選挙が近づくにつれ、広報戦略の一つとして新聞広告を検討する方は少なくありません。しかし、「法律違反にならないか」「費用はどのくらいかかるのか」といった不安も尽きないでしょう。
そこでこの記事では、選挙で新聞広告を活用する際のルールや費用、手続きについて分かりやすく解説します。
最後まで読めば、公職選挙法違反のリスクを避けつつ、限られた予算で効果的な新聞広告を出すための知識が身につきます。
また弊社では、新聞広告の効果や成功事例、出稿方法などを解説しています。詳しく知りたい方はぜひ「新聞広告の解説本」バナーをクリックして資料をダウンロードしてみてください。
目次
選挙で新聞広告が使われる理由

インターネットが普及した現代でも、独自の強みを持つ新聞は選挙運動において重要です。まずは他の広告媒体と新聞広告を比較し、新聞広告の特徴を理解しましょう。
高齢層・固定読者層に届く
新聞広告が選挙で今も活用されている大きな理由の一つは、高齢層や固定読者層に確実に情報を届けられる点です。
新聞通信調査会が実施した「第18回 メディアに関する全国世論調査(2025年)」によると、月ぎめで新聞を購読している人の割合は、年代が高くなるほど高い傾向が見られました。
- 60代:約74%前後
- 70代以上:78.3%
上記の年代は投票率も高い傾向にあるため、新聞広告を通じて訴求することで、選挙結果に影響を与える有権者層へ直接アプローチできる手段となります。
公式性・信頼性を示しやすい
新聞広告は公式性や信頼性を示しやすく、選挙では特に重要です。新聞社は厳格な掲載基準を設けており、審査を通過した広告は一定の信頼性が担保されます。
そのため候補者や政党は、新聞広告を通じて自らの政策や理念を「信頼できる情報」として有権者に届けられるでしょう。
情報の真偽が疑われやすいインターネット広告と比べ、新聞広告は内容の信頼度が高く、クリーンな選挙運動を印象づける手段として有効です。
地域での認知を一気に高められる
選挙で新聞広告が活用される理由の一つに、地域での認知向上があります。
地方選挙では、限られた期間で地域住民に候補者の存在を知ってもらうことが極めて重要です。しかし、街頭演説や選挙カーの活用だけで認知を大幅に高めるのは難しいでしょう。
一方、地方紙や全国紙の地域版に広告を掲載すれば、決まった時期に特定エリアの有権者へ情報を届けられます。広告を掲載する新聞や掲載のタイミングを慎重に検討することで、地域認知を効率的にアップできるでしょう。
公職選挙法の違反事例3選

選挙活動で最も重要なのが、公職選挙法の遵守です。公職選挙法に違反してしまうと、選挙運動全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、特に地方選挙で注意したい典型的な違反事例を3つ紹介します。
告示前に掲載してしまう
選挙の新聞広告で特に多い違反が、告示前に掲載してしまう「事前運動」です。公職選挙法では、告示日より前に特定の候補者への投票を呼びかける行為が禁止されています。
一方、政策の周知や活動報告といった政治活動は合法とされており、線引きが分かりにくい点が問題になりがちです。
広告の目的や表現、時期を総合的に見て判断されるため、出稿タイミングと内容には細心の注意が必要です。
誇大表現や虚偽の実績を記載してしまう
新聞広告で候補者の魅力を伝える際に注意すべきなのが、誇大表現や虚偽の実績を記載することです。実績や経歴をそのままアピールすること自体は問題ありませんが、事実に基づかない内容や根拠のない表現は公職選挙法上認められていません。
「日本一」「必ず実現」などの断定的で最大級の表現や、実在しない実績を記載すると、有権者を欺く行為と判断されるおそれがあります。客観的な事実をもとに、誠実な表現を心がけましょう。
金品提供・利益誘導とみなされる
選挙新聞広告で注意すべき違反の一つが、金品提供や利益誘導とみなされる行為です。
新聞広告にクーポンを付けたり、広告を見た人へのプレゼントや特典を告知したりすると、有権者に経済的利益を与える行為と受け取られるおそれがあります。
公職選挙法の第199条や第221条では、有権者への寄付や金品の提供を厳しく禁止しており、広告を通じた利益供与も買収と判断されかねません。
選挙広告では政策や理念の訴求に徹し、金銭的な誘因を伴う表現は絶対に避けましょう。
選挙の新聞広告サイズ・掲載回数のルール

