通販会社のEC売上増に有効なKPI!紙広告からの流入にも対応

経験や勘だけでの通販サイト経営は、非効率な経営となりおすすめできません。

「KPI」などの指標を常に考えるようにすれば、効率的な店舗運営ができるようになります。

情報の共有化はよくいわれることです。
しかし、明確な指標がないと従業員それぞれの間で認識の差が生じ、共有化できなくなります。

年商10億円以上を上げるようなECサイトで、KPIを取り入れていないサイトはまずないでしょう。
この記事では、EC売上についながるKPIに関して解説します。

目の前の小さな目標を一つひとつ達成していくことで、大きな売上を実現しましょう。

なお弊社では、通販事業の方向けに紙で広告を出すための展開パターンや、出稿までの流れ・準備について紹介しています。

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KPIで通販会社のECサイト経営を効率化

KPIという数値を用いたビジネスは、むだがなくなり、洗練され、効率化するのです。
勘や経験や度胸を中心に経営を判断していると的を外すリスクを拭いきれません。

例えば、勘や経験で仕入れをしているようなら、不良在庫が多くなりがちではないでしょうか。
規模の小さな事業者の経営が、危機的な状況に陥るまでの時間などあっという間です。

データを活用した高確度の経営にシフトチェンジすることで、光明が見えてくることでしょう。

通販会社のEC把握にはKPIとKGIのセットで

KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の頭文字をとったもので、経営上の中間目標として設定されます。
英語であればマイルストーンです。

そのKPIとワンセットで引き合いに出されることの多いのが「KGI」です
「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」と訳します。

ゴール、最終目標などとイメージするのがわかりやすいでしょう。
月商などをKGIとして設定する場合が多くあります。

サイト立ち上げ時には、誰しもが事業の拡大を前提にしているのではないでしょうか。

ところが、ECサイト構築当初は、月商100万円を上げることも難しいのが現実でしょう。
さしあたってのKGIを、月商100万円くらいとするECサイトが大半です。

ただ、KGIの設定だけではいけません。
「月商100万円」という最終目標を掲げられても中間目標であるKPIがなければ、回り道をしてしまう可能性が高くなります。

最短距離での到達を目指すためにも、KPIが必要です。

基本的にKPIとKGIは、客単価や月商のような数字で表せる定量的なものが設定されます。

数字で表せない「営業力アップ」などの定性的なものにしてしまうと、人により認識の差が生じます。
達成度合いを明確化することで、全員が一丸となってKPIの達成からKGIの実現を目指せるのです。

KPIツリー

KPIツリーは、最終目標KGIが頂点のいわばピラミッドです。

見た目はピラミッドのようではありません。
ピラミッドを左に倒したかのような形で、つくられることが多いです。

「ツリー」という名称は、頂点KGIの右側(下)にKPI項目が枝分かれしていることからつけられています。

枝先端に当たる右端のKPI項目から順に実現していくことで、最終目標KGIを達成するのです。
KGIを月商100万円とし、できるだけ早い達成を狙うには、売上に直結するKPIを設定することから始めましょう。

例えば、次の3つをKPIとします。

  • サイトトラフィック(ECサイトへのアクセス数合計)/月
  • CVR(コンバージョン率:アクセスした人のうち購入などに至った人の率)/月
  • 客単価/月

KPIツリーは以下のようになります。

縦に並んだ3つのKPIでは、次の関係が成立しているのがわかるでしょう。
KGI(月商)=サイトトラフィック/月×CVR/月×客単価/月

各KPIに、具体的な数値を入れます。

100万円=10,000×1.0%×10,000円

いきなりのKGI達成です。
しかし、通販サイト立ち上げ直後は難しいのが現実です。

仮に、次のような結果だったとします。

50万円=10,000×0.5%×10,000円

月商100万円未満のフェーズにある通販サイトでは、まだまだビジネスモデルができあがっていません。
「売れ筋商品を見つける」という施策から始めましょう。

売れ筋商品さえ安定してくれれば、月間売上100万円というKGIのクリアもさほど難しいことではないのです。

そのためにもある程度の商品数を登録し、まずは売れ筋商品を見極めます。
見極めができれば、売れ筋商品が掲載されるページのクオリティーアップを図り、CVRのアップを狙います。

