顧客一人ひとりと深く向き合い、継続的な関係を築く「単品通販」というビジネスモデルが、今大きな注目を集めています。
しかし、「自社に適しているのか」「何から検討すべきか」で立ち止まる企業は少なくありません。
そこで本記事では、単品通販の基本的な定義から、市場の動向、具体的な成功戦略、そして事業を始める前に知っておくべきリスク管理までを網羅的に解説します。
事業計画の策定や社内提案を検討している担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
単品通販のビジネスモデル

単品通販は、特定の商品に注力して、定期購入を軸にLTV(顧客生涯価値)を高めていくビジネスモデルです。
本章では、単品通販とは何かという基本から、総合通販との違い、そして収益を支える構造までを整理します。
なお、LTVについて詳しくは以下の記事もご覧ください。
単品通販とは
単品通販とは、特定の1種類、もしくはごく少数の商品に特化して販売するビジネスモデルです。
商品数を絞ると、マーケティング投資・在庫管理・顧客分析を一点に集中させられます。
これにより広告効率や顧客データの精度が高まり、顧客一人ひとりから長期的に得られる利益(LTV)を基盤とした収益設計が可能になります。
成功事例では、商品そのものよりも継続前提の設計が収益の源泉となっています。単品通販は、商品販売というよりも「関係性を前提にした継続型ビジネス」である点が本質といえます。
総合通販との違いと事業特性
単品通販と、Amazonや楽天市場に代表される総合通販では、ビジネスモデルの根幹が大きく異なります。
どちらが自社の商材やリソースに適しているか判断するため、以下の表でそれぞれの特性を比較してみましょう。
| 比較項目 | 単品通販 | 総合通販 |
|---|---|---|
| 取扱商品 | 特定の1商品または少数ブランドに特化 | 多種多様な商品を網羅的に扱う |
| ターゲット | 特定の悩みやニーズを持つ顧客層 | 幅広いニーズを持つ不特定多数の顧客層 |
| ビジネスゴール | LTV(顧客生涯価値)の最大化 | 流通総額や新規顧客数の最大化 |
| マーケティング | 商品の価値を深く訴求する広告(LPなど) | 品揃えや利便性を訴求する集客(SEOなど) |
| 顧客との関係 | 深く、長期的(ファン化を目指す) | 広く、短期的(買い物の利便性を提供) |
| 収益構造 | 継続的なリピート購入が収益の柱 | 多様な商品からの売上の積み上げ |
単品通販は「狭く、深く」顧客と向き合うモデルであるのに対し、総合通販は「広く、浅く」市場をカバーするモデルです。
単品通販を支える収益モデル(定期・アップセル・クロスセル)
単品通販の安定した収益は、定期購入に加え、アップセルとクロスセルで構成されています。
- 定期購入(サブスクリプション)
- 毎月や隔月など、決まったサイクルで商品を自動的に届けるモデル
- 毎月の売上予測が立てやすくなる(企業側のメリット)・買い忘れを防げる(顧客側のメリット)
- アップセル
- 顧客が検討している商品よりも上位の高価格帯商品を提案する
- 例:「通常サイズよりも、大容量のお得なファミリーパックはいかがですか?」
- クロスセル
- 検討中の商品と関連性の高い、別の商品を合わせて提案する
- 例:「シャンプーをご購入の方に、こちらのトリートメントもおすすめです。」
上記のモデルを組み合わせ、顧客単価とLTVを効果的に高めていきます。
単品通販の市場動向と将来性

本章では、国内における定期購入EC市場の現状と成長性、そして単品通販を後押しする消費者の購買行動の変化について解説します。
定期購入EC市場の現状と成長性
単品通販の主流である定期購入型EC市場は、国内でも着実に拡大しています。矢野経済研究所の調査によると、2023年度の定期購入型ECの市場規模は約9,430億円と推計されています。
現在も定期購入型EC市場の利用拡大は続いており、年平均8〜10%程度の成長が期待されるとの試算もあります。
こうした数字は、単品通販ビジネスの母体となる定期購入EC市場の拡大を示しており、定期購入は成長性の高い領域であるといえるでしょう。
参考:矢野経済研究所
単品通販の追い風となる消費者の購買行動の変化
現在、消費者の中で利便性や時短志向が高まっていることから、日常的に使う商品を自動的に届ける定期購入への抵抗感は低下しています。
また、パーソナライズされた提案や継続的な関係性を重視する傾向も強まっているため、単品通販にとっては追い風といえます。
そのため顧客一人ひとりのニーズに応え、ブランドのファンになってもらうことで市場での優位性を確立できるでしょう。市場環境と消費者意識の両面から、単品通販は将来性を持つ領域といえます。
単品通販のメリットとリスク

