LTV(顧客生涯価値)は、1人の顧客が企業にもたらす利益の総額をあらわす数値です。
収益の改善や安定に不可欠なマーケティング指標といわれています。
しかし、「計算方法がたくさんあってどれが正しいかわからない」「具体的な活用方法が知りたい」とお悩みではありませんか。
この記事では、以下について解説します。
- ビジネスモデル別のLTV計算方法
- LTVの活用方法
- LTV計算値の改善方法
記事を読むことで、LTVの計算方法について理解を深められます。
LTVの意味は「LTVの意味とは?重視される理由や予測する方法について解説!」で解説。
正しい計算方法によるマーケティング施策の効果を高めるために、こちらの記事もぜひ読みすすめてみてください。
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目次
LTVの計算方法が複数ある理由とは?
LTVの計算方法は、複数の種類があります。
なぜなら、目的や対象によって考慮すべき数値が違うからです。
目的や対象が違うケースをすべてひとくくりにして計算してしまうと、マーケティング施策の効果が半減してしまうこともあります。
LTVの計算では、ビジネスモデルや求めたい数値によって、以下の要素を考慮した計算方法を取り入れましょう。
- 対象(個人か全体か)
- 収益率
- 解約率
また、LTVとは不動産業において使用される「Loan to Value」の略語でもあります。
こちらは「総資産有利子負債比」であり、意味や計算方法がまったく異なるので注意しましょう。
LTV計算方法:ビジネスモデル別
LTVの計算はどのような方法でおこなうのでしょうか。
ここでは、ビジネスモデル別に計算式と例を用いてご説明します。
①メーカー・小売業
※LTV(顧客生涯価値) = 購買単価 × 購買頻度 × 継続期間 (例)健康食品の単品リピート通販 購買単価=3,000円 LTV(顧客生涯価値): 3,000円 × 6回 × 2年 = 36,000円 ※値はすべて平均値 |
メーカーや小売業で使用される、最もシンプルでわかりやすい計算方法です。
この方法で計算する場合はすべて平均値を取って計算するので、算出されるLTVも平均値です。
事前に平均値のデータを計測しておきましょう。
健康食品の単品リピート通販例では、LTVは36,000円になります。
単品通販については単品通販とは何?広告を活用してリピート購入の獲得が成功の秘訣!という記事もご参照ください。
②BtoB(企業間取引)
LTV(顧客生涯価値) = 年間取引額 × 取引継続期間 × 収益率 (例)企業A 年間取引額=2,000,000円 LTV(顧客生涯価値): 2,000,000円 × 2年 × 50% = 2,000,000円 |
BtoB(企業間取引)においては収益率を考慮する場合が多いため、上記の計算方法が多用されています。
企業Aの場合、LTVは2,000,000円です。
③サブスクリプション
LTV(顧客生涯価値) = 平均購買単価(プラン料金) ÷ 解約率 (例)音楽配信サービス 平均購買単価=1,000円 LTV(顧客生涯価値): 1,000円 ÷ 10% = 10,000円 |
サブスクリプション(サブスク)は、定額料金を支払って商品やサービスを利用できるビジネスモデルです。
サブスクでは、解約率を考慮する必要があります。
なぜなら、音楽配信サービスのように利用期間の定めがなく顧客のタイミングで解約するのが一般的だからです。
平均継続期間の予測が難しいので解約率を加味して計算しましょう。
解約率は以下の式で求められます。
解約率 = ひと月の解約した顧客数 ÷ 月初の総顧客数 × 100 (例)30名 ÷ 300名 × 100 = 10% |
時系列LTVの計算方法と意義
化粧品・健康食品のECを運営する北の達人コーポレーションでは、時系列LTVという独自の管理指標を取り入れています。
顧客・商品別のLTVを月ごとに算出することで、時系列の利益状況が把握できるためです。
例えば、「初回購入」「初回購入から1ヶ月間」といった期間ごとに算出。
時系列LTVを算出すると、上限CPA(1顧客獲得単価の上限)設定が可能になります。
上限CPAを確認すれば、利益につながらない広告がわかります。
よって不要な広告を削減し、費用対効果の高い広告投資につながるということです。
参考:LTV重視の時代!北の達人×アドエビスが語る、高利益率を実現する広告評価とは(通販通信ECMO)
計算して評価!LTVの活用方法
LTVの計算はどのような活用方法があるのでしょうか。
おもに2つの活用方法について説明します。
- 顧客セグメントごとの施策評価
- 上限CPAの逆算
顧客セグメントごとの施策評価
顧客セグメントごとにLTVを算出することで、それぞれのセグメントへのマーケティング施策に対する評価・比較ができます。
顧客セグメントとは、顧客の傾向ごとにセグメンテーション(分類)することを意味します。
化粧品通販の顧客セグメント例をご覧ください。
年代 | 20代 | 40代 |
居住環境 | 都心・1人暮らし | 田舎・4人暮らし |
購入頻度 | 高い | 低い |
傾向 | 価格重視 | 効果・品質重視 |
総利益 | 4億 | 1億 |
顧客数 | 8000人 | 1000人 |
LTV | 50,000円 | 100,000円 |
表中の純利益を比較すると、20代が4億で勝っているという結果です。
しかし、LTVを見ると40代が100,000円で、1人あたりの利益は20代の倍になっています。
よって、40代セグメントのCPA(顧客獲得単価)を20代セグメント以下にすることで、収益の改善につながります。