このように具体的な施策を迅速に導き出し、PDCAをうまく回すためにKPIツリーが重要です。

また、上記KPIツリーは枝分かれ部分が1か所だけですが、通常は時間の経過とともに新しい施策の追加や改善がなされます。

下図のようになツリー状で、複雑な見た目に変わっていきます。

追加されたKPIでも、以下の2式が成立しています。

  • サイトトラフィック/月=紙媒体の広告から流入数/月+Webからの流入数/月
  • 客単価/月=平均商品単価×平均購入数量

通販サイトの基本的KPI

実店舗では顔以外、顧客の名前すら知らないケースはよくあるでしょう。

通販サイトではデータの取得が容易なので、さまざまなKPIを各EC事業者が取り入れています。

経営の状況に応じて各社が自由に設定するものであり、数も1つや2つではありません。
ここでは、中でも採用頻度が高く「基本的」ともいえるKPIを紹介します。

分類方法も考え方次第でいろいろありますが、以下の3つをみていきましょう。

売上や利益アップを考える上で有効なKPI

CVR・客単価のほかにも、以下のようにたくさんあります。

売上高

一定の期間内における売上額の合計が売上高です。

1時間・1週間・1か月・四半期・1年などの単位で確認できます。
単位は通販サイトの構築に使っているASPなどにより、多少の差があります。

CAC

「Customer Acquisition Cost」の頭文字だけを並べて「CAC」です。
日本語では「顧客獲得費用」といいます。

新規の顧客1人を獲得するためにかけた費用のことで、CPA(Cost Per Acquisition)と呼ばれることもあります。

売上総利益

経理を勉強したことのある人なら、下記の計算式で表されるのはご存じでしょう。
「粗利益」や「粗利」ともいわれます。

広告宣伝費(広告費やチラシの印刷代)が売上総利益に含まれていないことは、覚えておいた方がいいでしょう。
広告効果を考えるときの役に立ちます。

売上総利益=売上高-売上原価

LTV

1人の顧客が取引開始から終了まで(一生の間)にもたらす累計額のことです。

日本語では「顧客生涯価値」。
「Life Time Value」の頭文字をとって「LTV」です。

通販サイトでは、「LTVが最も重要な指標」とする向きもあります。

LTVについては、以下の記事を参考にしてみましょう。
>>LTVの計算方法は?活用と向上のポイントも解説!

マーケティングを考える上で有効なKPI

出稿した広告の効果を測るのに適したKPIです。

商品やサービスが、より以上に売れるようにするための活動すべてが「マーケティング」です。
事業者にとって、非常に重要なことを考えるときに有効なKPIです。

出稿した広告の効果を測るのにも有効であるため、次の項目「広告の効果を確かめるときに使うKPI」で詳しく説明しています。

在庫管理に有効なKPI

実店舗なら売り場を倉庫代わりとすることはありえますが、通販ビジネスの売り場は仮想エリアです。

倉庫内の在庫について、常に考えるようにしましょう。
在庫の適正化は、EC事業の運営に好影響を及ぼします。

在庫欠品率

顧客が注文してくれたにもかかわらず、提供がかなわなかった商品の率のことです。

本来なら上げられていた売上を逃していることを意味します。
限りなく「0」に近づけるべき数値です。

過剰在庫

過剰な在庫には注意が必要です。

商品は、保有しているだけでコストがかかります。
その上、商品が時代遅れとなるリスクもあるのです。

回転率に注意を払うようにしながら、発注頻度や量をいつでも改善できるような体制にしておきましょう。

保管費用

倉庫を使うには、賃料だけではありません。
作業員の人件費など、倉庫の管理費がかかるのは不可避です。

保管費用が利益を大きく損ねている場合には、保有する在庫の率を下げることで解消できます。

広告の効果を確かめるときに使うKPI

世の中に自社の商品やサービスを周知させるのが広告です。

広告の効果を確認するのに適しているKPIは、マーケティング施策を考えるときにも効果があります。

マーケティングに関するKPIは、ほかにも数多くあります。
SEOやFEOの施策を練るときにも有効で、通販を営む事業者にはとても重要な指標と考えるようにしましょう。

マーケティングを考える上で有効なKPI

ここでは、マーケティングに有効なKPIをみていきましょう。

直帰率

サイト内1ページのみの閲覧で、サイトから去った訪問者の率を指します。
この率が高い場合には、ただちに調査する必要があります。

しかし、ランディングページでの購入が可能なサイト構成にしているときには、Googleから「直帰した」と認識されることも。
施策を考えるときには、その点についても考慮しましょう。

滞在時間

訪問者がサイト内で滞在した時間のことです。

時間をかけて通販サイト内ページを閲覧してくれた方が、ベネフィットは大きいとする考え方があります。

ところが、自社が提供するブランドのファンであれば、目的の商品を購入した後、早々に離脱することもありえます。
この点を考慮しながら、あまりに短い場合に限っては、商品ニーズから考え直しましょう。

