メディアミックス戦略とは?成功例と失敗例、成功のポイントを解説

メディアミックスは、現代の広告において欠かせない手法のひとつです。
近年インターネットの普及により、メディアミックスの需要が高まっています。

しかし、適切にメディアを組み合わせなければ、メディアミックスを実施しても十分な効果を得られません。そのため、メディアの選び方が非常に重要です。

今回は、メディアミックスの種類と各メディアの特徴を説明します。

メディアの組み合わせ例や成功するポイントを見て、自社商品やサービスをPRする最適な広告を検討しましょう。

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メディアミックスとは?

メディアミックスとは、複数のメディアを組み合わせて広告やコンテンツを展開する手法のことです。

具体的には、以下のようなメディアを組み合わせます。

  • テレビ
  • 新聞
  • ラジオ
  • インターネット
  • フリーペーパー

それぞれのメディアのメリットを活用することで、より広い顧客層にアプローチできるのが、メディアミックスの強みです。

本章では、メディアミックスに関して2つのポイントを解説します。

  • メディアミックスの起源
  • クロスメディア広告との違い

メディアミックスの起源

メディアミックスの起源については、さまざまな説があります。

まずは、1973年に刊行された小松左京のSF小説『日本沈没』を起源とする説です。

日本沈没は上下巻を合わせて385万部を売り上げ、映画やテレビドラマも展開されました。

同じ作品がさまざまなメディアで展開されたことが、メディアミックスの始まりだとされています。

また、角川書店は1970年代後半に、映画になった作品の原作と映画イメージとを連動させた新装カバーをつけました。

本施策により売込業績を伸ばしたことで、メディアミックスが注目されたとする説もあります。

いくつか異なる見解がありますが、『日本沈没』や角川書店の取り組みは、メディアミックスの歴史や発展において重要な役割を果たしたと考えられます。

参考:ムサシノ広告社

クロスメディア広告との違い

メディアミックスとよく似た広告の手法に、クロスメディア広告があります。

両者の違いは、以下の通りです。

目的手法
メディアミックス
  • 認知向上
  • 複数のメディアを使ってターゲットに多くの情報を与えること
  • 同じ内容の広告を使って複数のメディアで同時展開する
  • 基本的にメディア同士が連携することはなく、それぞれのメディアを独立して展開する
クロスメディア
  • 商品の訴求
  • 複数のメディアを使ってターゲットを動かすこと
  • メディアの特徴に合わせた広告を使って複数のメディアで同時展開する

複数のメディアに広告を出稿し、多くの人に商品やサービスを知ってもらうのがメディアミックスです。

一方でクロスメディアは、複数のメディアに合った広告を掲載し、消費者とのコミュニケーションを深めることを目指す広告手法です。

「複数のメディアを使う」「商品やサービスの情報を多くのユーザーへ伝える」といった点は、メディアミックス・クロスメディアともに共通しています。

クロスメディア広告に関しては、以下の記事でも解説しています。

複数のメディアを掛け合わせるクロスメディア広告とは?メリットと効果的なポイントを解説!

メディアミックスにおける4つの媒体

メディアミックスには、大きく分けて以下4つの媒体があります。

  • インターネットメディア
  • ニッチメディア
  • デジタルメディア
  • アナログメディア

ターゲットに合った最適なアプローチをするためには、媒体ごとの特徴を把握しなくてはなりません。

本章では各メディアについて詳しく解説します。

①インターネットメディア

インターネットメディア広告とは、インターネットを利用して広告を出すメディアのことです。

インターネットメディアには、以下のような種類があります。

  • インターネット広告
  • Webサイト
  • SNS
  • ブログ
  • 企業の公式サイト
  • メルマガ
  • 動画配信

X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS、YouTubeなどの動画投稿サイト、バナー広告、企業のオウンドメディアなどがインターネットメディアに含まれます。

インターネットメディアのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリットデメリット
  • 世界中に発信できる
  • 広告費を抑えられる
  • 特定の属性のユーザーにPRできる
  • 出稿した広告のCTR(クリック率)やCV(コンバージョン)からの反響を測定できる
  • 場所を絞った宣伝が難しい
  • 検索されない限り人目に触れない

