「マイクロマーケティングが主流になりつつあると聞くけど、どうしてなんだろう」
「マスマーケティングと比べてどんなメリット・デメリットがあるのかな」
企業のマーケティング担当者として施策を考えていく場合、マイクロマーケティングが重視されている理由やメリットについて疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
この記事では、以下の点について解説します。
- マスマーケティングとの違い
- マイクロマーケティングが重視されるようになった理由
- マイクロマーケティングのメリット・デメリット
- マイクロマーケティング事例
マイクロマーケティングについて理解を深め、企業のマーケティング施策にうまく活用しましょう。
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目次
マイクロマーケティングとマスマーケティングの違い
マイクロマーケティングとは、ニーズを細分化しターゲットを狭くしぼり込んだマーケット手法。
主役は商品ではなく顧客・消費者である、というのがマイクロマーケティングの基本的な考え方です。
消費者それぞれの個性や嗜好にあわせた売り方に変えて、ニーズと強みをマッチングさせることで、一人ひとりの需要を長く満たすことを目的としています。
広告を使った具体的なマーケティング手法については、以下の記事をご参照ください。
>>旅館の広告は顧客ニーズと自社の強みのマッチングで効率よく集客
一方マスマーケティングは、大量生産・大量消費を前提としてすべての消費者に対して画一的な方法でおこなうマーケティング手法です。
生産者主体であるマスマーケティング時代の全盛期は1970年代頃といわれています。
目的が違う2つの手法は、対義語として用いられています。
マイクロマーケティングが重視されるようになった背景
マスマーケティングからマイクロマーケティングの時代へと、移り変わっていく時代背景はどのようなものだったのでしょうか。
マイクロマーケティングを理解するために重要なことなので解説します。
スマートフォンやSNS普及による価値観の多様化
ここ10年ほどで、消費者の消費行動や価値観は急速な多様化を見せています。
パソコンやスマートフォンといった情報端末の普及やSNSが流行したことにより、情報収集の方法が格段に増えていることも一因です。
例えば野村総合研究所による「生活者1万人アンケート調査」によれば、以下のような傾向があることがわかっています。
- 共働き家庭の増加によりコンビニやネット通販など「利便性重視の消費」が増えている
- SNSから情報を得て商品へのこだわりが強くなっている
価値観の多様化にあわせて「組織や集団」から「個人」に対するマーケティングの時代に変化し、社会においても多様性に対して受容態勢ができています。
結果、企業はそれまでの画一的なマスマーケティングから、個人にあわせたマイクロマーケティングへと変化させる必要ができたのです。
メディアのシームレス化により高まるマーケティングの難易度
情報収集の手段が増えた現在においては、限られたターゲットのみに情報を伝える、ということが難しくなっています。
マスメディアを中心に情報収集していた時代から、さまざまなメディアをニーズによってシームレスに行き来する時代へと変化しているためです。
しかし時代の変化を逆手に取り、複数のメディアを販促活動に活用するクロスメディアやメディアミックスという戦略が力を発揮しています。
マイクロマーケティングと同様に、消費者や媒体によって変化を持たせた戦略を考えるべき時代になっているのではないでしょうか。
クロスメディア戦略についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
>>クロスメディア戦略とは?成功した広告事例も併せて紹介
マイクロインフルエンサーの誕生
世の中や人の思考・行動に大きな影響を与えるインフルエンサーの存在は、マーケティング活動において重要な役割をになっています。
SNSなど多様な手段で情報を得られるようになり、商品価値について企業からの情報だけでなく、自分と同じ消費者の口コミが重要視されているためです。
これまでは、多数のフォロワーを抱えているメガインフルエンサーが起用される傾向にありました。
しかし近年では、フォロワー数よりもニーズの近いフォロワーを抱えているマイクロインフルエンサーが注目されています。
THECOO株式会社の国内YouTuber比較調査の結果をご覧ください。
フォロワー数の規模により、ランク分けしたYouTuberのコメント率と高評価率の比較結果は、マイクロインフルエンサーの方が高い数値になっています。
フォロワー数が多く、ニーズが幅広く分散されているより、同じニーズのフォロワーを持つマイクロインフルエンサーの影響力が高いことを示しています。
マイクロマーケティングのメリット
ターゲットを狭くしぼったマイクロマーケティングは、マスマーケティングや他のマーケティングにないメリットがあります。
以下2点について解説します。
- 訴求力が高い
- 自由度が高い
①訴求力が高い
マイクロマーケティングは、消費者の個性やライフスタイルにあわせて宣伝方法や内容を変えていく手法なので、訴求力が格段に高いことが強みです。