参入判断には、メリットだけでなくリスクを同時に把握する視点が欠かせません。本章では単品通販の事業特性を踏まえ、利点と注意点を整理します。
単品通販の主なメリット
単品通販には次のメリットがあり、特にスタートアップや中小企業にとっては魅力的です。
- 参入障壁が低い
- 扱う商品が少ないため、初期の在庫投資やサイト構築費用を抑えられる
- 収益予測が立てやすい
- 定期購入が中心のため、毎月の売上が安定し、事業計画や資金繰りの見通しが立てやすい
- マーケティング効率が高い
- ターゲットと商品が明確なため広告メッセージを絞りやすい
- LTV(顧客生涯価値)が高い
- 顧客との長期的な関係を築くことで、一人の顧客から得られる生涯利益が大きくなる
- 価格競争を回避しやすい
- 商品の独自性やブランドの価値で勝負するため、価格競争に巻き込まれにくい
より低コストで安定した収益を得たい場合、単品通販が向いています。
単品通販で想定すべきリスクと注意点
一方で、単品通販には事業運営において注意すべきリスクも存在します。
- 収益機会の限界
- 扱う商品が少ないため、アプローチできる市場や顧客層には上限がある
- 新規顧客獲得の難易度
- 知名度の低いニッチな商品の場合、初期の認知度向上が大きな課題となる
- 主力商品への売上依存
- 売上が特定の商品に集中するため、その商品の需要変動が事業全体に大きな影響を与える
- 市場飽和のリスク
- 成功事例が増えると競合他社が参入し、広告費の高騰や顧客獲得競争の激化を招く可能性がある
これらのリスクを理解し、事前に対策を講じることが持続的な成長には不可欠です。
成功事例に学ぶ単品通販7つの戦略設計

単品通販は、商品を販売する事業というより、構造を設計する事業です。実際の成功事例では、再現性のある戦略設計が重要となっています。
本章では、単品通販の成功事例に共通するフレームワークを、事業の立ち上げから成長までの7つの具体的なステップに分解して解説します。
各ステップで何をすべきかを明確にし、実際の行動にうつしましょう。
また、単品通販事業の指標については、以下の記事でも詳しく解説しています。
① 商品設計|差別化の明確化
単品通販における商品設計では、選ばれる理由を明確に言語化できるかが重要です。
価格や成分の一部だけでなく、「誰の、どんな悩みを、どのように解決するのか」を明確に設計しなければ、広告費を投下しても持続的な成果にはつながりません。
成功事例では、「40代女性の肌悩みに特化した美容液」「特定の栄養課題に絞ったサプリメント」など、ターゲットと訴求軸を徹底的に絞り込んでいます。
単品通販の商品設計とは、機能の優位性を競うことではなく、誰にとって不可欠な商品かを明確にする作業です。
② 顧客設計|LTVを高める関係構築
広告で新規顧客を獲得しても、継続率が低ければ収益は安定しません。顧客を単なる購入者としてではなく、長期的な利用者として設計する必要があります。
成功企業では購入後のフォローメールや同梱物、利用ガイドの充実などにより、商品体験を深めてLTVを向上させています。
単品通販は、「いかに売るか」よりも「いかに続けてもらうか」を設計するビジネスです。顧客との関係性の構築が、持続的な成長の前提です。
③ 集客設計|広告とLPの最適化
単品通販の効果的な新規顧客獲得には、広告とLP(ランディングページ)の最適化が欠かせません。
単品通販はWeb広告依存度が高く、CPAとLTVのバランスが事業の安定性を左右します。広告単体の成果ではなく、「広告→LP→定期転換」までを一つの導線として設計しましょう。
SNS広告では、Facebook・Instagram・TikTokなど媒体特性に合わせて訴求軸を調整し、ペルソナに刺さるクリエイティブを検証します。流入先となるLPでは、ファーストビューの訴求明確化、社会的証明の提示、申込導線の簡素化などを継続的に行い、CVR向上を図りましょう。
④ 定期モデル設計|継続率の向上
単品通販において重要なのは、定期モデルの設計による継続率の向上です。初回獲得時の利益は限定的であり、収益の大半は2回目以降の継続購入から生まれます。
成功事例では初回価格の設計だけでなく、配送サイクルの柔軟性、マイページの利便性などを整備しています。また、解約理由の分析を行い、商品改良やコミュニケーション改善に反映させています。
解約を防ぐ仕組みを作るのではなく、顧客が自然に継続したくなる体験を構造化しましょう。
⑤ 顧客体験設計|ロイヤルティ強化
単品通販では、顧客体験(CX)の設計がロイヤルティを左右します。
商品そのものの機能差が縮小する中、差別化要因は購入から利用までの体験そのものにあります。
購入後のフォローアップメール送付、カスタマーサポートの応対品質向上などにより、接点ごとの満足度を高めましょう。成功企業では問い合わせ内容を分析し、体験改善に継続的に反映しています。
⑥ ブランド設計|ストーリー構築
単品通販では、共感を生むブランドストーリーが差別化を支えます。
なぜその商品を開発したのか、どのような課題解決を目指しているのかという背景が、顧客の納得感や信頼につながります。
創業者の体験や開発経緯をLPやコンテンツで発信し、ブランドの思想を明確にしている企業は、価格競争に陥りにくい傾向があります。
顧客が選び続ける理由を言語化し、一貫して伝えることで顧客との信頼を高めましょう。
⑦ 業務設計|在庫とサプライ管理
単品通販の持続的成長には、在庫とサプライチェーンの安定化が不可欠です。
定期購入モデルでは、欠品は信頼低下と解約増加に直結します。一方、過剰在庫はキャッシュフローを圧迫するため、需要予測と生産計画の精度が事業の安定性を左右します。
販売データを基にした発注管理・リードタイムの短縮・物流パートナーとの連携強化などを継続的に実施し、安定した供給体制を整えましょう。
国内単品通販の代表企業一覧