インターネットメディアは、以下の点において強みがある媒体です。

即時性ユーザーに最新トレンドを瞬時に伝えられる
アクセスの容易さユーザーに世界中どこからでもアクセスしてもらえる
インタラクティビティコメントやシェアを通して、ユーザー同士のコミュニティの形成や意見交換が促進される
カスタマイズ可能性個々のユーザーに合わせたパーソナライズされた体験を提供できる
広範なリーチ幅広いオーディエンスにアプローチできる

幅広いターゲット層にアプローチできる一方で、ユーザーからいかにアクセスしてもらえるように誘導するかが、インターネットメディアを活用する際のポイントです。

ターゲット層に合わせて、最適なメディアを組み合わせましょう。

組み合わせるメディアの選び方については以下の記事でも解説しています。成功事例についても解説しているため、ぜひ参照ください。

複数のメディアに広告を出す「クロスメディア広告」の成功事例とメディアの組み合わせ

②ニッチメディア

ニッチメディアとは、特定のターゲット層に向けた媒体です。

例えば、以下のようなメディアがあります。

  • 会員誌
  • 顧客情報誌
  • フリーペーパー

ニッチメディアは、新店舗オープン時に周辺地域に告知を行ったり、特定の悩みを持つ女性向けの商品・サービスを紹介したりするときに有効です。

ニッチメディアの特徴をチェックしておきましょう。

メリットデメリット
  • 特定のユーザーにPRできる
  • 多くの人の目にとまりやすい
  • 広告費を抑えられる
  • 発行のタイミングに合わせて広告を見直さなければならない
  • 情報量に制限がある

なお、フリーペーパー広告の有効的な活用方法については、以下の記事で詳しく記載しています。

フリーペーパー広告の効果を高めるポイント6選!注意点も解説

③デジタルメディア

デジタルメディアとはマスメディアのことで、不特定多数の多くのターゲットにアピールできるメディアです。

メディアの具体例としては、テレビやラジオなどがあります。

全国規模で商品・サービスをアピールしたいときや、さまざまな年齢層に新商品・新サービスを告知したいときなどに最適な手法です。

デジタルメディアを活用するなら、以下のメリット・デメリットを理解しておきましょう。

メリットデメリット
  • 商品やサービスの認知度が上がる
  • エリアを絞った宣伝ができる
  • コストが高い
  • 一過性である

なお、テレビ広告については以下の記事でより詳しく解説しています。

テレビ広告の効果・メリットは?効果を最大化するポイントも解説

④アナログメディア

アナログメディアとは、インターネットなどを使わない従来型のオフラインメディアです。

例えば、以下のようなメディアがあります。

  • 新聞
  • 雑誌
  • ダイレクトメール
  • 街頭広告(デジタルサイネージ)
  • 店頭広告
  • チラシ
  • テレフォンアポイントメント

訴求したいターゲットが高齢者であるときや、特定の地域でPRしたいときなどに向いています。

メリットデメリット
  • 情報量が多い
  • 具体的なイメージを伝えられる
  • 情報が手元に残る
  • 信頼度が高い
  • 内容の変更が難しい
  • クレームに発展するケースもある

オフラインメディアのマーケティング効果については、以下の記事もご覧ください。

オフラインマーケティングの効果を上げるには?成功のコツと一緒に解説

メディアミックスの成功例

日本のメディアミックスは、成功例が多くあります。

8つの例を挙げるので、成功のポイントを確認しましょう。

  1. ポケモン
  2. アットホーム株式会社
  3. 鬼滅の刃
  4. Tokyo 7th シスターズ
  5. 日本沈没
  6. 鋼の錬金術師
  7. サントリーホールディングス株式会社
  8. 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)

なお、以下の記事ではほかの成功例・失敗例を紹介しています。

こちらも併せてご一読ください。

メディアミックス成功例から学ぶ広告戦略とは?

ポケモン

引用:ポケットモンスターオフィシャルサイト

ポケモン(ポケットモンスター)は、国内でもっとも成功したメディアミックスの代表例です。

さまざまなメディアを活用した多面的なアプローチにより、世界中で高い人気を得ました。

  • ゲーム
  • テレビアニメ
  • 映画
  • 漫画
  • 関連商品

参考:メディア・ミックスの推進

ゲームでは、以下のようなヒット作があります。

  • ポケットモンスターシリーズ
  • ポケモンカード
  • Pokemon GO(ポケモンGO)

