高齢化が進む日本社会において、シニア層のマーケットは年々大きくなっています。
シニア層のマーケットで成果をあげるためには、効果的な広告媒体を把握するのが重要です。
この記事では、シニア層のメディア利用の傾向からおすすめの媒体を紹介し、成果をあげるコツや注意すべきポイントについて解説します。
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目次
シニア向け広告とは
シニア向け広告とは、65歳以上のシニア・高齢者層をターゲットにした広告のことです。
少子高齢化が進む日本社会では、シニア世代の市場規模は年々拡大しています。
内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年には75歳以上の後期高齢者人口が2,180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1,497万人に達すると予測されています。
実に国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となる計算です。
シニア層の拡大に伴って、シニア市場の規模も拡大すると予想されています。
みずほ銀行が発表した「高齢者向け市場のレポート」では、2025年にシニア市場の規模は100兆円を超える見通しです。
この大きな市場を狙って、さまざまな企業が攻勢をかけており、マーケティング戦略にも工夫を凝らしています。
シニア・高齢者層ならではの特徴を把握したうえで、従来の新聞や雑誌などのマス広告だけでなく、オンライン上でも施策を展開しシニア世代の顧客を取り込もうとしています。
シニア層のメディア利用の傾向
シニア・高齢者層向けの広告を考える際には、シニア・高齢者層のメディア利用の傾向を把握するのが重要です。
ここでは、シニア・高齢者層がどのようにメディアを利用しているのかを詳しく確認しましょう。
紙メディアからの情報を信用している
シニア・高齢者層は、紙メディアからの情報を信用しています。
総務省が実施した調査によると、新聞を重要な情報源としている割合が、全年代平均が52.8%であるのに対して、60代は75.5%。
雑誌を重要な情報源としている割合が、全年代平均が17.9%であるのに対して、60代が20.2%です。
このように、60代以上のシニア・高齢者層は、新聞や雑誌などの紙媒体を世の中の出来事や動きについて信頼できる情報を得るメディアとして重要視していることがわかります。
参考:総務省|情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
Webメディアの利用が広がっている
シニア・高齢者層の間では、紙メディアだけでなくWebメディアも広く利用されています。
インターネットの利用率は、国民全体の利用率82.9%に対して、65歳以上の利用率は53.4%、60~69歳でインターネットを利用している割合は84.4%と8割を超えています。
シニア・高齢者層のWeb利用率は年々増加しており、シニア向けのWebサイトやサービスも次々に開設され、ネットで買い物をするのも当たり前になっているのです。
シニア・高齢者層向けに有効とされている新聞や雑誌などの紙媒体を使った広告施策に加えて、Web活用の施策も重要です。
参考:総務省|通信利用動向調査
シニア向け広告におすすめの媒体10選
ここではシニア向け広告におすすめの下記の10の媒体を紹介します。
- テレビ広告
- ラジオ広告
- 新聞広告
- 雑誌広告
- 会員誌広告
- 交通広告
- フリーペーパー広告
- チラシ広告
- 同封・同梱広告
- Web広告
それぞれ特徴を押さえながら確認しましょう。
テレビ広告
近年では若年層のテレビ離れが進み、10代・20代の半数がほぼテレビを見ないといった調査結果も出ています。
しかし、高齢者においてはテレビの視聴率は依然として高く、テレビを主な情報源としている割合もテレビがもっとも高い結果でした。
テレビに対する信頼度も高い状態が続いていることから、テレビ広告はシニア・高齢者層には効果的なメディアの一つであるといえます。
この年代の趣味・嗜好に合った番組内容や時間帯に絞ってターゲティングをすれば、広告の成果を期待できます。
なお「TVのスポットCMとは?タイムCMとの違いやメリット・デメリットを解説」では、テレビCMについて解説しているため、ぜひ参考にしてください。
参考:NHK放送文化研究所|国民生活時間調査
ラジオ広告
シニア・高齢者層の方の中には、長年習慣的にラジオを聞いている人がおり、ラジオは根強く支持されている媒体です。
