EC広告費の決め方とは?目的別の予算設定方法を紹介!

「EC広告費の予算はどうやって決めればいいんだろう」

EC(Electronic Commerce-電子商取引)において広告費は、品やサービスの価値を伝え、売上を上げるために必要なコストです。

しかし、適切な広告比率を設定しなければ利益を圧迫したり、望むような効果が得られなかったりするため難しい課題でもあります。

この記事では、広告宣伝費と販売促進費の違いや、次のような目的別の予算設定方法を解説します。

  • 現状の売上に見合った広告費予算
  • アクセス人数増加に向けたEC広告費予算
  • EC売上増加に向けたEC広告費予算

広告費の予算設定に悩んでいる方は、参考にご一読ください。

なお弊社では、通販事業の方向けに紙で広告を出すための展開パターンや、出稿までの流れ・準備について紹介しています。

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ECにおける広告宣伝費と販売促進費とは?

ECの広告費は、自社の商品やサービスの魅力を伝え販売するために必要なコストです。

目的により以下の2つに分けられます。

  • 広告宣伝費
  • 販売促進費

それぞれどのような違いがあるのか、みていきましょう。

広告宣伝費

広告宣伝費とは、不特定多数のターゲットに向けて、自社EC商品やサービスの認知を拡大することを目的とした経費です。

おもに、オフライン広告、オンライン広告、4大マスメディアの3種類に別れます。
次の表に、具体的な媒体を種類ごとにまとめていますのでご覧ください。

オフライン広告
  • フリーペーパー
  • ポスティング・チラシ
  • 折込チラシ
  • DM
  • 同封・同梱チラシ
  • 看板
  • 交通広告
  • デジタルサイネージ など
オンライン広告
  • ホームページ
  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • 純広告
  • SNS広告
  • 動画広告 など
4大マスメディア
  • テレビ
  • ラジオ
  • 新聞
  • 雑誌

選ぶ媒体によってメリット・デメリットがあります。

エリアを絞り込みたいならオフライン広告、効果測定がしやすい方法ならオンライン広告、など目的や予算によって使い分けると効果的です。

媒体別のメリット・デメリットについて知りたい方は「オフライン広告のメリットや活用法、オンライン広告との違いを解説!」という記事で詳しく解説しています。

販売促進費

販売促進費とは、商品やサービスの購入につなげることを目的とした経費のことをさします。

広告によって認知を拡大しただけでは、ECの売上につながりません。
直接的なアプローチによって問い合わせや購入・契約につなげるために、次のような施策をおこなう必要があります。

  • 商品サンプルや景品の配布
  • ノベルティグッズの制作・配布
  • カタログ制作・配布
  • キャンペーン(送料無料など)
  • 展示会やコンテストの出展
  • 販売奨励金やリベート

さまざまな施策をおこなうために、適切な費用をかけてEC事業の成長につなげていきましょう。

通販の広告にかける費用は何%が適正?費用の内訳なども紹介」でも、通販ビジネスの広告費について解説していますので、参考にしてみてください。

ECの売上実績に広告比率をかけて広告費を計算

広告宣伝費や販売促進費の予算設定は、売上の状態や広告を出稿する目的によって異なります。
ここでは、今の売上実績に一定の広告比率を定めて設定する方法を紹介します。

広告比率は業界・業種によって異なるので、同業種の広告比率を参考に計算してみましょう。

次の表に、業種ごとの売上に対する広告比率をまとめていますのでご覧ください。

業種広告比率
食品9%
飲料・嗜好品8%
化粧品10%
自動車・関連品4%
不動産・住宅設備5%
流通・小売業6%
金融・保険7%
外食・関連サービス6%
教育2%
通販・サービス業15〜20%

参考:「広告宣伝費」が多いトップ300社ランキング(東洋経済ONLINE)、2021年 日本の広告費|業種別広告費(電通)

ECは通販・サービス業にあたるので、広告比率は平均15〜20%です。

例えば売上が20万円で広告比率を15%とした場合、以下のように計算できます。

売上 ✕ 広告比率 = 広告費予算

20万円 ✕ 15% = 3万円

算出した広告費予算と実際の広告費を比較して、かけすぎていたり抑えすぎていたりしないか判断する場合にも役立つ計算方法です。

広告費の予算を計算したら、予算に合わせて出稿する媒体を選出しましょう。

紙媒体の広告の料金はいくら?媒体別に相場を徹底解説!」では、媒体別の広告費相場について詳しく解説しています。

アクセス人数増加に向けたEC広告費予算

ECを新規に立ち上げたばかりの頃など、アクセスを集めて新規顧客を増やしたい場合の予算設定を解説します。

事前準備として次の数値を確認してください。

  1. 目標とするアクセス人数
  2. 広告のクリック単価

例えば目標アクセス人数が200人で、SNS広告のクリック単価が100円だとすると次のように計算できます。

1ヶ月あたりの広告費予算

目標アクセス人数 ✕ クリック単価 = 広告費予算

200人 ✕ 100円 = 20,000円

EC売上増加に向けた広告費予算

売上増加に向けた広告予算を設定する場合は、ある程度の顧客がついてからおこないましょう。
売上増加を目的とした予算設定には、購入者のデータが揃っている必要があるためです。