ポケモンが大人気となった背景には、メディアミックス戦略の成功が挙げられます。

例えば、映画が公開される前には、映画館でしか手に入らないグッズや、限定配信されるポケモンのシリアルコードがついた前売り券を販売しました。

また、社会現象となったPokemon GO(ポケモンGO)も、多様なメディアを活用した宣伝によって成功を収めています。

Pokemon GO(ポケモンGO)は、ゲームソフトの発売と同じように、子どもたちが楽しめる夏休みにアプリを配信しました。

細かく練られた戦略によって『ポケモン』のブランド力も高めています。

アットホーム株式会社

引用:アットホーム株式会社|at home コーポレートサイト

アットホーム株式会社は、不動産情報サービスを提供する企業です。

テレビCMとYouTube動画のメディアミックスで、効果を高めることに成功しています。

アットホーム株式会社は最初、テレビとYouTubeで同じ素材を使っていました。
コストを抑えるために、素材を再利用することは有効な方法です。

しかし、媒体ごとにターゲット層や特徴が違うことを考慮しないと、メディアミックスの効果を十分に発揮できないこともあります。

アットホーム株式会社は、再利用した素材がYouTube広告にふさわしいかを検証し、Googleの『ABCDフレームワーク』を使って素材動画の最適化をおこないました。

テレビCMよりもテンポを重視し、メッセージをわかりやすく伝えることで、Webメディアに合った広告動画に変えることに成功しています。

結果、動画広告を見た人の検索数は以前の3.2倍に増えました。
他媒体で素材を再利用するときも、媒体特性に応じたカスタマイズをすることが重要です。

参考:段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW – Think with Google

鬼滅の刃

引用:「鬼滅の刃」公式ポータルサイト

週刊少年ジャンプで連載されていた『鬼滅の刃』は、さまざまなメディアで展開されたことで、幅広い年齢層に支持され、大人気アニメとなりました。

ヒットした理由は、以下のようなメディアの組み合わせです。

  • 漫画
  • テレビアニメ
  • 映画
  • 小説化
  • 関連グッズ
  • 企業コラボ商品

映像化がきっかけで、大人気となった漫画は他にもあります。

  • 鉄腕アトム
  • るろうに剣心
  • DEATH NOTE デスノート
  • 銀魂
  • プロミス・シンデレラ/橘オレコ

漫画のアニメ化・実写化は定番のメディアミックスですが、映像化すると「漫画のイメージと違う」といった声が出がちです。

しかし上記作品は、原作の世界観やキャラクターを忠実に再現しており、原作ファンだけでなく新しいファンも増やしました。

映像化をきっかけに初めて原作を読み、より一層作品のファンになるケースも少なくありません。

メディアミックスは、幅広いターゲット層から安定して支持されるきっかけを作りました。

Tokyo 7th シスターズ

引用:Tokyo 7th シスターズ

iOS用のアプリゲーム『Tokyo 7th シスターズ』は、初めからメディアミックスを視野に入れてリリースされたコンテンツです。

展開されたのは、以下のようなメディアです。

  • iOS向けアプリゲーム
  • アイドルコンテンツ制作
  • 声優イベント
  • CDの販売
  • 小説
  • 漫画
  • グッズ販売

人気の背景にあるのは、Tokyo 7th シスターズのプロジェクトの原作者が、総監督としてメディアミックスをプロデュースしたことです。

「ゲームの中でお気に入りのキャラクターを見つけたユーザーが、CDを買ってライブイベントに行く」といったメディアミックスのサイクルができあがりました。

プロジェクトの方向性がしっかりしていたからこそ、ユーザーに満足してもらえるサービスを提供できたと考えられます。

日本沈没

引用:日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』|TBSテレビ

「メディアミックスの元祖」とも評価されている『日本沈没』は、上下巻で合わせて385万部も売れた小松左京のSF小説です。

1973年に出版されてから、以下のメディアで展開されました。

  • 小説
  • 映画
  • テレビドラマ
  • アニメ(配信)

