近年、消費者の広告離れが進む中で注目されているのが「タイアップ広告」です。
信頼されるメディアの文脈で商品やサービスを自然に紹介できるため、従来の広告よりも高い訴求効果が期待できます。
しかし一方で、「費用対効果は?」「どの媒体を選べばよいのか?」と悩む広報担当の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、タイアップ広告のメリット・デメリット、料金を左右するポイントや活用に適した事例まで、わかりやすく解説します。
また、効果的なタイアップ広告の書き方については、以下の記事も参考にしてください。
また弊社では、紙媒体の広告の出稿をご検討の方に「紙媒体広告の戦略本Vol.2」を紹介しています。
詳しく知りたい方はぜひバナーをクリックして、資料をダウンロードしてください。
目次
タイアップ広告とは

タイアップ広告とは、企業(広告主)が既存媒体(メディア)に料金を支払って、自社の商品やサービスを宣伝するPR記事を書いてもらう広告手法のことです。
メディアと提携してPR記事を制作するため、「記事広(きじこう)」「メディアタイアップ」とも呼ばれます。
読者に自然に届く形で訴求できるのが特徴で、近年ますます注目を集めています。
タイアップ広告の語源
タイアップ広告の語源は英語の「tie up(結びつく)」にあり、企業とメディアが連携する形でコンテンツを作る点が特徴です。
特に編集コンテンツの一部のように見せる形式が多く、一般的な広告との違いが際立ちます。
例えば、女性向けライフスタイル誌が特集記事内でコスメブランドを紹介する際、「タイアップ企画」として読者の関心に自然に入り込む形式が取られます。
読者にとって情報としての価値が高いと同時に、広告主にとっても好感度の高い訴求が可能です。
広告主である企業が提携するコンテンツの例は、以下の通りです。
- 大手ポータルサイト
- まとめサイト
- 芸能人やYouTuber
- ブロガー
- インフルエンサーのSNSなど
タイアップ広告が生まれた理由
広告への信頼が揺らぐ中、より自然で信頼性の高い訴求方法としてタイアップ広告が誕生しました。
従来のバナー広告やテレビCMなどの露骨な広告手法に対して、消費者の反応は鈍くなりつつあります。
そのため、広告であることを前面に出さず、編集コンテンツの一部として情報を伝える形式が求められるようになりました。
例えば、旅行雑誌の中で地元のホテルを紹介する記事が、実はタイアップ広告だった、というケースです。
内容は通常の記事と同じような体裁でありながら、読者の信頼を得やすく、自然な形でサービスを訴求できます。
このように、ユーザーの広告回避傾向に対応するために生まれたのが、メディアとの共同企画によるタイアップ広告なのです。
オーガニック記事との違い
タイアップ記事によく似た広告手法に「オーガニック記事」があります。
オーガニック記事はメディア独自の判断で制作されますが、タイアップ広告は企業が料金を払い、目的を持って掲載する点が異なります。
オーガニック記事は中立的な立場から情報提供するコンテンツであり、特定の企業からの依頼ではありません。
一方、タイアップ広告は明確に広告主の意図が反映されています。
たとえば、健康食品に関する記事がWebメディアに掲載されていたとして、それがメディア独自の取材ならオーガニック記事、広告主からの依頼による紹介記事ならタイアップ広告です。
後者は「PR」「広告」などの表示が義務付けられています。
オーガニック記事はあくまで情報提供、タイアップ広告は広告目的。
この違いを理解しましょう。
以下に「タイアップ広告」と「オーガニック記事」の違いをまとめましたので、参考にしてください。
タイアップ広告 | オーガニック記事 |
広告費が発生 | 費用は無料 |
100%掲載される | 掲載される保証なし |
編集権はメディアと広告主の企業にあるため、意図する記事を掲載できる | 編集権はメディア側にあるため、狙いとは違った記事が掲載される可能性がある |
