心感」や「信頼感」につながり、企業のイメージアップに役立つのです。
商品やサービスの売上をアップさせる
今やインターネットでほとんどの物が買える時代です。
しかし、インターネット検索による購買行動が増えた現在でも、テレビ広告の効果が商品の売上に寄与するところは大きいです。
テレビ広告は、個人の興味や関心に関係なく流れます。
その商品サービスに興味がなかった人や、自分でインターネット検索しなかった人に対して訴求し、購買につながるため、売上アップが狙えます。
また、テレビ広告を通して企業や商品の認知度が高まり、良いブランドイメージが確立されれば、商品を購入してもらえる機会も多くなるでしょう。
特に、低価格帯の商品は購入のハードルが低いため、テレビ広告を見た後、思わず購入した経験が多くなる傾向があります。
テレビ広告の効果とメリット
ここでは、テレビ広告の効果とメリットを紹介します。
- 素早く情報を届けられる
- 属性問わず幅広い層にアプローチできる
- 興味関心を呼び起こせる
素早く情報を届けられる
テレビ広告は、商品やサービスの情報をいち早く伝えられます。
テレビの普及率は96%を超えており、国民の74%がテレビを視聴しています。
テレビ離れが進んでいるとはいえ、国民の大半が視聴していることで情報伝達のスピードは速いです。
そのため、短期間で効果が出やすく、すぐに目標を達成したい場合に向いているでしょう。
属性問わず幅広い層にアプローチできる
テレビ広告は、老若男女問わずさまざまな層に商品やサービスの魅力を届けられます。
インターネット広告ではターゲティングをして“個”に訴求しますが、テレビ広告はメインターゲットに加えその周辺層にもリーチできるのが特徴です。
テレビ広告は、ターゲット層のみに視聴されるわけではなく、あくまで不特定多数の人が見る媒体で放送されます。
例えば、家族や友人が見ているからと何気なく一緒に見ていたテレビから、テレビ広告を通じて商品やサービスを知るケースも多いでしょう。
多くの人に魅力が伝われば、本来ターゲットではなかった層からも購入のアクションがあるかもしれません。
単純に売上数を伸ばすには、テレビ広告は効果を発揮しやすい方法でしょう。
興味関心を呼び起せる
テレビは、ユーザーの潜在的な興味を関心を掘り起こしやすいメディアです。
スマホやパソコンを使う場合、ユーザーは能動的に情報収集を行っていることがほとんどです。
インターネット広告に接触したとしても、興味がないと思われた広告は読み飛ばされてしまいます。
一方、テレビは受動的なメディアであり、視聴者が情報を受け取ることを目的としている場合や、なんとなくテレビを付けて情報収集をしている場合が多いです。
そのため、継続的にテレビ広告を放送し続けることで、興味関心が薄い人にも注目してもらえる可能性が高まるでしょう。
テレビ広告の効果を最大限に引き出すための4つのポイント
テレビ広告は大きな効果が期待できますが、何も考えずに出稿するだけでは、なかなかポジティブな効果を得られません。
そこで、効果を最大限に引き出すためのポイントを紹介します。
- ターゲット層・目的を明確にする
- 放映する時間帯・曜日・エリアを考える
- テレビ広告の種類を考える
- 費用対効果を考える
ターゲット層・目的を明確にする
テレビ広告の効果を引き出すためには、ターゲット層や目的に合った内容を意識するのがポイントです。
ターゲット層は同じでも、企業のブランドイメージ向上を目的とするか、新商品の認知を目的とするかで内容は異なるはずです。
また、新商品の認知が目的でも、特定のターゲット層に向けるのか、広く一般視聴者に向けるのかでは、やはり内容は異なるでしょう。
出稿の目的を考えたうえで、対象とするターゲット層に合ったテレビ広告を作るのが大切です。
放映する時間帯・曜日・エリアを考える
テレビの視聴者層は、番組や時間帯・曜日によって変化します。
ターゲットとなる層を明確にしたら、次はその層に合った番組や時間帯にテレビ広告を出稿すると、より高い効果が期待できます。
例えば、主なターゲット層が会社員である場合は、仕事を終えて帰ってきた平日夜の時間帯で、放映するとよいでしょう。
また、専業主婦・主夫層がターゲットなら平日の朝、シニア層がターゲットなら深夜は避けるなどの対策が考えられます。
加えて、放映エリアも考える必要があり、ターゲットが少ないエリアでは、宣伝の効果も期待できません。
効果を高めるためにも、放映する時間帯や曜日・エリアをしっかりと検討しましょう。
テレビ広告の種類を考える
テレビ広告の効果を最大限に引き出すためには、広告の種類を検討する必要があります。
テレビ広告はCMが大半ですが、それも大きくタイムCMとスポットCMの2種類に分けられます。
また、ミニ番組やインフォマーシャルなどテレビ広告は種類によって特徴が異なるため、自社の商品やサービスに合わせた選定が重要です。
費用対効果を考える
テレビ広告は、他のメディアの広告と比較して金額が高くなりやすい傾向があります。
一般的に、テレビCMの放送料は、視聴率の高い番組ほど高くなり、テレビ局や放送の時間帯・曜日によっても費用が異なります。
特に、視聴率の高い全国放送の番組では、1回の放送で1,000万円近い放送料がかかることもあり、費用に効果が見合うのか考えなければなりません。
しかし、年齢や性別などターゲット層を把握していれば、テレビ広告を放送する時間帯・曜日・エリアもある程度絞り込めます。
ターゲットに合致したタイミングでテレビ広告を流すことで、高い費用対効果が見込めるでしょう。
テレビ広告の効果測定の方法
テレビ広告は、これまで効果測定が困難だといわれていました。
しかし、現在では細かい分析手法が発達してきたこと、ビッグデータの活用が可能になったことなどから、その難易度は徐々に低下しているといえます。
ここからは、テレビ広告の効果測定の方法を2つ紹介します。
- GRPで測定する
- Webサイトへの流入数で測定する
GRPで測定する
テレビ広告の効果を測るオーソドックスな方法は、GRP(Gross Rating Point:延べ視聴率)の活用です。
GRPとは、特定の期間に流れたテレビ広告の世帯視聴率を合計した数値です。
例えば、視聴率10%の番組にテレビ広告を10本流したら、GRPは10×10=100となります。
GRPは高ければ高いほど効果も高いものの、世帯視聴率は、テレビをつけているだけで視聴しているとカウントされてしまいます。
そのため、より正確に効果を測定するのであれば、ほかの方法と併用するのがよいでしょう。
Webサイトへの流入数で測定する
自社のWebサイトへの流入数で、テレビ広告の効果測定が可能です。
テレビ広告が流れた後、企業名や商品名などによる検索数がどれだけ増えたか、Webサイトへの流入が増えたかを測定します。
例えば、Google Analitycsを導入していれば、対象期間前と後でページの閲覧数がどれだけ上がっていたか、さらにそれを地域別や年齢・性別ごとに確認できます。
Google Analyticsは無料で導入できるので、まだ導入していない場合は前向きに検討するとよいでしょう。
テレビ広告の効果やメリットを押さえて活用しよう
テレビ広告にはさまざまな種類があり、それぞれ向き・不向きがはっきりと分かれています。
自社の商品やサービスのターゲット層を明確にし、どのようなマーケティングを展開するかを考えることで、テレビ広告の種類を適切に選択可能です。
また、これまで困難とされてきた効果測定の方法も確立してきています。
テレビ広告の効果がきちんと出ているかをフィードバックすることで、より効率的に次のテレビ広告を打ち出せるでしょう。
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