小説が流行っていたときに映画が公開されたことは、メディアミックスの成功に大きく貢献した好例と考えられます。

また、映画やテレビドラマでは、「ヒロインをアイドル化する」ような新たなビジネスモデルを作りました。

鋼の錬金術師

引用:TVアニメ「鋼の錬金術師」公式サイト

『鋼の錬金術師』は、漫画を原作としてアニメ・ゲーム・映画などさまざまなメディアに展開し、大ヒットした作品です。

漫画が5巻まで刊行された時点の2003年に、一度目のテレビアニメが放送されました。

アニメ放送前の漫画1巻あたりの発行部数は15万部ほどでしたが、アニメの影響で増え、放送後には150万部にまで増えています。

アニメを放映するためには5億円もの提供料が必要でしたが、アニメの人気を受けて漫画の売り上げも伸びたことで、早い段階で提供料の回収に成功しています。

さらに、ストーリーの展開も熟考されたうえで作られていました。

最初に放送された2003年のアニメでは当初は原作に沿った内容で展開していました。

しかし、原作よりも先にアニメの放送が終了することから、オリジナルのストーリーや独自の設定を加えて物語を完結させています。

オリジナルストーリーが入っていたとはいえ、漫画の世界観に沿ってつくられていたため、新しいファンからも原作のファンからも人気を集めました。

サントリーホールディングス株式会社

引用:サントリーホールディングス|水と生きる SUNTORY

サントリーホールディングス株式会社は、飲料業界の大手企業として、メディアごとに役割を分けて広告戦略を展開しています。

以下のさまざまなメディアを使って、ターゲットに合った情報を伝えることにより、広告の効果を最大化しています。

サントリーが活用している広告媒体は以下の通りです。

  • テレビ
  • 新聞
  • 交通広告
  • 自社のWebサイトやSNS

例えばテレビCMでは、ハイボールの作り方を見せるだけでなく、氷の音や泡の音などを活用して視聴者の視覚・聴覚に訴える効果を狙っています。

Webメディアも効果的に活用しており、X(旧Twitter)ではキャンペーンや新製品の情報配信を怠りません。

さらに自社のホームページではお酒や料理のレシピを紹介し、YouTubeでは動画でハイボールやカクテルの作り方を解説しています。

メディアごとにユーザーのニーズを的確に把握し、自社商品の魅力を具体的に伝えることで、新規顧客からリピーターまで幅広く訴求できている事例です。

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)

引用:JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、さまざまなメディアで商品やサービスをPRしています。

スマートフォンやパソコンで新幹線の予約・購入・乗車ができる『新幹線eチケットサービス』については、TVCMやWebメディア、駅のデジタルサイネージなどで紹介しました。

また、キャッチフレーズとして『JR SKISKI』を掲げ、冬のスキー旅行を促進するために、テレビCM・ポスター・雑誌などの展開もおこなっています。

スキー場や宿泊施設と連携して、JRの切符とセットになったお得なプランを提供し、スキー客の増加やブランドイメージの向上に貢献しました。

メディアミックスの失敗例

続いて、以下3つの失敗例も紹介します。

  1. FINAL FANTASY
  2. ビブリア古書堂の事件手帖
  3. 魔法先生ネギま!

FINAL FANTASY

引用:ファイナルファンタジーポータルサイト | SQUARE ENIX

人気RPGゲームである『FINAL FANTASY』は、2001年にフルCG映画化に挑戦したものの、失敗に終わりました。

3DのCG技術に不慣れなスタッフがいたり、脚本の練り直しがあったりしたことから、制作費が膨れ上がってしまったのです。

さらに、ゲームは16作ものシリーズに加え、多くのスピンオフ作品を持つ大ヒット作でしたが、映画は原作の世界観を十分に表現できていませんでした。

制作費は1億3700万ドルにも上ったものの、興行収入は8513万ドルにとどまり、アメリカや日本で早々に上映が打ち切られる結果を残しています。

なお、映画が失敗したことにより、当時制作会社だったスクウェアは映画事業からの撤退を余儀なくされています。

ビブリア古書堂の事件手帖

引用:『ビブリア古書堂の事件手帖』公式サイト

『ビブリア古書堂の事件手帖』は、ドラマ化にあたって原作と大きく異なる設定を採用したことで失敗に終わりました。

ドラマでは、主人公の外見・キャラクターの性格・主人公の家族構成などが原作から大きく変えられてしまい、原作ファンの反発を招きました。

原作の小説は2011年から刊行されており、累計700万部を売り上げるベストセラーでした。

2013年にドラマ化されましたが、設定の改変に加え、原作の魅力を活かせなかったため、視聴者の支持を得られず、失敗に終わっています。

原作の人気に比べてドラマの評価は低く、期待を裏切られたファンからの批判が多く寄せられました。

魔法先生ネギま!

引用:ネギま!?