PR記事のため、単なる広告として受け取られるリスクがある | PR記事ではないため、信頼度が高い |
タイアップ広告のメリット5つ

上記で紹介してきたとおり、従来の広告では伝えきれない魅力を届けられる手法として、タイアップ広告は注目を集めています。
本章では、マーケティングやPRの現場で重視されている5つのメリットを、実務の視点から詳しく解説します。
- 信頼性の高い文脈で自然に訴求できる
- ターゲット層への到達精度が高い
- SNSや口コミで二次拡散が期待できる
- ブランディングと販促を両立できる
- 発信タイミングや内容を戦略的にコントロールできる
それでは早速、タイアップ広告が企業にもたらす5つのメリットを見ていきましょう。
信頼性の高い文脈で自然に訴求できる
タイアップ広告は、信頼性のあるメディア上で、商品やサービスを自然な形で訴求できる点が大きな魅力です。
従来型のバナー広告や純広告は、明らかに「広告」のため、ユーザーに敬遠されがちでした。
一方で、タイアップ広告は、読者が普段から信頼している媒体の編集コンテンツに近い文脈で届けられます。
そのため、違和感が少なく、読者に内容を情報として受け入れてもらいやすくなります。
読者の目線に立った伝え方ができるため、押しつけにならず、商品やサービスの魅力が自然に伝わる手法といえるでしょう。
ターゲット層への到達精度が高い
タイアップ広告は、狙いたいターゲット層にピンポイントで情報を届けるのに非常に適した手法です。
各媒体には、年齢層・性別・興味関心・職業など、明確な読者層や視聴者層が存在しています。
タイアップ広告は、その属性をもとにメディアを選定すれば、訴求したい層に無駄のないアプローチが可能です。
また、読者の関心が高いテーマと絡めて広告を打てるため、広告自体の受け入れられやすさも高まります。
限られた広告予算を有効に使い、狙うべき見込み顧客に確実にリーチしたい企業にとって、最適な選択肢といえるでしょう。
SNSや口コミで二次拡散が期待できる
タイアップ広告は、コンテンツとしての魅力が高いため、SNSなどで自然と拡散される可能性があります。
タイアップ広告は単なる商品紹介ではなく、読み物として価値のある記事に仕上がっていることが多いです。
そのため、ユーザーが自発的に「これは役立つ」と感じてシェアすることがあります。
また、信頼性のある情報源や著名なインフルエンサーとのタイアップであれば、フォロワーを通じての拡散も見込め、広告費以上のリーチが生まれることも少なくありません。
広告であることを忘れさせるような自然な拡散力を持つのが、タイアップ広告のユニークな特徴なのです。
ブランディングと販促を両立できる
タイアップ広告は、商品やサービスの販売促進だけでなく、企業のブランド価値も同時に伝えられます。
メディアとの共同制作により、企業の背景や思い、社会的な意義といったブランドメッセージも含めて発信できるため、単なる訴求を超えた「共感」が醸成できます。
これは、価格や性能だけでは競争できない市場において、顧客との長期的な関係構築を目指す企業にとって非常に重要な要素です。
ブランドの世界観やストーリーを届けながら、購買行動も促せるのは、タイアップ広告の大きなメリットのひとつです。
発信タイミングや内容を戦略的にコントロールできる
タイアップ広告は、掲載時期や記事内容を広告主が設計できるため、マーケティング施策に柔軟に組み込めます。
例えば、新商品発売に合わせて注目度の高いメディアに掲載したり、セールやキャンペーンと連動させたりすれば、露出のタイミングをコントロールできます。
また、メディア側との打ち合わせを通じて、掲載テーマやトーンを自社のブランディングに沿って調整できるため、長期的な戦略とも親和性が高いです。
発信の内容・タイミング・ターゲットのすべてを計画的に組み立てられる点で、他の広告手法にはない自由度を持っているといえます。
タイアップ広告のデメリット3つ

効果的な訴求が可能な一方で、タイアップ広告には注意すべき点もあります。