選挙の新聞広告では候補者間の公平性を保つため、サイズや掲載回数に厳格なルールが定められています。立候補する選挙のルールを、正確に把握しておきましょう。
選挙新聞広告におけるサイズ規定と段数
選挙新聞広告では、サイズと段数に関する明確な規定が設けられています。
原則として広告の大きさは「横94mm×縦2段以内」とされており、新聞紙面を構成する「段」という単位に基づいて管理されます。これは、特定の候補者だけが大きな広告を掲載できないようにするためのものです。
新聞社ごとに紙面構成は異なりますが、選挙広告では基本サイズを必ず守りましょう。
新聞社ごとのサイズ仕様
選挙新聞広告では、新聞社ごとの仕様にも注意が必要です。法律では広告サイズが段数で定められていますが、実務では具体的なミリメートル数を把握しておくことも重要です。
主要紙では以下のように、ほぼ共通した仕様が採用されています。
- 朝日新聞:縦2段=66mm
- 読売新聞:縦2段=66mm
- 毎日新聞:縦2段=66mm
- 産経新聞:縦2段=66mm
- 東京新聞・中日新聞:縦2段=66mm
入稿時は必ず出稿先の指定サイズを確認し、サイズ違反による掲載トラブルを防ぐことが大切です。
掲載回数・掲載日数の基本ルール
選挙新聞広告では、サイズだけでなく掲載回数や掲載日数にも明確なルールがあります。掲載できる回数は選挙の種類ごとに上限が定められており、特に地方選挙では回数が限られています。
| 選挙の種類 | 新聞広告の掲載回数(上限) |
|---|---|
| 衆議院議員選挙(小選挙区) | 5回 |
| 参議院議員選挙(選挙区) | 5回 |
| 都道府県知事選挙 | 4回 |
| 市区町村長・地方議会議員選挙 | 2回 |
限られた回数を最大限に活かすため、告示直後や投票日直前など、訴求効果の高い日程を慎重に検討しましょう。
選挙における新聞広告費用の目安と料金相場

新聞広告にかかる費用は、掲載する新聞社の影響力や発行部数によって大きく変動します。
広告費には掲載料だけでなく、原稿の制作費なども含まれるため、全体の予算を把握することが大切です。
新聞広告の掲載費用の目安
地方紙と全国紙で異なる費用
選挙新聞広告の費用は、全国紙か地方紙かによって大きく変わります。発行部数や配布エリアの違いが掲載料に直結するため、選挙の種類に応じた選択が重要です。
- 全国紙:発行部数が多く掲載料は高めだが、知名度や権威性を訴求しやすい
- 地方紙:地域密着型で掲載料が比較的安く、選挙区内の有権者に効率よく届く
- 全国紙の地域版:配布エリアを限定でき、費用対効果を高められる場合がある
特に地方選挙であれば、地方紙や地域版の活用が予算を有効に使うポイントです。
原稿制作費・デザイン費・代理店手数料の内訳
選挙新聞広告の費用を考える際は、新聞社へ支払う掲載料だけでなく、付随するコストも含めて把握することが重要です。
広告原稿を外部に依頼する場合、デザイン制作や写真撮影、キャッチコピー作成などの原稿制作費が発生します。
また、広告代理店を通じて出稿する場合、掲載料とは別に掲載料の約15~20%を代理店手数料として支払う必要があります。かかるコストの総額を把握したうえで、予算配分を検討することが大切です。
選挙の新聞広告における公費負担

