「自治体広告って掲載するメリットはある?」
「自治体広告の費用ってどのくらい?」
自治体広告の存在は知っていても、自治体広告の種類や魅力、費用までは詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
自治体広告は、広告費が入るため自治体側に大きなメリットがあります。
また、広告を出して商材の認知度アップ・顧客の増加を狙う企業側にとってもメリットが多いです。
今回は、自治体広告の種類や魅力、費用などについて解説します。
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自治体広告とは?
自治体広告とは、自治体が持っている媒体やスペースなどに出せる広告のことです。
民間の企業が自治体に費用を支払い、広告を掲載します。
住民向けの広報誌や、市役所で発行された書類を持って帰るための封筒などに広告が掲載されているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
大きな市役所では、デジタルサイネージを設置して広告を掲載しているケースもあります。
自治体は公共団体であることから高い掲載基準を定めており、基準を満たした広告のみ掲載しているため、商材に対する信頼を得やすい広告です。
ただし、信頼を得やすい広告である一方で「自治体が特定の民間企業の広告を掲載しても良いのか」という声もあります。
しかし法的には問題なく、実際に掲載するかどうかは各自治体の判断にゆだねられているのが現状です。
参考:有料広告の掲載に問題はあるか(広報Q&A):日本広報協会
なお、掲載基準は自治体により異なります。
「ギャンブルに関するものは禁止」「占いや運勢判断に関するものは掲載NG」などさまざまな規定があるため、掲載を考える際は確実に確認しなくてはなりません。
なぜ自治体が広告掲載に乗り出しているのか?
自治体広告が広まっている理由は、以下の通りです。
- 自治体が財源を確保するため
- 地域を活性化させるため
- 住民へ情報提供するため
今は多くの自治体が財源不足のため、特に「自治体の新たな財源確保」に期待を寄せる自治体が多いです。
自治体が管理する媒体やスペースに、有料で民間の広告掲載をおこなえば広告収入が得られるため、導入する自治体が増えています。
自治体広告の種類と費用
自治体広告は主に、以下11種類があります。
- 広報誌・ガイドブック
- 封筒広告
- ゴミ袋広告
- 役所内でのポスター・デジタルサイネージ広告
- 自治体職員の給与明細
- 公用車・ゴミ収集車
- コミュニティバス
- 案内用モニター
- バナー広告
- ネーミングライツ
- イベントのタイアップ
それぞれの特徴や費用を解説します。
広報誌・ガイドブック
広報誌やガイドブック内の広告枠に、企業が訴求したい商品やサービスなどの情報を掲載し、認知や購入・利用を促します。
自治体が発行する広報誌とは、該当自治体に住む全世帯に地域の情報を提供するために、定期的に配布するものです。
ガイドブックでは、その自治体でおこなわれるイベントや施設などについての案内や説明を載せています。
広報誌とガイドブックを分けずに、広報誌1冊ですべてを載せている自治体もあります。
料金は、例えば東京都中野区だと広告1号(縦50mm×横60mm)で65,000円~です。
広告1号(縦50mm×横60mm) | 65,000円 |
広告2号(縦50mm×横85mm) | 97,500円 |
広告3号(縦50mm×横125mm) | 130,000円 |
広告4号(縦50mm×横150mm) | 162,500円 |
広告5号(縦50mm×横185mm) | 195,000円 |
広告6号(縦50mm×横30mm) | 39,000円 |
参考:なかの区報の広告を募集しています(2024年度) | 中野区
全世帯に配布されるものであるため、比較的高い訴求効果を得やすいです。
また、保管性が高く必要なときに何度も見返すことが多い媒体のため、必然的に広告を見る頻度も高くなるでしょう。
封筒広告
封筒広告は、窓口用封筒や送付用封筒があります。
窓口用封筒は窓口に置いてある封筒のことです。
住民票などさまざまな証明書を窓口で発行した後、持ち帰り用として置いてある封筒に広告を掲載できます。
封筒の表面に複数の企業が広告を載せる形式と、広告主自身が広告を載せた封筒を作って自治体に提供する形式とあるのが特徴です。