運転中や作業中に同じ番組を聞いているケースが多いので、ターゲットに合わせたラジオCMを流すのが効果的です。
ラジオCMでは、毎日聞いているリスナー向けに「○○といえばA社」といったメッセージを刷り込むと、ニーズが発生した時に思い出してもらえる効果があります。
新聞広告
新聞の購読率は年々低下していますが、そうした中でも60代の新聞購読率は5割以上を保っており、多くのシニア・高齢者層の支持を受けているメディアです。
新聞に掲載される情報に対する信頼度が高いことから、出稿されている広告の商品やサービスに対しても高い信頼を寄せています。
新聞広告には事前の審査で信頼度の低い広告は掲載できませんが、審査に通れば大きな信頼感を得られるため、反響にもつながります。
また「新聞広告の効果がないって本当?メリットデメリットを徹底解説!」では新聞広告の効果について解説しているため、あわせて参考にしてください。
参考:総務省|情報通信白書
雑誌広告
シニア・高齢者層は長年の習慣から活字媒体になじみが深く、高い信頼を寄せているため、新聞広告と並んで雑誌広告も大きな効果が期待できる媒体です。
雑誌によって読者の年齢層・性別・趣味・嗜好などを絞れるので、ターゲット層に合った雑誌を選んで広告を出稿するのが効果的です。
また、趣味の雑誌は長く保管して繰り返し目を通すことも多いため、広告の効果が長く続くこともメリットとした挙げられます。
「雑誌広告は効果的?3つのメリットと2つのデメリットを紹介」では、雑誌広告のメリット・デメリットを解説しているため、あわせて参考にしてください。
会員誌広告
多くのシニア会員を持つ企業や組織の会員誌は、読者の信頼度が高く広告からの反応がとりやすい媒体です。
会員誌の場合は、雑誌と比較してもさらに属性や趣味・嗜好などが絞り込まれるため、効率的なマーケティングを実施できます。
ただし、広告掲載には審査が厳しい場合もあるので、事前の確認が必要です。
交通広告
電車や駅構内、バスなど公共交通機関の広告は、事前の審査を受けて掲載されるため信頼度が高い広告のひとつです。
通勤に使う電車やバスの広告は、毎日のように目にするため、刷り込み効果が期待できます。
駅広告などは地域を絞って掲載できるため、地域密着ビジネスにも活用できる効果的な媒体です。
また、タクシーを利用するシニア・高齢者層の人も多いので、広告の効果が期待できます。
フリーペーパー広告
フリーペーパーは地域を絞ったメディアなので、店舗事業など地域密着ビジネスの広告に適した媒体です。
発行エリアと記事内容が広告主の事業にマッチしている必要があるので、事前に十分チェックする必要があります。
比較的低コストで出稿できるため、継続的に発信して認知を広め、ブランディングを高める使い方が効果的です。
フリーペーパー広告の効果を高めるポイントは「フリーペーパーでの広告効果を高めるポイントは?メリットを紹介!」を参考にしてください。
チラシ広告
シニア・高齢者層は、新聞購読率が高いため、折込チラシも有効な広告媒体です。
定年退職後は在宅率が高くなるため、ポスティングのチラシも見てもらえる確率が高くなる傾向があり、効果が見込めます。
同封・同梱広告
通販カタログや会員誌・定期購読誌などに同封されるチラシなどの広告は、趣味・嗜好や属性などによってターゲットが絞られるため、効果的なマーケティング手法です。
チラシや自社のカタログ以外にも、試供品なども同梱できます。
媒体によっては、サンプル送付も可能な場合があるので積極的に活用すると良いでしょう。
同封・同梱広告は、リストや送付にかかる費用を節約し、絞り込んだターゲットに送付できるメディアとして注目されています。
ただし、審査があるので注意が必要です。
Web広告
シニア・高齢者層のWeb利用率は年々増えており、2016年の60代のネット利用率が41.7%であったのに対して、2020年には71.3%にまで高まっています。
それに伴い、シニア・高齢者層を狙ったWebサイトやWebサービスが急速に増加しています。
Web広告は、種類が多くさまざまな形態で出稿可能です。
ターゲティングがしやすいので、自社の商品やサービスに合ったユーザーに届けるためにはどうすれば良いか、何度もテストをして見極める必要があります。
アクセス状況など詳しい反響データを取得できるので、データをもとにしたPDCAを回し、広告効果の精度を高めましょう。
なお、Web広告の種類や特徴は「Webメディア広告とは?広告の種類から運用時のポイントまで解説」で解説しています。
参考:総務省|情報通信白書
シニア向け広告が重要な3つの理由