本章では、実際に単品通販で成功を収めている国内の代表的な企業を一覧でご紹介します。
各社がどのような商品で、どのような戦略をとっているのかを分析すれば、自社の事業のヒントが見つかるでしょう。
| 企業名 | 主力商品・ブランド | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式会社I-ne | BOTANIST(ボタニスト) | SNSを活用したブランディング戦略で若年層に支持を拡大。ドラッグストアなど実店舗との連携も巧み。 |
| オルビス株式会社 | オルビスユー | 「肌が本来持つ力を引き出す」というコンセプトを軸に、オンラインと店舗を融合させた顧客体験を提供。 |
| 新日本製薬株式会社 | パーフェクトワン | オールインワンジェル市場を確立。TVCMとWeb広告を連動させ、幅広い年齢層にアプローチ。 |
| 株式会社北の達人コーポレーション | 北の快適工房 | ニッチな悩みに特化した商品を開発。「びっくりするほどよい商品」というコンセプトで高いリピート率を誇る。 |
| サントリーウエルネス株式会社 | セサミンEX、ロコモア | 大手飲料メーカーの信頼性と科学的根拠に基づいた商品開発力で、健康食品市場で圧倒的なシェアを持つ。 |
単品通販開始前に検討すべき課題と対策4つ

単品通販は成長市場である一方、参入障壁が低い分だけ競争も激しい領域です。本章では、事業開始前に整理すべき主要課題4つと、その対策の方向性を解説します。
CPA高騰と競争環境
単品通販では、CPA(顧客獲得単価)の上昇が最大のリスク要因のひとつです。
健康食品や化粧品分野では参入企業が増加したため競争が激化し、入札型広告では単価が上昇しています。
例えば、初期計画ではCPA5,000円を想定していたものの、実際には8,000円以上に上昇し、LTV設計が崩れるといった事例が考えられます。この場合、広告最適化だけでなく、商品単価や継続率の見直しが必要です。
CPAは外部環境の影響を受けやすいため、悲観シナリオも織り込んだ収支設計が不可欠です。
新規獲得の難易度
単品通販では、新規顧客獲得の難易度が年々高まっています。
消費者は多数の類似商品に接しているため、初回価格訴求だけでは差別化が難しく、信頼構築に時間とコストがかかる傾向があります。
初期投資として広告費と在庫を確保したものの、想定したCVRに届かず、資金繰りが悪化するケースがあります。
SNSやインフルエンサーを積極的に活用して認知度を高める、無料サンプルを提供し購入のハードルを下げるなどの対策が必要です。
解約率の管理
単品通販では、解約率(チャーンレート)の管理が収益安定の鍵となります。
定期購入モデルは継続利用を前提としていますが、消費者の選択肢が増える中で、解約のハードルは下がっています。初回特典で獲得できても、次につながらなければLTVは想定を下回ります。
成功企業では、スキップ制度の導入やフォローコンテンツの強化、利用方法の明確化などにより、継続しやすい環境を整えています。
解約率は結果指標ではなく、体験設計の通知表です。継続率をKPIの中心に据え、定期的に改善を図りましょう。
解約率改善のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
在庫管理とキャッシュフロー
単品通販の拡大フェーズでは、在庫管理とキャッシュフローの精度が経営安定を左右します。
定期購入モデルは需要予測が比較的立てやすいものの、楽天市場やAmazonなどのECモールへ出店するなどして事業が拡大すると、在庫管理の複雑化は避けられません。
成功企業では販売データと継続率を組み合わせた需給予測を行い、発注リードタイムを短縮するなどの対策を行っています。
在庫管理は物流の問題ではなく、経営の問題です。資金繰りと連動した需給設計が、単品通販の事業を持続させます。
まとめ:単品通販で持続的な収益基盤を構築しよう

本記事では、単品通販のビジネスモデルから具体的な成功戦略、そしてリスク管理までを詳しく解説しました。
単品通販の本質は、顧客一人ひとりと深く向き合い、その声に耳を傾け、長期的な信頼関係を築く「関係性ビジネス」にあるといえます。
本記事を参考に、自社の商品が持つ独自の強みと、その価値を最も届けたい顧客は誰なのかを定義することから始めてみてください。
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