送付用封筒は、自治体が住民や企業などに書類を送る際に使用する封筒です。
ここでは、東京都町田市の封筒広告の費用を紹介します。
広告媒体 | 広告媒体の説明 | 広告規格・数量 | 広告価格 |
市民税・都民税申告書送付用窓付封筒 | 市民税・都民税申告書を送付するための封筒 【発行部数】24,000部/年 | 【広告規格】 封筒裏面、縦6センチメートル×横17.5センチメートル | 1枠 30,000円 |
軽自動車税納税通知書発送用封筒 (広告付物品寄附) | 軽自動車税(種別割)納税通知書を送付するための封筒 【発行部数】69,500部/年 | 【広告規格】 封筒裏面、縦6.5センチメートル×横15.5センチメートル | 物品寄附 |
固定資産税・都市計画税納税通知書用封筒 (広告付物品寄附) | 固定資産税・都市計画税納税通知書を送付するための封筒 【発行部数】151,500部/年 | 【広告規格】 封筒裏面、縦7.0センチメートル×横18.3センチメートル | 物品寄附 |
償却資産申告書用封筒 | 償却資産申告書を事業者に送付するための封筒 【使用時期】12月 【発行部数】6000部/年 | 【広告規格】 縦8.5センチメートル×横11.5センチメートル、青色(単色) 【数量】封筒裏面4枠 | 1枠 10,000円 |
広告の募集は随時おこなっており、空き枠がなくなり次第終了の場合もあれば、募集時期が決まっている場合もあります。
ゴミ袋広告
ゴミ袋広告とは、自治体が指定するゴミ袋に広告を印刷する手法です。
自治体にもよりますが、掲載期間は半年が目安で長く広告掲載ができます。
ゴミ袋は1週間に1~2回ほどは使うものであるため、接触頻度・反復性が高いです。
また、広告感を出すことなく自然に訴求できます。
費用相場として、例えば町田市では次の通りです。
可燃ゴミ袋20L | 227,700円 |
可燃ゴミ袋40L | 172,700円 |
おむつ専用ゴミ袋20L | 75,900円 |
費用も自治体によって異なりますが、出す頻度が高いゴミ袋ほど高くなる傾向があります。
役所内でのポスター・デジタルサイネージ広告
役所内でのポスター・デジタルサイネージ広告は、役所の入口付近やカウンター近くにポスターを貼ったり、デジタルサイネージを設置して動画や画像を映したりする手法です。
役所に来た人が必ず通る・目に入る場所に掲載できるため、高い視認性を持っているのがメリットといえます。
費用は例を挙げるなら、東京都国立市だと75インチ横型のデジタルサイネージで1枠あたり月額30,000円です。
放映する時間や回数などは自治体によって異なります。
サイネージ広告については「サイネージ広告の効果とは?活用例や効果を高めるポイントも解説」で詳しく解説しているため、ぜひ一度ご覧ください。
自治体職員の給与明細
自治体の職員に発行される給与明細の裏面などに載せる広告を、給与明細広告といいます。
給与明細は一定期間保管することが多いでしょう。
家族が目にすることもあるため、職員本人だけでなく複数人に対して訴求ができます。
また、反復性も高いため、ふと給与明細を見返したときに広告が目に入ることで購入・利用につながる可能性が高いです。
給与明細はサイズ自体がそこまで大きくないものの、費用が少し高めです。
例えば千葉県千葉市だと7カ月契約で210,000円から広告が出せます。
公用車・ゴミ収集車
自治体が使用する公用車やゴミ収集車に、マグネットシートなどで広告を載せます。
走行中や停車中に通行人に見てもらえるため、効率良く認知度をあげることが可能です。
ゴミ収集車は特に大型車両で目立つため注目されやすいうえ、毎日どこかでゴミ回収のために走っているため、広告に接触する頻度も高いです。
広告を掲載すれば、商品やサービスに興味を持ってもらえる可能性が高まるでしょう。
費用相場は、例えば東京都八王子市だと1台につき年間300,000円です。
公用車は、町田市のコミュニティバスの車内広告で月額3,000円からとなっています。
コミュニティバス
自治体内を走るコミュニティバスに広告を掲載する手法です。
公用車・ゴミ収集車と同様にマグネットシートなどで広告を載せる方法もありますが、バス停のバスシェルター本体やバス時刻表の紙面などに載せるといった方法もあります。
走行中や停車中に通行人に見てもらいやすいため、広告を掲載すれば商品やサービス認知度をあげられるでしょう。