近年では多くの企業が、シニア向け広告を重視するようになっています。
理由としては、下記の3つがあります。
- 高齢者の割合が高まっているから
- 元気な高齢者が趣味にお金を使っているから
- 高齢者は経済的に余裕がある人が多いから
それぞれの理由について確認しましょう。
高齢者の割合が高まっているから
多くの企業がシニア向け広告を重視する大きな理由として、高齢者の割合が高まっていることが挙げられます。
内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年には75歳以上の後期高齢者人口が2,180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1,497万人に達すると予測されています。
実に国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となる計算です。
今後も日本社会の高齢化は進むことは確実であり、シニア・高齢者層を無視して大きなビジネス展開を考えることはできないでしょう。
そのため、多くの企業がシニア層を狙った事業展開を考えています。
元気な高齢者が趣味にお金を使っているから
企業がシニア向け広告を重視する理由として、元気な高齢者が趣味にお金を使っていることも挙げられます。
株式会社ネオマーケティングが実施した「シニアのお金に関する調査」では、生活費以外の現在のお金の使い道について、「外食」に次いで「趣味」と答えた人が多い結果となりました。
時間に余裕があるシニア・高齢者層は、自分の好きな趣味に時間とお金を使っています。
また、自宅で過ごす時間が多く、テレビや新聞、読書などの視聴にも時間を使う傾向があります。
高齢者は経済的に余裕がある人が多いから
高齢者は、経済的に余裕がある人が多いといえます。
内閣府が60歳以上の男女を対象に実施した調査では「経済的な暮らし向きについて心配がない65歳以上の人」は68.5%という結果でした。
現在の収入はそれほど多くはないものの、年金収入や資産があることで家計の心配なく暮らしているシニア・高齢者層が多いでしょう。
子育て世代などと比べて、自分や家族のためにお金を使おうとしている傾向があり、大きな市場が生まれています。
参考:内閣府|高齢社会白書
シニア世代の分類4つ
シニア層の中でも健康状態や活動状況などで、下記の4種類に分類できます。
- 現役シニア
- アクティブシニア
- ノンアクティブシニア
- パッシブシニア
それぞれについて解説します。
現役シニア
現役シニアとは、65歳の定年を迎えても積極的に働くシニアのことです。
近年は、積極的に現役として働くシニアが増えつつあり、企業でも再雇用の枠を広げています。
健康で元気に過ごす人が多く、趣味や仕事に積極的に取り組んでいます。
アクティブシニア
アクティブシニアとは、65歳の定年で仕事は引退したものの、健康で元気な人のことです。
趣味やスポーツに時間とお金を費やし、旅行などにも積極的に行っています。
時間的にも経済的にも余裕があり、第二の人生を楽しんでいる人たちです。
ノンアクティブシニア
ノンアクティブシニアとは、健康や経済的な理由であまり活動せず、家で過ごすことが多いシニア世代です。
通院するほどではないものの、身体機能が衰えて生活しにくくなっていると感じています。
自宅でできる読書やゲームなどの趣味を楽しむことが多く、家で過ごす時間が長い特徴があります。
自分のことは自分でできる76歳以上の後期高齢者に特に多いタイプです。
パッシブシニア
パッシブシニアとは、自宅や施設で療養や介護を受けているシニアのことです。
身体的に問題があるケースが多く、外出や旅行が難しい場合もあります。
収入源は年金のみで、制度や行政のサービスを受けている層の人たちです。
シニア向け広告で成果をあげるための3つのコツ
シニア・高齢者向けの広告では、若い世代向けと同じように展開してもなかなかうまくいきません。
ここでは、シニア・高齢者向けの広告における3つコツを紹介します。
- シニア層の嗜好や関心を理解する
- シニア層の価値観を理解する
- シニアを固定観念で見ない
それぞれのコツについて解説します。
シニア層の嗜好や関心を理解する
まずは、シニア・高齢者層の嗜好や関心を理解しましょう。
若い世代の人からすると、「シニア・高齢者層はこういうもの」とひとくくりで見てしまうことが多いようです。
しかし、シニアの人たちも若い人同様に趣味や好きなことは人それぞれであり、マーケティング施策を打つ場合には、違いに合わせる必要があります。