『魔法先生ネギま!』は、週刊少年マガジンで連載された大ヒット漫画です。

シリーズ累計発行部数は2600万部に達する人気漫画ですが、メディアミックスでは媒体によって結果が大きく変わりました。

『魔法先生ネギま!』が今までに実施してきたメディアミックスは以下の通りです。

  • CD
  • テレビアニメ
  • 映画
  • テレビドラマ
  • 舞台
  • パチンコ

CDやパチンコなどは、原作の声優やキャラクターの人気を活かしてヒットしました。

特にCDはアニメ化前から発売されており、声優ブームの先駆けともされています。

一方で、テレビアニメや映画では、原作とは異なる展開や設定が取り入れられたため、原作ファンの反発を招きました。

メインヒロインが火葬されるなど、原作の世界観を損なう内容が多くあったためです。

原作のファン層を無視したメディアミックスは、作品の評価を下げることにもつながりました。

メディアミックスのメリット3つ

メディアミックスには、3つのメリットがあります。

  1. 幅広いターゲットに訴求できる
  2. 広告に接触する回数が増える
  3. 各メディアの弱点を補える

それぞれ詳しく解説します。

①幅広いターゲットに訴求できる

メディアミックスのメリットは、幅広いターゲットに訴求でき、ターゲットに応じて最適なメディアを選べることです。

例えば、テレビやラジオは、広く一般的な層にリーチできます。

年齢層最適なメディア組み合わせ例
若年層SNSインターネットメディア×アナログメディア
中高年・ビジネス層新聞アナログメディア×インターネットメディア
シニア世代雑誌デジタルメディア×ニッチメディア

インターネットやSNSは、若い世代や特定の趣味や嗜好を持つ層にリーチが可能です。

雑誌や新聞は、インターネットメディアに疎いシニア世代に効果が期待できます。

メディアミックスをするときは、ターゲット層の生活スタイルにあわせて訴求することが重要です。

1つのメディアだけではなく、複数のメディアを効果的に組み合わせることで、リーチ率や認知度を高められます。

②接触する回数を増やせる

広告に複数回触れる機会を増やし、ユーザーの記憶に残りやすくできることもメディアミックスのメリットです。

異なるメディアを通じて同じ広告に繰り返し接触すると、商品やサービスの認知度が向上します。

ほかにも、新聞で読んだ広告がタクシー内のデジタルサイネージやラジオで流れる、SNSで見た広告がテレビCMで流れる、なども効果的です。

広告は、一度見た程度では記憶に定着しません。

複数のメディアを通じて何度も広告に載っている商品・サービスを目にして、初めて深く印象に残り、認知度も高まります。

さらに、記憶に残った商品やサービスであれば、購入や利用を検討する際により前向きな意思決定を促す傾向があります。

広告に接触する回数を増やして印象付けて、商品・サービスの購入・利用を促せるのがメディアミックスの強力な効果です。

③各メディアの弱点を補える

各メディアを組み合わせることで弱点を補える点も、メディアミックスのメリットです。

例えばテレビCMの場合、詳細な情報を伝えにくいといったデメリットがあるものの、インパクトは強く残せます。

対して新聞は多くの情報を発信できますが、インパクトに欠けるのがデメリットです。

そのため、テレビCMと新聞広告を組み合わせれば、それぞれのデメリットを打ち消せます。

各メディアの長所と短所を考慮して、理想的な組み合わせを検討しましょう。

メディアミックスのデメリット

メディアミックスは優れた広告戦略ですが、以下の点がデメリットです。

  • 出稿費用が高額になりやすい
  • 効果測定が難しい
  • 各メディアに担当者が必要となる

デメリットを把握し、適切な対策を講じましょう。

出稿費用が高額になりやすい

メディアミックスは、出稿する費用が高くなる傾向にあります。

メディアミックスとは、さまざまなメディアを使って商品やサービスを訴求する広告手法です。

使うメディアが多いほど、多くの費用が必要になってしまいます。

加えて、メディアミックスは一定以上の規模まで広告を展開しなければ効果が発揮されません。

リソースを確保できていない状態では効果が弱まるだけでなく、持続して広告を展開できなくなります。

メディアミックスを実施する際は、一定以上の規模で広告を展開できるだけのリソースを確保しましょう。

また、ターゲット層を明確化して、効率的に展開することも重要です。

効果測定が難しい

複数のメディアを展開する都合上、メディアミックスは効果測定が難しくなります。

CTR(クリック率)、CV(コンバージョン)、PV(ページビュー)などを測定できるインターネットメディアなら問題ありませんが、ニッチメディアやアナログメディアでは正確な効果測定は困難です。