バスの台数や掲載場所などは自治体によって異なりますが、東京都小平市の場合は車内の窓上で1,000円×3台分=3,000円(税別)です。
運転席背面なら2,000円×3台分=6,000円(税別)で、窓上でも運転席背面でも期間は1カ月、規格はB3です。
案内用モニター
役所の窓口近くに設置されている案内用モニターに広告を出す手法です。
受付番号を表示して人の呼び出しに利用されることが多いですが、呼び出すまでの間に広告画像や動画を挟んで表示もできます。
案内用モニターは広告代理店を挟んでの制作依頼であることが多いです。
代理店が間に入る場合の費用は、役所のホームページなどには掲載されていません。
掲載を考える際は、代理店に直接問い合わせる必要があります。
バナー広告
自治体のホームページにバナー広告を載せる手法です。
ホームページのトップに表示されることが多いため、検索したユーザーの目に留まることが多く効果が期待できます。
また、自治体のホームページは行政が運営しているため信頼性も高いです。
広告主や広告内容に対して信用してもらいやすいため、商材の利用や購入につなげやすくなるでしょう。
認知度の向上はもちろん、ブランド力アップにも効果的です。
バナー広告の費用は、例えば東京都町田市なら月間25,000円から出せます。
契約期間が一定の期間を越える場合は割引になるなど、お得に出稿できるケースもあるため、掲載の際は事前に確認しましょう。
ネーミングライツ
ネーミングライツとは、公共施設やスポーツ施設、公園などに名前をつける命名権および命名権に付帯する権利をいいます。
自治体が販売している命名権を企業が買い取って、名前をつける広告手法です。
施設ではなく、歩道橋や道路などのネーミングライツを販売している自治体もあります。
例えばマツダ株式会社は、広島県広島市にある市民球場のネーミングライツを購入し、『MAZDA Zoom-Zoomスタジアム 広島』と名づけました。
他は有名なところでいうと、大阪市西区の『京セラドーム大阪』も該当します。
京セラドーム大阪は、以前『大阪ドーム』という名前でした。
2006年に情報機器メーカー・京セラが大阪ドームとネーミングライツ契約を結び、京セラドーム大阪に。
はじめは『京セラドーム』という名前になる予定でしたが「大阪の名前を残してほしい」という大阪府民の声もあって『京セラドーム大阪』になりました。
球場はスポーツ中継やニュースなどで名前が流れることも多いです。
よって「商品」や「サービス」を訴求するというよりも「企業」を訴求、つまり知名度をあげたい場合に適しています。
費用は高額で、施設の規模などによっては億にまでのぼることもあります。
イベントのタイアップ
自治体が開催するイベントのポスターやパンフレット内の枠に広告を出す手法です。
「協力」「協賛」という枠が設けられています。
例えば、東京都江戸川区では花火大会の協賛金を1口10,000円から受け付けており、協賛金額に応じて広告の掲載スペースを与えるという取り組みをしています。
自治体広告のメリット
自治体広告のメリットは以下の通りです。
- 効率良くターゲットに届けられる
- 信頼性・ブランド性が高まる
- 何度も目に留まりやすい
ひとつずつ解説します。
効率良くターゲットに届けられる
自治体の広報誌は、その自治体に住んでいる世帯すべてに届くため、広告を出せば多くの人に訴求できます。
例えば新聞広告だと、新聞を購読している人しか見られません。
地域住民をターゲットにするならポスティングという手もありますが、自治体に住む全世帯をポスティングするのはコストもかかりますし、現実的ではありません。
自治体の広報誌であれば自治体内の全世帯が見ることになるため、効率良く多くのターゲットに広告を届けられます。
信頼性・ブランド性が高まる
自治体広告に載せた商材は、信頼性・ブランド性を高めやすいといえます。
自治体が管理する媒体に広告を載せれば「役所が載せているから信頼できる」「掲載基準の高そうな自治体広告に載せているのだからしっかりしていそう」といったイメージを持ってもらいやすいです。
実際、自治体広告は子どもからご高齢の方まで幅広い世代が見る広告のため、民間の媒体よりも厳しい広告掲載基準を設けています。
高いハードルを越えて掲載できていることは、信頼度アップにつながるでしょう。
もちろん、商材を自治体広告で訴求したからといって、必ず反響が出るわけではありません。
とはいえ「良い企業である」「優良な商品・サービスである」という印象を与えられるのは大きなメリットです。