シニア・高齢者向けだからといってひとまとめにせず、細かなターゲティングをするべきです。
商品やサービスのターゲット層を分析してペルソナを設定し、何をアピールすると効果があるかをじっくり検討しましょう。
あまり高齢者と接点がないためうまくペルソナを設定できないのであれば、アンケートや過去の資料を集めるなど徹底したリサーチを行います。
シニア・高齢者層の趣味・嗜好が理解できれば、効果的なアプローチができるでしょう。
シニア層の価値観を理解する
シニア・高齢者層の価値観を理解するのも重要です。
人間の価値観は、今までに経験した社会情勢・教育・文化・その時の健康状態・年齢などによって形作られます。
年代ごとに共通するものがあるので、年代によって通じる価値観や感覚があるのです。
いわゆる「団塊の世代」といわれる昭和22(1947)年~24(1949)年生まれの人たちは、出生数が特別に多い世代であったため、常に競争を強いられてきました。
若い頃に高度成長で明るい未来を感じ、中年期にはバブル発生と崩壊がありました。
こうした社会変化は、同世代の人の考え方に影響し、年代特有の価値観を作り上げています。
シニア・高齢者層をターゲットして広告展開するのであれば、社会情勢を振り返り、具体的にどう影響があったのかをじっくりと考えましょう。
シニアを固定観念で見ない
シニア・高齢者をターゲットにして施策を検討する場合に、「シニアだからこうだろう」と固定概念で考えないのが重要です。
「シニアだから地味な色が好きだろう」「懐かしい雰囲気を出せば喜ぶだろう」「目新しさや革新的なことをアピールするより伝統や本格のイメージが効果的だろう」と簡単に考えないようにしましょう。
こうした一般的な考えは一旦仮説としておき、実際にそうなのかを調べるために調査・検証をする必要があります。
先入観や固定概念にとらわれて広告展開すると、失敗しやすくなってしまうでしょう。
シニアマーケティングの事例について「シニアマーケティングの成功事例まとめ!失敗しないコツとは?」にまとめているため、あわせて参考にしてください。
シニア向け広告で注意すべき3つのポイント
シニア向け広告を展開するにはどのような点に注意すれば良いのか、ここでは下記の3つのポイントを解説します。
- ペルソナの設定を綿密におこなう
- ペルソナに合った媒体やクリエイティブを考える
- 見やすさの工夫をする
それぞれ確認しましょう。
ペルソナの設定を綿密におこなう
シニア向け広告を展開する際は、ペルソナを綿密に設定しましょう。
シニア・高齢者層をひとくくりにせず、丁寧にペルソナを設定してターゲット像を明確にするのが重要です。
シニア・高齢者層の中でもさまざまなタイプがおり、それぞれの特性があります。
広告を企画する前には、高齢者向けとだけ考えるのではなく、ペルソナを適切に設定して考えることが重要です。
ペルソナに合った媒体やクリエイティブを考える
ターゲットのペルソナ設定ができたら、ペルソナの特性に合わせた媒体の選択と、クリエイティブを制作します。
高齢者だからこうだろう、と決めつけをせず、きめ細かく考えることが需要です。
かつての高齢者の考え方や行動様式とはかなり変わってきているため、データを参照したりテストを実施したりして、できる限り裏付けをとって展開する必要があります。
見やすさの工夫をする
シニア・高齢者向けのクリエイティブでは、文字を詰め込まずフォントサイズも大きくするなど、見やすさの工夫が必要です。
色のコントラスもつけて、できるだけ見やすくしましょう。
コピーの文言には、最近のカタカナ用語を多用せず、わかりやすい表現を用いるのがおすすめです。
シニア向け広告で成果を出すにはシニア層を理解するのが重要
ここまでシニア向け広告におすすめの媒体10選を紹介し、成果をあげるコツや注意すべきポイントについて解説しました。
高齢化が進む日本社会では、シニア・高齢者向けの市場は今後も拡大が予想されます。
この市場で狙い通りの成果を成果をあげるためには、シニア・高齢者層の特性を十分理解し、ターゲットに合った媒体を選択するのが重要です。
「高齢者向けだから、テレビ・新聞・雑誌に広告を出しておけば良いだろう」と最初から決めつけず、仮説を立てて検証する姿勢が成果につながります。
特に近年では、高齢者のWeb利用率が高まっているため、今まで以上にWeb広告が有効です。
シニア・高齢者層に合ったWeb広告の作り方など、新しい時代のシニア・高齢者層向けマーケティング手法を開発していくことが求められるでしょう。
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