リテンションレートは、企業の成長に欠かせない重要な指針のひとつです。
新規ユーザーの獲得よりも、既存ユーザーの維持に注力した方が売り上げにつながりやすいことから、今注目が高まっています。
この記事では、リテンションレートの意味から計算式まで詳しく解説します。
企業の発展を左右するリテンションレートが低下する原因と、リテンションレートを向上させる方法までしっかり押さえましょう。
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目次
リテンションレートとは?
リテンションレートとは、サービスの継続率や定着率を数値化したもの。
カスタマーサクセスにおける指標のひとつです。
サービスが顧客の課題解決につながっているかを表す数値でもあります。
リテンションレートが重要な理由は2つです。
- ユーザーにとって価値のある体験を届けるために欠かせない
- アプリやWebサービス事業の成長に重要な役割を果たす
ユーザーとの長期的な関係の構築やリテンションレートの向上は、企業にとって大きなプラスとなります。
リテンションとは「既存顧客維持」
リテンション(retention)とは、「維持」「保持」という意味。
人事で使用する場合は「人材の確保」、マーケティングで使用する場合は「既存顧客維持」を指します。
顧客の維持(保持)は、顧客と良好な関係を保ち、サービスを通じて顧客に成功体験を提供することで実現します。
リテンションは、カスタマーサクセスの成功を評価する目安です。
リテンションレートの重要性
マーケティング用語には「1:5の法則」があります。
「1:5の法則」とは、新規顧客の獲得にかかるコストが、既存顧客を維持する場合と比べて5倍かかるという意味です。
企業はコストのかかる新規顧客の獲得よりも、既存顧客を増やす方がメリットを享受できます。
その理由は、2つです。
- 既存顧客は商品やサービスを一度購入しているため、低コストで再度商品やサービスを購入する可能性が高い
- 「優良顧客」や「生涯顧客」へと発展する可能性を秘めている
顧客維持(リテンション)の具体策は以下の通りです。
- 顧客の単価の上げる
- 流出する顧客を防止する
- 休眠顧客の活性化 など
また、商品やサービスに対して愛着や信頼を持ち、繰り返し購入してくれる「ロイヤル顧客」を育てることで、新規ユーザーを引き込んでくれます。
リテンションに注力すると、企業の売り上げアップにつながりやすくなります。
リテンションレートの計算方法
リテンションレートの測定は、既存ユーザーの育成に欠かせません。
離脱リスクが高まっているユーザーに対して効果的な施策を打つためにも、リテンションレートの計算方法をしっかり押さえておきましょう。
リテンションレートの計算式
リテンションレートは、以下の計算式で算出できます。
リテンションレート=(一定期間における)継続顧客数÷新規顧客数×100
計算したい期間の新規顧客数と継続顧客数を入れて、計算してみましょう。
リテンションレートの計算例
リテンションレートの計算式に具体的な数字を入れて計算してみます。
例 | 1日に新規ユーザーが120人に増加、90日後に継続利用していたユーザーは72人だった場合 | 新規ユーザーが2,000人増加し、1カ月に継続利用していたユーザーは800人だった場合 |
計算式 | 72÷120×100 | 800÷2,000×100 |
リテンションレート | 90日後のリテンションレートは60% | 1カ月後のリテンションレートは40% |
リテンションレートの向上を目指して、既存顧客を維持する施策を立てましょう。
リテンションレートを高めるメリット3つ
リテンションレートを高めることで、さまざまなメリットを享受できます。
ここでは3つのメリットを紹介します。
①広告費を抑えられる
新規顧客の獲得には、コストがかかります。
- 広告の出稿
- 展示会
- セミナーの開催 など
見込み客へのアプローチのため、確実に効果が出るとは限りません。
一方、商品やサービスを利用したことのある既存顧客の維持は、最小限のコストでおこなえます。
- お得感のあるキャンペーン
- メールマガジンの配信 など
商品やサービスの継続的な利用を促すため、リテンションレートの向上を目指しましょう。
②事業の収益が安定する
企業の売り上げを左右するのは、ユーザー数だけではありません。
リテンションレートの高さが重要です。
ユーザー数1000人でリテンションレート9割のサービスAと、ユーザー数2000人でリテンションレート4割のサービスBを比較してみましょう。
今回は、どちらも3カ月後のリテンションレートで計算します。
リテンションレート=(一定期間における)継続顧客数÷新規顧客数×100
計算式 | ユーザー数(3カ月後) | 計算式 | ユーザー数(6カ月後) | |
A | 1000÷x=90% | 900人 | 900÷x=90% | 810人 |
B | 2000÷x=40% | 800人 | 800÷x=40% | 320人 |
半年経つと、ユーザー数に大きな差が出てきました。
どちらの企業の収益が安定しているか一目瞭然です。
リテンションレートが高いと、安定して収益を得られることがわかります。
B社がA社と同様の収益を得るには、多くの新規ユーザーを獲得しなければなりません。
反響率の高い広告に関しては、こちらの記事をご確認ください。
>>QRコード広告のアクセス率は高い?メリットと活用ポイントを解説!