また近年では、インフルエンサーを起用したコミュニティマーケティングという手法が確立され始めています。
誰しも、商品を購入する上で失敗をしたくないという思いがありますよね。
生産者目線ではなく自分と同じ消費者が商品を使った感想は、貴重で信頼できる情報です。
化粧品やファッション、グルメ系などジャンルごとのコミュニティに属するインフルエンサーが商品についての感想を投稿すれば、消費者目線の情報としてすんなりと受け入れられます。
特に、支持率の高いマイクロインフルエンサーなら、限られたターゲットに確実に情報を届ける訴求力を期待できます。
②自由度が高い
マスマーケティングなど、多数の消費者たちに展開することを前提としている場合、自由度が低くなりがちで思ったような訴求ができないことが多くあります。
時間や予算などさまざまな制約に阻まれるためです。
マイクロマーケティングのように限られたターゲットに向けて発信する場合、個性を強調した自由度の高い情報を扱うことが可能です。
そのため、消費者が求めていた情報をピンポイントで届けやすく、印象にも残りやすくなります。
結果的に、商品や企業に対して強い関心を持った顧客を獲得し、長く需要を維持することが可能です。
マイクロマーケティングのデメリット
消費者の個性に着目して展開する、マイクロマーケティングのデメリットには次のような点があげられます。
- 時間と手間がかかる
- インフルエンサーの選定が難しい
時間と手間がかかる
マイクロマーケティングを成功させ、求められている情報を発信するまでには手間がかかります。
個性的で自由なマーケティングが可能な反面、他社の宣材を真似することはできません。
また、ひたすら消費者と向きあいニーズを探らなければならないからです。
突発的な消費行動ではなく継続した消費してもらうためには、仕組みと信頼関係の構築が不可欠です。
時間と手間がかかるのが、マイクロマーケティングのデメリットと言えます。
インフルエンサーの選定が難しい
マイクロマーケティングをおこなう際には、インフルエンサーの存在が重要です。
企業が扱う商品のジャンルを得意とし、影響を与えるフォロワーがすでに存在しているためです。
インフルエンサーによりマイクロマーケティングの手間も省けるように思えますが、インフルエンサーは慎重に選定しなければなりません。
相手が人である以上、思わぬトラブルに巻き込まれる危険性があるためです。
実際に以下のようなトラブルは常に発生しています。
インフルエンサー選定の際は、要項をきちんと伝えるなどをして注意しましょう。
- 指定した期日を守らない
- フォロワー数をごまかしていた
- 商品PR投稿を後に削除された
- 指定通りの投稿方法ではなかった など
マイクロマーケティングの身近な成功事例
過去のマイクロマーケティング成功事例について2つご紹介します。
マイクロマーケティングが成功したポイントはどんな点にあったのか、成功事例を元に考えていきましょう。
岡ちゃんnel
主にパソコンパーツや周辺機器のレビュー動画を投稿しており、チャンネル登録者数6.5万人の「岡ちゃんnel」の事例です。
商品が梱包された状態から撮影され、途中でおこったトラブルについても隠さず伝えています。
部品の詳細説明や商品の利点・注意点、どんな方におすすめなのかといった情報を丁寧に話す様子に、消費者の要望に応えようとする姿勢がうかがえました。
コメント欄は商品を購入したというコメントや、改善点として望む点などが書き込まれており、質問に回答する様子も見られます。
消費者が何について知りたいのか、同じ目線で考え発信することが成功のポイントということがわかる事例でした。
アディダスのサッカー用スパイク「GLITCH(グリッチ)」
2016年11月にイギリスで販売開始された、アディダスのサッカースパイク「GLITCH(グリッチ)」の事例です。
グリッチは、インナーにアウタースキンを被せて履くという斬新なアイディアを採用し、簡単に着せ替えが可能なスパイクです。
プロモーションの一環として招待制公式アプリがリリースされ、購入はアプリ限定。
アプリをインストールするには他のユーザーから招待を受ける必要があり、サッカーファンのマイクロインフルエンサーたちによってコミュニティへ招待する動きが広まりました。
サッカーファン同士でアプリに誘い、集う楽しみからたくさんの人たちにアプリを利用してもらい商品を知ってもらうことに成功したのです。
マイクロマーケティングを重視して活用しよう!
マイクロマーケティングについて、4つのポイントを解説しました。
- マスマーケティングとの違い
- マイクロマーケティングが重視されるようになった理由
- マイクロマーケティングのメリット・デメリット
- マイクロマーケティング事例
マイクロマーケティングは、狭いターゲットに対して訴求力の高い方法でアプローチできる手法です。
価値観や消費行動が多様化し、ものが売れにくくなった時代にも通用する手法なので、これからの企業におけるマーケティング活動にうまく活用していきましょう。
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