公費負担制度は、選挙運動にかかる費用の一部を国や自治体が負担する制度です。しかし、制度が新聞広告に適用されるかは選挙の種類によって決まるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
地方選挙の新聞広告が自己負担となる理由
地方選挙における新聞広告は、原則として公費負担の対象外となります。市区町村長選挙や地方議会議員選挙では新聞広告に公費負担制度が適用されず、掲載費用はすべて候補者の自己負担です。
限られた選挙資金の中で新聞広告を使うかどうか、費用対効果を踏まえた慎重な判断が求められます。
| 選挙の種類 | 公費負担の有無 | 費用負担 |
|---|---|---|
| 国政選挙(衆議院・参議院) | あり | 公費 |
| 都道府県知事選挙 | あり | 公費 |
| 市区町村長選挙 | なし | 自己負担(私費) |
| 地方議会議員選挙 | なし | 自己負担(私費) |
地方選挙では、他の広報手段との併用も含めた資金配分が重要です。
国政選挙・知事選で新聞広告が公費対象となる条件
国政選挙や都道府県知事選挙では、新聞広告費が公費負担の対象となります。候補者の経済的負担を軽減し、選挙の公平性を保つための制度です。
ただし、すべての候補者が無条件で利用できるわけではなく、一定の得票数を得るなど法律で定められた要件を満たす必要があります。
さらに、公費負担を受けるには、新聞広告掲載証明書の提出など所定の手続きを正確に行うことが不可欠です。
公費負担の上限額と自己負担が発生するケース
選挙における新聞広告の公費負担には、あらかじめ上限額が定められています。公費負担の対象となる選挙であっても、新聞社の掲載料がその上限額を超えた場合、超過分は候補者の自己負担です。
出稿前に公費負担の上限額と実際の掲載料を照らし合わせ、自己負担が発生するかどうかを確認しておきましょう。
事前に把握しておくことで、想定外の出費を防ぎ、選挙資金を計画的に管理しやすくなります。
新聞広告掲載証明書の概要と取得の流れ

公費負担制度を利用する場合、手続きの一環として新聞広告掲載証明書が必要になります。新聞広告掲載証明書は、広告が確かに掲載されたことを証明するためのものです。
手続きは複雑なため、流れを事前に理解しておくとスムーズに進められます。
新聞広告掲載証明書が必要となる場面
新聞広告掲載証明書が必要となるのは、国政選挙や都道府県知事選挙において、新聞広告の費用を公費負担として申請する場面です。
公費で広告費を賄うためには、選挙管理委員会が交付する証明書を候補者から新聞社や広告代理店へ提出する必要があります。手続きが行われて初めて、公費負担の対象として正式に処理される仕組みです。
提出が漏れると公費負担が認められないため、対象選挙では必ず必要書類として把握しておきましょう。
新聞広告掲載証明書の発行元と取得の流れ
新聞広告掲載証明書は、候補者が立候補の届け出を行った選挙管理委員会が発行元となります。
公費負担を利用して新聞広告を出稿する場合、新聞広告掲載証明書を起点に一連の手続きが進みます。取得後の基本的な流れは、以下の通りです。
- 候補者が選挙管理委員会から「新聞広告掲載証明書」を受け取る
- 候補者が広告代理店、または新聞社へ証明書を提出する
- 広告代理店が新聞社と連携し、掲載手続きを進める
- 新聞広告の掲載後、新聞社が掲載実績を証明し、公費請求の手続きに入る
上記の流れを把握しておくことで、公費申請をスムーズに進めやすくなります。
選挙新聞広告の出稿手順