③サービスの質が向上する
リテンションレートを高めるためには、ユーザーが利用価値を感じる商品やサービスを提供しなければなりません。
ユーザーの視点に立って、「また利用したい」と思える商品やサービス作りを心がけることが大切です。
企業がリテンションレートの向上を目指すほど、結果的に商品やサービスの質が向上します。
リテンションレートが下がる2つの原因
リテンションレートが低下するときには、必ず原因があります。
ここでは2つのケースに関して具体的に解説します。
①ユーザー対応に問題がある
リテンションレートが低下する原因は、ユーザー対応に問題があるかもしれません。
- 問い合わせ対応が遅い
- カスタマーセンターの質が低い
- 離脱しそうなユーザーをフォローしていない など
ユーザーはサービス提供者に大切に扱われていないと感じると、離脱してしまいます。
サービス自体に価値があっても、ユーザー対応に問題があるとリテンションレートが下がってしまうこともあるので注意しましょう。
多くのユーザーは、よいサービスには多くのお金を払ってもよいと考えています。
ユーザーが粗末に扱われたと思わないよう丁寧な対応を心がけましょう。
②使い心地が悪い
リテンションレートが低い原因は、顧客が商品やサービスに対して不満を抱いているのかもしれません。
- 期待していた商品やサービスと違った
- チュートリアルがわかりにくい
- 使い心地が悪い など
サービスの満足度が低いと、リテンションレートが低下してしまいます。
顧客の視点に立ったサービスの提供を意識しましょう。
リテンションレートを高める方法は?
リテンションレートを高めるためには、ユーザーに良質な体験を提供することが大切です。
ここでは、具体的な施策を3つ紹介します。
①ユーザーの課題を把握する
リテンションレートを向上させるためには、ユーザーが抱いている本音(インサイト)を把握する必要があります。
ユーザー自身も理解できない範囲まで踏み込むには、以下のような方法がおすすめです。
- 対話
- アンケート など
アクセス分析ツールなどを用いて、ユーザーの行動を数値化もひとつの方法ですが、人間の感情まで読み取ることはできません。
ユーザーが抱えている課題や求めている体験に対して、ダイレクトに突き刺さる提案をするためには、徹底的にインサイトを分析することが大切です。
ユーザーの理解度を深めるため、こちらの記事もご確認ください。
>>成功例から学ぶ!マーケティングミックスを構成する4つの要素
②無理のないオンボーディングを設計する
ユーザーが商品やサービスについて理解し、うまく使いこなせるための筋道(オンボーディング)をしっかり設計することで、リテンションレートが高まります。
商品やサービスの使い始めは、新規ユーザーがもっとも離脱しやすいタイミングです。
オンボーディングを設計する際は、以下の点を意識しましょう。
- どのようなサービスか伝える
- 操作の方法をわかりやすく説明する
サービスに利用価値を実感できないと、ユーザーは離脱してしまいます。
ユーザーが無理なくサービスを使いこなせるよう、軌道に乗せてあげる筋道を立てましょう。
企業はゼロからユーザーの理解度を高める方法を検討しなければなりません。
どのようなポイントでつまずくのか観察し、手厚いサポートを提供することが重要です。
③ユーザーが感じるストレスを軽減する
リテンションレートを高めるためには、ユーザーが感じるストレスを軽減しなければなりません。
商品やサービスを利用しているとき、わずかでもストレスを感じると離脱するリスクが高まります。
ユーザーがストレスに感じるのは、以下のようなケースです。
- ベネフィットが伝わらない
- チュートリアルが長い
- 使い方がわからない
- 期待していた内容と違った
- 問い合わせ対応が遅い
- プッシュ通知が多い など
ユーザーが嬉しいと思うポイントを増やすことも大切ですが、ストレスだと思うポイントを減らす方が重要です。
リテンションレートを向上させるコツは、ユーザーが目標を達成できる環境を整えること。
競合のプロダクトに代替できない高品質なサービスの提供を意識しましょう。
リテンションレートは企業の成長に欠かせない指標!
リテンションレートは、企業の成長を左右する重要な指標です。
リテンションに注力することで、さまざまなメリットを享受できます。
- 広告費を抑えられる
- 事業の収益が安定する
- 商品やサービスの質が向上する
リテンションが高まらない場合は、低下する原因を明らかにしましょう。
ユーザーの課題に沿って無理のないオンボーディングを設計し、良質な体験を提供すれば、自然にリテンションレートは向上します。
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