トラフィックソース

サイト訪問者の流入経路を指します。

広告・SNS・オーガニック検索(自然検索)などからの流入が考えられます。
トラフィックソースを参考に、今後の注力先を検討しましょう。

新規ユーザー・リピーター比

初めての通販サイト訪問者と過去に訪問経験のあるユーザーとの比率です。

例えば、SNS運用のような新規顧客を獲得するための施策を実施した後には、新規ユーザーの率が上がることを期待できます。

施策のひとつであるリターゲティング(リマーケティング)広告の実施後なら、リピーター率が上がるでしょう。

メルマガ購読者数

メルマガ購読を希望し、配信リストに登録されているユーザーの数もチェックしましょう。

コスト「0」でリーチ可能な見込み顧客です。

自社の商品に興味を持っていることが、すでにはっきりとしています。
お得情報(キャンペーンやクーポンの情報)配信で、購入者と購読者の数を増やしましょう。

紙媒体の広告からの流入をKPI測定

最近では、紙媒体の広告が見直されています
液晶や有機ELなどから目に入る情報より、紙の上に載っている情報の方が親和性の高いことがわかってきたからです。

記憶への定着でも勝る紙媒体の広告を流入経路とすることも、検討の価値はあるでしょう。

その効果をKPI測定で、ぜひ実感してください。

紙の広告からの流入だけKPI測定できる?

KPI関連サービスを提供する会社もありますが、とりあえず無料で効果を確認するのがおすすめです。

今やほとんどのスマートフォンに、QRコード読み取りアプリが搭載されているのではないでしょうか。

配布するチラシやDMにQRコードを印刷します。
そのQRコードを読み込むと、自社の通販サイトページにアクセスできるようにするのです。

有料で高機能なツールもありますが、巨額な売上を上げられていない段階では必要ありません。

無償版Googleアナリティクスは、普段から使っているのではないでしょうか。
CVR・直帰率・流入経路などは、無償版でもわかります。

キャンペーン用URL作成

キャンペーン用のURL作成から始めましょう。
Googleが無料で提供するキャンペーンURLビルダーというツールなら非常に簡単。

このツールの入力フォームには、「*」のついた空欄が4つあります。
以下の4つです。

「*」のない空欄への入力の必要はありません。

  • ウエブサイトのURL
  • キャンペーンソース
  • キャンペーン媒体
  • キャンペーン名

上から順に「通販サイトのURL」・「qr(QRコードの意)」・「dm(キャンペーン告知に使ったメディアがDMである意)」・「2022_last_sale(キャンペーンの名前)」を、例えば入力してみましょう。

出典:キャンペーン URL ビルダー

すると、通販サイトURLの右側にパラメーターが付加された、次のようなURLが自動生成されると思います。

http://××○○.jp/?utm_source=qr&utm_medium=dm&utm_campaign=2022_last_sale

自動生成されたURLのすぐ下に、「URLをコピーする」というボタンが確認できます。
それをクリックすればコピー完了です。

QRコード作成

次は無料ツールCMANで、QRコードの作成です。

ページ内の【1】QRコードを作成する文字を指定しようでコピーしたキャンペーン用のURLを貼りつけます。
【2】オプション(任意)の設定後、「QRコードを作成する」ボタンをクリックします。

出典:CMAN

さらに、「ダウンロード」ボタンをクリックで、QRコードのデータをダウンロードして保存しておきましょう。

出典:CMAN

QRコードについてより詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。
>>QRコード広告のアクセス率は高い?メリットと活用ポイントを解説!

紙媒体の広告からのKPI測定!

キャンペーン実施後には、GoogleアナリティクスでQRコードからの流入KPIを確認できます。

ログインすると左端メニューの中に、「集客」という項目が見つかるのではないでしょうか。
「すべてのトラフィック」から、「参照元/メディア」へとクリックで進みます。

表示された表の中にある「qr/dm」の欄で直帰率などのKPIを確認しましょう

KPIとKGIの活用で大きな売上を

KPIについて詳しく解説しました。

勘を頼りにしたざっくりとした予測から考えた施策は、あまりおすすめできません。

目前のKPIへ、最短の距離で到達することを積み重ねながら、最終目標のKGIに到達することが一番の近道です。

なお弊社では、通販事業の方向けに紙で広告を出すための展開パターンや、出稿までの流れ・準備について紹介しています。

詳しく知りたい方はぜひ「通販広告の出稿マニュアル」バナーをクリックして、資料をダウンロードしてください。