ここでは、実際に新聞広告を掲載するまでの手順を具体的に解説します。選挙期間中はスケジュールがタイトになるため、計画的に準備を進めましょう。
Step1:選挙区・選挙種別を確認する
選挙新聞広告を出稿する際に最初に行うべきなのが、立候補する選挙の種類と選挙区を正確に確認することです。
選挙区や選挙種別によって、公職選挙法第149条で定められている掲載回数や広告の扱いが異なります。違反や無駄な出稿につながらないよう、慎重にチェックしましょう。
選挙区を把握することで、どの地域の有権者を主なターゲットとすべきかも明確になります。以降の新聞社選定や出稿戦略を決める基礎として、最初に整理しておくことが重要です。
Step2:出稿先の新聞社または代理店を選定する
次は、選挙区の有権者が多く購読している新聞を基準に、出稿先の新聞社や代理店を選定します。
新聞はそれぞれ読者層や配布エリアが異なるため、地方紙にするのか、全国紙の地域版にするのかを慎重に検討する必要があります。選挙区に届かない媒体を選ぶと費用対効果が下がるため、配布範囲の確認も欠かせません。
手続きや法令面に不安がある場合、選挙広告に詳しい広告代理店へ相談することで、出稿までの流れがスムーズになります。
Step3:掲載サイズ・掲載日・回数を決定する
新聞広告の出稿先が決まったら、掲載サイズや掲載日、回数を決定します。必ず公職選挙法で定められた範囲内で設定しましょう。
特に地方選挙では、新聞広告の掲載回数が2回に限られているため、いつ広告を出すかが重要です。
「告示日直後に認知を広げるのか」「投票日が近づいた段階で訴求するのか」など、選挙戦全体の流れを踏まえて最も効果的なタイミングを見極めましょう。
Step4:広告原稿を作成する
広告原稿の作成では、候補者の政策や理念、人柄が限られたスペースでも正しく伝わることが重要です。
特に次の点を意識すると、より効果的な原稿になりやすいでしょう。
- 高齢層を想定し、文字サイズやフォントは読みやすさを優先する
- モノクロ印刷を前提に、顔写真は明暗やコントラストを調整する
- 専門用語を避け、誰でも理解できる表現で政策を説明する
内容と表現の両面から丁寧に仕上げることが大切です。
Step5:内容確認と修正対応を行う
新聞社の掲載基準や公職選挙法に抵触していないかを確認するため、作成した広告原稿は事前に厳しく審査されます。
原稿の段階で問題点が見つかると、表現の修正や内容の調整を求められることがあります。新聞社から修正指示が出た場合、掲載スケジュールに影響しないよう速やかに対応することが重要です。
審査には一定の時間を要するため、余裕をもって原稿を完成させておくのがおすすめです。
Step6:掲載スケジュールを確定させる
原稿の審査が完了したら、最終的な掲載日や掲載面を確定させます。スケジュールを固めることで、選挙期間中の広報計画が明確になります。
新聞広告には厳格な入稿締め切りが設けられており、期限を過ぎると掲載自体ができなくなります。
選挙期間中は通常より締め切りが早まることもあるため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
Step7:新聞広告を掲載し必要書類を受け取る
掲載日には、予定どおり新聞に広告が掲載されているかを必ず確認します。掲載後は、新聞社や広告代理店から掲載紙や請求書などの関係書類を受け取る流れになります。
掲載後に受け取れる書類は、費用精算や公費負担の申請に必要となる重要な資料です。特に公費負担を利用する場合、新聞広告掲載証明書など手続きに必要な書類がすべて揃っていることが重要です。
後から不足に気づくと手続きが滞るため、掲載直後の段階でまとめて管理しておきましょう。
まとめ:ルールを守った新聞広告で効果的な選挙戦略をしよう

選挙における新聞広告は、高齢層や地域の有権者に確実に情報を届けられる有効な広報手段です。一方、公職選挙法を正しく理解せずに出稿すると違反につながるおそれがあります。
ルールを守ったうえで計画的に新聞広告を活用し、限られた選挙期間でも効果的な選挙戦略を実現しましょう。
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