どのセグメントに広告コストを集中すべきか判断する際には、LTVを活用しましょう。
上限CPAの逆算
LTVを算出すれば上限CPAを逆算できます。
上限CPAがわかれば、広告投資の最適な判断につながります。
こえてはいけない広告コストの基準がはっきりわかるからです。
例えば20代顧客のLTVが50,000円であれば、上限CPAも50,000円以下におさえなければなりません。
上限CPAを算出して、利益につながらない広告を排除することで、広告費の削減にもつながります。
媒体別の広告費については紙媒体の広告の料金はいくら?媒体別に相場を徹底解説!をご参照ください。
LTVの計算値を改善する5つの基本方法
LTVの計算値を改善することは、収益を安定させるうえで最大の課題です。
ここでは、具体的な改善策として5つのポイントを解説します。
- 顧客単価の引き上げ
- 買いやすさの追求
- 継続期間をのばす
- 粗利率を高める
- 顧客獲得コストの引き下げ
①顧客単価の引き上げ
LTVの計算値を改善する最もわかりやすく効果的な方法は、顧客単価の引き上げです。
代表的な施策としては、次の2つがあげられます。
クロスセル | 普段購入している商品の関連商品を紹介して、合わせて購入してもらう |
アップセル | 普段購入している商品の上位商品をすすめて、より高価な商品を購入してもらう |
いずれも、いつも購入する商品と合わせて使うメリットや、より上位の商品に移行することで得られる効果をしっかりと訴求することがポイントです。
しかし、しつこく売り込んでしまうと逆効果ですので注意しましょう。
②買いやすさの追求
商品のサイズやパターンを増やしたり、決済方法を拡大したりすることによりLTVの改善につながります。
なぜなら、何らかの理由で購入するかどうか迷っている顧客に対して、買いやすさを提案することで後押しとなるからです。
例えばダウンセルは、クロスセルやアップセルとは逆にグレードダウンした安価な商品をすすめる施策です。
予算が原因で購入に至らない顧客に対しておこなうことで、本来ならゼロであったはずの売上がプラスになります。
また、決済方法に利便性の高いAmazon Payを導入したことでLTVが向上した事例もあります。
関連記事>>単品通販の事例を交えて成功するビジネスモデルを解説!
買いやすさを追求することでLTV計算値の改善を目指しましょう。
③継続期間をのばす
継続期間をのばすために大切なことは、顧客満足度を高めることです。
継続期間には上限がないので、自社の商品に満足してもらえる限り継続してもらえる可能性があります。
顧客満足度を高めるには、顧客の悩みに対応できるよう常に商品やサービスの質を高めることが大切です。
また、顧客の不満に対応するカスタマーサポートの姿勢も重要なポイントです。
トランスコスモスによる「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」の内容をご覧ください。
出典:消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020(トランスコスモス)
商品やサービスに不満があった際のカスタマーサポート対応により、その後のリピート率が変わっています。
迅速な対応で満足できれば、その後のリピート率は92%。
反対に、不満な対応だった場合は18%となっています。
つまり、顧客の声を聞き丁寧に対応することが継続期間をのばすカギになるといえるでしょう。
④粗利率を高める
粗利率は、売上に対する粗利(売上高ー仕入れ原価)の割合を指します。
粗利率を高めてLTVの計算値を改善するには、次の点に注目しましょう。
- 仕入れ原価の削減
- 過剰在庫のチェック
仕入れ原価を減らせられれば、粗利率はダイレクトに改善できます。
しかし、仕入れ原価を減らしたことで商品やサービスの質が低下してしまうと逆効果です。
目的はLTVの改善ということを念頭に置き、慎重に考えましょう。
また、過剰に在庫を抱えていないかチェックすることも重要です。
現金を商品に変えたものが在庫であり、無駄に抱えすぎれば経営悪化につながります。
こまめに在庫を確認するようにしましょう。
⑤顧客獲得コストの引き下げ
顧客獲得コストを引き下げるには、見込み客へアプローチすることが大切です。
広告で新規顧客を獲得するだけでは、コストがかかりすぎてしまうからです。
新規顧客だけではなく、自社商品に興味・関心を示している見込み客をとりこぼさず獲得しましょう。
見込み客を顧客に変えるためには、DM(ダイレクトメール)やメルマガなどで適切にフォローアップする必要があります。
気をつけることは、最初から商品を売り込まず、見込み客にとって有益な情報を届けることから始めることです。
見込み客フォローは実を結ぶまでに時間がかかる戦略です。
まずは信頼関係を作ることから始め、最終的に商品をすすめるという手順をふむようにしましょう。
LTVは計算・活用・改善方法を知って役立てよう
LTVの計算・活用・改善のポイントについて解説しました。
LTVの計算方法は目的や対象によって次のような種類があります。
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LTVの計算方法を知ることで、マーケティング施策の効果を高められます。
また、LTVの計算結果は予測であり、改善することが可能です。
この記事を参考に、自社のマーケティング活動に役立てていきましょう。
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