本章では、実施前に知っておきたい3つの主なデメリットを、担当者目線で具体的に解説します。
- 制作・掲載に高コストがかかる場合がある
- メディアとの調整や確認に時間がかかる
- 短期的には成果が出にくいこともある
広告の効果を高めるためにも、デメリットを事前に把握し、適切な対策を講じましょう。
制作・掲載に高コストがかかる場合がある
タイアップ広告は、他の広告手法と比較して、制作・掲載にかかるコストが高くなる傾向があります。
タイアップ広告では、記事の企画・構成から取材、撮影、執筆までをメディア側または制作チームと連携して進める必要があります。
媒体のブランド力が高いほどコストも上がり、1本あたり数十万円〜百万円以上の見積もりになることも少なくありません。
さらに、複数回掲載やSNS拡散オプションなどを加えると、予算はさらに膨らみます。
費用対効果を高めるには、明確な目的を持ち、成果を測定できる運用体制の整備が重要です。
メディアとの調整や確認に時間がかかる
タイアップ広告では、制作過程でメディアとの入念な確認や調整が必要となり、想像以上に時間がかかるケースがあります。
記事の信頼性や媒体価値を保つために、メディア側が内容や言葉づかいが自社の方針に合っているかを細かく確認することが多く、一方的に企業の意向だけで進めることはできません。
加えて、制作の途中で表現の修正や再取材が入ることもあり、調整に数週間〜1ヶ月以上かかるケースもあります。
あらかじめスケジュールに余裕を持ち、各工程に必要な時間を見込んだうえで、広告の計画を進めましょう。
短期的には成果が出にくいこともある
タイアップ広告は、必ずしも短期間で直接的な成果が出るとは限らず、中長期的な視点が求められます。
認知向上やブランド好感度の醸成といった効果は、通常は数値に表れるまで時間がかかります。
短期的なコンバージョンや売上などで判断すると「コストに見合わない」と感じることもあるでしょう。
特に初回掲載時は成果が見えづらく、継続的な露出やターゲットへのリマインドが必要になるケースも少なくありません。
タイアップ広告は、短期的な刈り取り施策ではなく、長期的なブランド戦略の一環として捉えるべき広告手法です。
タイアップ広告の成功事例

タイアップ広告は、すべての商材や企業に万能というわけではありません。
その性質上「相性の良いケース」がいくつかあります。
本章では、タイアップ広告が成功した2つの具体的な事例を紹介します。
- 既存ユーザーへの再アプローチ|マクドナルド×サンリオ
- 新規ユーザーの獲得|助太刀 × 長州力
タイアップ広告を検討する際は、自社の目的やフェーズに合った事例に当てはまるかの見極めが重要です。
それぞれの事例を分析してみましょう。
既存ユーザーへの再アプローチ|マクドナルド×サンリオ
参考:サンリオ
既存のファンに再来店を促す施策として、マクドナルドとサンリオのタイアップは非常に効果的な事例でした。
ハッピーセットで定期的に行われているサンリオとのコラボは、マクドナルドの既存顧客層、特にファミリー層へのリテンションを目的としています。
SNSでは、サンリオキャラの目元だけを先行公開する「匂わせ投稿」を活用し、ファンの期待を高めながら、発売日までの注目度を持続させています。
既存顧客にとっては「またあのコラボが来た!」と感じられる安心感と期待感があり、再訪やリピート購入を後押ししました。
定期的なキャラクタータイアップは、既存顧客との関係性を強化し、ブランドの親しみやすさを継続的に維持する施策として有効といえるでしょう。
新規ユーザーの獲得|助太刀 × 長州力
助太刀は、知名度と信頼性の高い著名人・長州力さんを起用したタイアップ広告で、新規ユーザーの獲得に成功しました。
助太刀は、建設業界の人手不足を支援するBtoBマッチングアプリです。
しかし、従来の職人層にはアプリの存在や利便性が十分に浸透していませんでした。
そこで「力強さ」「信頼感」「親しみやすさ」を兼ね備えた長州力さんを広告に起用。