何度も目に留まりやすい
自治体が発行している広報誌やポスターなどの印刷物は、住民が生活していくうえで必要な情報が載っているため、保管をして何度も見る方が多いです。
不動産関係の情報が載っていれば、いずれ家を購入しようと考えている夫婦がじっくり何度も見ます。
ゴミの収集日が掲載されていれば、保管しておいて毎回確認する人も少なくありません。
紙面を見るたびに掲載された広告が目に入るため、住民の記憶に残りやすいでしょう。
料金が比較的安い
月に1回発行される広報誌の場合、地域や発行部数によって異なりますが、50,000円〜100,000円ほどで出稿できるケースもあります。
目的とターゲットを明確にしたうえで広告を掲載できれば、費用をおさえて高い効果が得られるかもしれません。
コストパフォーマンスの高い訴求ができるでしょう。
自治体広告のデメリット
自治体広告はメリットが多くある一方で、デメリットもあります。
- 掲載できない企業もある
- 広告事業をおこなっていない自治体もある
詳しく解説します。
掲載できない企業もある
各自治体が設けている広告の掲載基準に満たない企業は、広告を掲載できません。
例えば、東京都葛飾区では以下のような広告掲載基準を定めています。
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で、風俗営業と規定される業種
- 風俗営業類似の業種
- 消費者金融
- たばこ
- ギャンブルにかかるもの(公営競技又は宝くじに係るものを除く。)
- 規制対象となっていない業種においても、社会問題を起こしている業種や事業者
- 法律の定めのない医療類似行為を行う施設
- 占い、運勢判断、人生相談に関するもの
- 興信所・探偵事務所等
- 特定商取引に関する法律で、連鎖販売取引と規定される業種
- 債権取立て、示談引受けなどをうたったもの
- 法令等に基づく必要な許可等を受けることなく業を行うもの
- 民事再生法及び会社更生法による再生・更生手続中の事業者
- 各種法令に違反しているもの
- 行政機関からの行政指導を受け、改善がなされていないもの
業種だと消費者金融やギャンブル関係の企業はNGである場合が多いです。
また、広告の内容自体にも基準が設けられており、暴力的な表現・不快感を抱かせるようなデザインなどの場合も、掲載が認められないケースがあります。
民間の媒体ではOKでも自治体ではNGという場合もあるため、確認は必須です。
広告事業をおこなっていない自治体もある
自治体によっては、企業からの広告掲載依頼を受け付けていない場合もあります。
ほとんどの自治体が広告事業を導入してはいるものの、人口の少ない市区町村は導入していないところも多いです。
「人口が少ないのに広告を出しても効果はないだろう」という考えがあって、導入していない可能性が考えられます。
自治体広告の掲載を考える場合は、その自治体がそもそも広告事業をおこなっているのかどうかを確認する必要があります。
自治体広告の掲載方法
自治体広告を検討する際は、広告掲載を考えている自治体のホームページを確認するか、問い合わせをしましょう。
自治体の媒体に広告を掲載するには、直接自治体に申し込む方法と広告代理店に依頼する方法があり、ホームページを確認するか問い合わせするかで申込方法がわかります。
直接自治体に申し込む場合は、広報部など担当部署に申込書や広告のサンプルなどを提出し、審査をパスした後に費用を支払って納品という流れが多いです。
広告代理店に依頼する場合は、自治体が連絡先を教えてくれます。
ホームページであれば掲載していることも多いため、問い合わせをして進めていく流れです。
広告代理店は総合代理店でも良いですが、最近では自治体広告を積極的に扱う広告代理店も増えています。
自治体広告に詳しい代理店を利用するのもひとつの手でしょう。
自治体広告の種類と費用を押さえて活用しよう
自治体広告は、2000年代から広がり始めた広告手法です。
広がり始めたばかりの頃は広報誌やポスターなど紙媒体が主流でしたが、今はWeb媒体も加わり、ますます手法が広がっています。
自治体広告は、地域住民がよく目にするものです。
取り組み内容は地域によって異なりますが、うまく利用すれば高い訴求効果が得られるでしょう。
本記事で自治体広告の魅力や費用などを知り、ぜひ一度出稿を検討してみてください。
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