次の手順で予算を計算していきましょう。

  1. 必要なデータを確認する
  2. データから広告の予算設定をする

①必要なデータを確認する

広告費の予算を計算する前に、次のデータを確認してください。

  • 売上増加目標
  • 平均顧客単価
  • 購買率

まずは今の売上からどれくらい伸ばしたいのか、目標を確認しましょう。
ここでは、広告による売上の増加目標を10万円とします。

平均購入単価、購買率については次の式を使って計算できます。

売上金額 ÷ 売上件数 = 平均顧客単価

(例)200,000円 ÷ 40件 = 5,000円

売上件数 ÷ アクセス人数 ✕ 100 = 購買率

(例)40件 ÷ 1200人 ✕ 100 = ※3%

※小数点以下切り捨て

例として、以下のデータで広告費を計算していきましょう。

売上増加目標:10万円

平均顧客単価:5,000円

購買率:3%

②データから広告の予算設定をする

売上目標、平均顧客単価、購買率を確認したら次の手順で予算設定します。

  1. 売上目標の達成に必要な購入顧客数を計算する
  2. 購入顧客数と購買率から必要なアクセス人数を計算する
  3. アクセス人数から広告予算を設定する

まず、売上目標額に到達するには、何人の顧客に購入してもらう必要があるかを計算していきます。

① 売上目標 ÷ 平均顧客単価 = 必要な購入顧客数

(例)100,000円 ÷ 5,000円 = 20人

売上を10万円上げるためには、購入顧客数を20人増やせばよいことがわかりました。

では、アクセス人数をどれくらい増やせばよいか購買率を用いて求めましょう。

② 購入顧客数 ÷ 購買率 = 必要なアクセス人数

(例)20人 ÷ 0.03 = ※600人

※端数切り捨て

購入顧客数を20人増やすためには、アクセス人数を600人増やす必要があります。

アクセス人数に、広告のクリック単価をかけた数値が広告費予算です。
例として、リスティング広告のクリック単価100円で計算します。

③ アクセス人数 ✕ クリック単価 = 広告費予算

(例)600人 ✕ 100円 = 60,000円

以上の計算で、売上増加目標10万円に到達するために必要な広告費予算は60,000円と算出されました。

EC広告の費用対効果を上げる方法とは?

EC広告を出稿するにあたり、費用対効果を上げる方法はどのようなものがあるのでしょうか。
ポイントは次の2点です。

  1. 広告宣伝費(販売促進費)の実態を把握する
  2. 効果測定して改善する

広告の費用対効果を上げるためには、効果の分析と検証が不可欠です。

詳しく解説します。

①広告宣伝費(販売促進費)の現状を把握する

広告費の費用対効果を上げるには、なるべく正確に広告の現状を把握することが大切です。
どの広告が成果を上げているのか、成果が低い広告の課題は何かなど分析ができないからです。

次のような点について確認しましょう。

  • 広告宣伝費や販売促進費がどのような媒体に使われているのか
  • どれくらいの効果があったのか(売上やアクセス人数の増加)
  • CPA(顧客獲得単価)やCVR(コンバージョン率)
  • LTV(顧客生涯価値)

高い成果を上げている広告媒体にコストを集中することで、費用対効果の向上が望めます。

また、LTVを(顧客生涯価値)を計算することで売上効果をはかることもできます。

LTVの高い優良顧客にコストを投入し、見込みの低い顧客のコストをしぼることで費用対効果を最適化が可能です。

LTVの意味とは?重視される理由や予測する方法について解説!」という記事で、LTVについて詳しく解説していますのでご参照ください。

②効果測定と改善をくり返す

広告の効果を測定したら、費用対効果を最適化するためにPDCAサイクルをくり返しましょう。
PDCAとは、業務効率化のための手法で以下の頭文字を取ったものです。

  • PLAN(計画)
  • DO(実行)
  • CHECK(評価)
  • ACTION(改善)

PDCAは1度だけではなく、くり返すことで精度が上がり目標に近づくと言われています。

また、必ず1人ではなく複数人で評価・分析をおこなうことも大切です。

それぞれの視点から客観的に評価・分析をすることで、偏りをなくし改善点を見つけやすくできます。

目的に合わせた広告費を設定してEC運営を成功させよう

EC広告費の予算設定について解説しました。

広告費には、大きく分けて広告宣伝費販売促進費の2つがあります。
それぞれ以下のような目的に合わせた計算方法を紹介しました。

  • 現状の売上に見合った広告費予算
  • アクセス人数増加に向けたEC広告費予算
  • EC売上増加に向けたEC広告費予算

目的に合わせて計算し適切な広告費がわかるようになれば、利益と広告費のバランスが取れるようになります。

さらに、効果測定と改善をくり返して広告の費用対効果を上げていくことも大切です。

EC広告の効果を最大化して、EC運営を成功につなげましょう。

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