加えて、BtoBビジネスだと、メディアミックスで広告を展開しても、検討機関が長くなりやすいため、すぐに効果が測定できないケースがあります。

そのため、メディアミックスを実施する際は、効果測定ができるツールを導入するといった工夫が必要です。

各メディアに担当者が必要となる

メディアミックスを実施するなら、各メディアに担当者を配置する必要があります。

担当者は各メディアの専門的な知識やスキルを持っているだけでなく、ほかのメディアと連携しながら戦略を展開できるだけのノウハウが求められます。

しかし、各メディアによって広告の作成方法や、効果を高める手法が異なるため、担当者にかかる負担は少なくありません。

自社内の人材だけで適切な担当者を確保できない場合は、広告代理店など、外部の業者にアウトソーシングする方法がおすすめです。

専門的なノウハウを持つ業者に依頼すれば、スムーズにメディアミックスを実践できます。

しかし、アウトソーシングは自社で担当者を確保するよりコストが高くなります。

加えて、自社にノウハウが蓄積されないため、業者への依存度が高くなる点にも注意が必要です。

メディアミックスで成功する広告戦略のポイント6つ

メディアミックスは魅力的な手法ですが、無作為にメディアを組み合わせても十分な効果を得られません。

メディアミックスを取り入れる際は、以下の点に注意する必要があります。

  • メディアの特性を理解する
  • 訴求ポイントを明確にする
  • 各メディアの担当者間で連携する
  • キャラクター設定を原作通りにする
  • 最終目標から逆算して戦略を立てる
  • ターゲットのデータを取得・分析する

注意点を詳しく見ていきましょう。

メディアの特性を理解する

さまざまなメディアを使って商品やサービスをPRする戦略がメディアミックスですが、単にメディアを複数使うだけでは効果が得られません。

メディアにはそれぞれ強みと弱みがあり、組み合わせ方や活用方法によって効果は変動します。

各メディアの特性をしっかり押さえておきましょう。

メディアメリットデメリット
インターネットメディア
  • 世界中に発信できる
  • 特定のユーザーにPRできる
  • 反響を測定できる
  • エリアを絞りにくい
  • インパクトに欠ける
ニッチメディア
  • 特定のユーザーにPRできる
  • 多くの人の目にとまりやすい
  • 定期的に広告の見直しが必要
  • 情報量に制限がある
デジタルメディア
  • インパクトが強い
  • エリアを絞れる
  • コストが高い
  • 情報量に制限がある
アナログメディア
  • 情報量が多い
  • 手元に残る
  • 信頼度が高い
  • 掲載する内容の変更が必要
  • インパクトに欠ける

例えば、インターネットメディアで若年層向けに広告を展開し、シニア層にはデジタルメディアを利用するなど、それぞれの強みを活用すれば、より幅広いターゲット層にアプローチできます。