彼の存在を通じて、ITツールに馴染みのない層にも安心感を与え、サービスへの心理的ハードルを下げました。
TVCMやWeb広告など複数の媒体で露出を展開し、「現場と職人をつなぐアプリ」というメッセージをわかりやすく届けています。
著名人を活用した親和性の高いタイアップにより、これまでリーチできなかった層への新規開拓を実現した好例です。
タイアップ広告の料金を左右する3つのポイント

タイアップ広告の料金相場は、下記のような式で求めることができます。
「タイアップ広告の料金相場=想定PV数×単価」
では1記事当たりの単価は、どのような基準で決まるのでしょうか。
本章では、特にタイアップ広告の料金を左右する3つのポイントを解説します。
- 掲載サイトのブランド力・影響力
- ユーザー層の購買力・エンゲージメント
- 記事広告の種類
タイアップ広告の出稿を検討している方は、しっかりチェックしておきましょう。
①掲載サイトのブランド力・影響力
タイアップ広告の料金を大きく左右する要素の一つは、掲載するメディアのブランド力や影響力です。
メディア自体に多くの読者やフォロワーがついており、信頼性や影響力が高い場合、その分だけ広告費も高くなる傾向があります。
誰もが知る大手Webメディアや新聞社系サイト、有名インフルエンサーとのタイアップなどは、1本あたりの掲載料金が数十万円から百万円を超えることも。
例えば、文春オンラインのような大手Webメディアのオリジナルタイアップの料金は、200万円となっています。
気軽に出稿できる広告ではありませんが、1つの媒体に対して複数のタイアップ広告を依頼すると、掲載料金が安くなることがあります。
自社商品やサービスのターゲット層に合ったサイトが決まったら、割引率について問い合わせてみるとよいでしょう。
②ユーザー層の購買力
メディアの読者層・視聴者層の購買力やエンゲージメントの高さも、広告費に影響を与えます。
年収層や購買傾向が明確なメディアほど、広告効果が見込めるため、広告単価も高く設定されがちです。
例えば、不動産投資・生命保険・証券などを扱う富裕層向けライフスタイルメディアや、購入意欲の高い読者を多く持つジャンル特化型メディアがあげられます。
こうした商材に最適な富裕層向けメディアでは、1PV当たり「120円」前後まで高騰しますが、少数でも反響率が高くなるため、高単価でも出稿する価値があるとされています。
また、コメント・シェアなどユーザーのエンゲージメントが活発な媒体も同様です。
「どんな人に届くか」は料金だけでなく成果にも直結するため、メディア選定時の重要な判断材料となります。
③記事広告の種類
記事広告の「制作方式」や「形式の違い」も、最終的な料金に大きく影響します。
例えば、媒体社が記事制作・編集・取材まで請け負う「フル制作型」は、人件費や工程が増える分、料金がかさみます。
一方、広告主が原稿を持ち込む「記事持ち込み型」は比較的低コストです。
また、動画タイアップや複数メディアへの同時掲載などは、静止画とテキストのみの一般的な記事よりも、制作・運用コストが高くなります。
さらに、記事の二次利用やSNS連携オプションの有無によっても金額は変動します。
どの形式を選ぶかは、目的・予算・社内リソースなどを総合的に見て、慎重に判断しましょう。
タイアップ広告を活かして認知拡大・売上アップを実現しよう

タイアップ広告は、信頼されているメディアを通じて、自然な形で商品やサービスを伝えられる手法です。
広告感が薄いため、読者の共感を得やすいのが大きなメリットです。
認知拡大や売上向上を目指すうえでも、有効な選択肢となるでしょう。
ただし、成功には戦略が欠かせません。
誰に届けたいのか、どんな行動を促したいのか。
目的を明確にし、記事の設計や導線を考える必要があります。
自社の課題やフェーズに合わせて、タイアップ広告を上手に活用していきましょう。
また弊社では、紙媒体の広告の出稿をご検討の方に「紙媒体広告の戦略本Vol.2」を紹介しています。
詳しく知りたい方はぜひバナーをクリックして、資料をダウンロードしてください。
コメントを残す