さらに、効果的なメディアの組み合わせに必要なのは、ターゲットの動きを考えることです。

  • 興味を引く
  • 商品・サービスの概要を知ってもらう
  • 購入・契約を検討してもらう

ターゲットに訴求するステップに応じて、最適なメディアで情報を提示しましょう。

なお、以下の記事ではメディアの特性や、それぞれの違いを理解するうえで役立ちます。

併せてご一読ください。

メディアとは?広告媒体3分類の特徴や宣伝媒体との違い、活用方法を紹介

訴求ポイントを明確にする

メディアミックスでは、同じ内容の広告で何度もターゲットに訴求をおこないます。

商品やサービスの訴求ポイントをしっかり固めてから、組み合わせるメディアを決めましょう。

例えば、認知度の向上を目指すなら幅広いターゲット層に訴求できるテレビやラジオのようなデジタルメディアが向いています。

また、新商品やサービスをPRしたいなら、デジタルメディアや、拡散力のあるSNSのようなインターネットメディアが最適です。

メディアをどう組み合わせるかは、伝えたいことによって変わります。

まずは商品・サービスの特徴をピックアップしてみましょう。

訴求ポイントの見直しに関しては「集客できるチラシ広告とは?Web集客との違いと新たなチラシ戦略」を確認してください。

各メディアの担当者間で連携する

メディアミックスの戦略では、メディア同士で連携するための工夫が大事です。

FINAL FANTASYの映画化ではゲームと映画の制作チームが連携されておらず、原作の世界観を引き継げなかったことがひとつの原因となり、失敗しました。

逆に大ヒット少女漫画である『ちはやふる』のアニメ・映画では、脚本づくりから原作者と連携が取れていたため、原作ファンも満足する作品になりました。

小説や漫画などのコンテンツをメディアミックスするときには、原作ファンの気持ちを考えることが重要です。

安易なオリジナル展開・設定の改変のような、原作ファンの期待を裏切るような行為は批判を受けるリスクを高めます。

実際に、日本テレビでドラマ化された『セクシー田中さん』では、原作漫画に忠実な内容を求めた原作者の意向が十分に反映されないまま制作が進められました。

その結果、ドラマ制作陣と原作者の間でトラブルとなり、SNS等で議論が巻き起こるなど社会問題となりました。最終的に、原作者が自死されるという痛ましい事態に至りました。

このような事件を避けるためにも、商品やサービスの世界観や価値観を各メディアで共有し、一貫したメッセージを伝えることが大切です。

参照:今年起きた、『セクシー田中さん』問題とは何だったのか?|Yahoo!ニュース

キャラクター設定を原作通りにする

メディアミックスで成功するためには、原作のキャラクター設定を尊重して忠実に再現することが必要です。

原作のキャラクター設定は、ファンの期待や愛着を形成しています。

原作と異なるキャラクター設定をすると原作ファンの不満が広がり、メディアミックス戦略をおこなっても効果が出ず、失敗に終わってしまうリスクを高めます。

まれにオリジナル設定や、キャラクターの改変が受け入れられたケースもありますが、原作の改変は最大限注意を払う必要があります。

むしろ原作のキャラクター設定を原作のままにしてメディアミックス戦略を打つほうが、効果が期待できます。

最終目標から逆算して戦略を立てる

メディアミックスを取り入れるときは「商品・サービスを購入・利用してもらう」「商品・サービスの認知度をあげる」といった最終目標から逆算して戦略を立てることが重要です。

まず、ターゲットが商品やサービスを購入・利用するまでの心理や行動を予測します。

ターゲットの心理や行動を予測したうえで、ターゲットに届きやすく、かつ魅力的に見えるメディアを選びましょう。

例えば、商品やサービスの存在を知ってもらう段階では、目を引く画像や音楽が載せられるようなメディアを選ぶと、より効果が期待できます。

商品やサービスの内容を理解してもらう段階では、実際の使い方がわかりやすかったり、イメージがしやすかったりするようなメディアを選ぶのがベターです。

ターゲットのニーズと商品やサービスを提供する企業のメッセージとが離れすぎないよう、メディアを適切に組み合わせることが大切です。

ターゲットのデータを取得・分析する

ターゲットのデータを取得して分析することも、メディアミックスを取り入れる際には必要です。

商品やサービスの購入に関心がある人々の属性や行動、嗜好などの情報を取得・分析することで、広告の効果を最大化できます。

ターゲットのことがわかれば、ターゲットに合わせて最適なメディアの選択が可能です。

また、ターゲットの反応や効果測定をおこない、広告施策の改善や最適化もできます。

成功例・失敗例を参考にしてメディアミックスを成功させよう!

メディアミックスには、大きく分けて4つの媒体があります。

  • インターネットメディア
  • ニッチメディア
  • デジタルメディア
  • アナログメディア

インターネットメディアとは、WebサイトやSNSのことです。

ニッチメディアは情報誌やフリーペーパー、デジタルメディアはテレビやラジオが該当します。

アナログメディアは、新聞や雑誌などの紙媒体です。

メディアミックスを取り入れる際は、以下の6点に注意しましょう。

  • メディアの特性を理解する
  • 訴求ポイントを明確にする
  • 各メディアの担当者間で連携する
  • キャラクター設定を原作通りにする
  • 最終目標から逆算して戦略を立てる
  • ターゲットのデータを取得・分析する

加えて、コストが増加・担当者の配置が必要など、デメリットを踏まえておくことも不可欠です。

ターゲットに合わせて、最適なメディアを選択することが、メディアミックスを成功させる鍵です。

メディアをうまく組み合わせて、3つのメリットを活かしましょう。

  1. 幅広いターゲットに訴求できる
  2. 広告に接触する回数が増える
  3. 各メディアの弱点を補える

なお弊社では、紙媒体の広告出稿をご検討の方に「紙媒体広告の戦略本」を紹介しています。

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ペーパーアド編集部
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